4月21日に考えていたこと
GUCCIが出しているアプリがある。
新商品などの宣伝がメインだろうなと思い、DLしたがこれが妙に味わい深いアプリだった。
アーケードという項目があるのだが、ゲームが4種類ある。
ピンボール以外はファミコンみたいな80年代感。
中でもGUCCI GRIPというスケボーゲームが死にゲーすぎてとても面白い。
私は死にゲーがとても好きなのだ。
ただひたすら道を走り続けるだけのゲームでそれ以外特に何も起こらない。
二車線の片側に障害物が出てくるのでそれを避けながらスケボーとは思えぬ速さで走り抜ける。
ステージは朝の「BEACH」、昼の「Desert」、夜の「CITY」の3種類ある(といっても難易度は変わらない)。
どのステージもエモい絵作りでときめきがはんばない。
たまに星やヘルメットが宙に浮いているのでジャンプしてそれを取得できる。
星は障害物に1度ぶつかっても死なずに済むアイテムで、ヘルメットは一時障害物をスルーできるアイテムらしい。
それ以外にもごく稀にGUCCIのアイコンが浮いているのでそれも取得できる。
取得できるが何かに使えるわけでもないらしい。
GUCCIアイコンは全部で4種類あるのだが、それを全て集めたとしても何も起こらなかった。
ただ純粋なまでにひたすら走る。
朝から走り始め、昼になり、夜になり、また朝になるまで街を走り続ける。
永遠に終わらない。
ちなにみこのゲームでの最高Scoreは9100少しだ。
そしてこのゲームの音楽はやはり、とてもエモい。
ヴェイパー ウェイブ感があり、切なさすら感じる。
郷愁に駆られる。
結末のないゲームは、それまでの日常が変わらずに続くと思っていた自分と重なる。
人間の日常は毎日同じようでいて、本当は毎日違っていた。
同じ部屋で朝起きて、同じ道を通って仕事へ行き、いつものスターバックスでコーヒーを買い、同じ部屋に帰宅し同じベッドで眠りについたとしても、ぜんぜん違う。
ゲームをしてるわけじゃない。
そんなわかりきったことさえ、すぐに忘れてしまう。
週末になったら友達に会い、好きな店で酒を飲む。
お気に入りの映画館に入り浸ったり、馴染みの本屋を巡回したり。
その、いつもと同じような日常は戻りそうにない。
今のところは。
何度も何度も夜の街を通り抜け、何度も何度も朝日の中を変わらずに走り去るスケボー少年のことが、私は少し羨ましいと思った。