戻ってきた私の日常。術後5週目。
私の日常とは、家事、畑仕事
動物の世話
家族の雑事を代わる、など。
忙しくなって、先延ばしでしたが、
このほど、日本の母へ電話しました。
「1ヶ月前に乳がんの手術をしたの」
「ええ? 子宮がん?」
「ち・が・う〜。乳ぅがん!」
「ああ、そうだったの。頑張ったんだね。よくやった」
通話中、『わかは頑張った頑張った』の繰り返し。
いつの間にか母は、しっかり耳の遠い、でも可愛い高齢者になったようです。
電話して良かった。
私は子どものころ、こんなふうに母から頑張りを認めてもらえた記憶がなくて、
なんだか一生ぶんを褒めてもらった気分でした。
姉と弟は優秀。
同じ両親なのに、
私には大人になるまで難読症がありました。
「良い人間になりたかったら本を読みなさい」
母にそう言われていましたが、
文字が読めても、肝心の文章は飛びました。
志望の高校もギリギリ。さらに補欠で入った大学でも音読の時間に、何度も主人公の名前を読み間違えてしまったほどです。万事がその調子でしたから、母に私を褒める要素はなかったでしょうね。
目に浮かぶのは母の怒ったような困り顔。
加えて。
母から自身の母親が嫌いだと愚痴を聞かされ続けたせいで、
私の顔はその祖母にそっくりなので、
自分の顔が嫌いになったという曰く付き。
金銭面でも姉弟のように上手く頼れずに、
18歳からできる限り、実家を避けてきました。
日本とカナダに離れた現在、さらに疎遠ですが、それでも長年のわだかまりを改善するのは可能でした。
母も私と同じく全摘経験者だからこそ、身をもってわかってくれる。
これからも長生きしてほしいし、
私自身も長生きすることが親孝行だと思っています。
さて、私は術後5週目になりました。
創部のキズ口は、毎日欠かさずにマッサージ。
そのおかげなのか、胸とお腹が突っ張らず、可動域に制限を感じません。
手術で分断された神経も再生してきたようで、感覚が戻りつつあり嬉しいです。
最近はもっぱら、
キズ口にはヒフを柔らかくする効能のヒマシ油を。
マグネシウムオイルは、トシで弱っている足腰関節痛に塗るといい感じに紛れます。
それにしても、
できることが一気に増えました。
草刈り鎌をザックザックと振るったり、
シャベルの長柄を使った如意棒エクササイズも。
腕立て伏せの筋トレもokです!!
健康的によく食べ、よく寝ることをモットーにして、
春を探すお散歩も好きです。
のんびり楽しいだけでなく、白髪染めもしないと。
留学生を招いたご近所さんとLet's party!!
こんな日常をすごしていられるのも、
私の『My journey』、がん治療の主役は、
手術で摘出されたがん細胞のほうなので。
ホルマリン漬けは、アメリカでオンコタイプDXの検査のため、あと2週間は帰ってこないです。
私は仮釈放中ってことで。
結果が悪ければホルモン療法の前に化学療法。
その心構えと下準備はできています。
再発予防の寄り道は、たったの半年ですから。
将来はわからないけれど、
その先の人生という長旅のために、
今一番ほしいと思っている物は、
シリコンパッド(人工乳房)
例年は乾季にあたる真夏が山火事の時期ですが、積雪量が少なかった今年は、すでに脅威があります。
400km先に避難勧告が出たので、サバイバルバッグ、つまり緊急時の持ち出し品の確認が必要です。
互助組織もない田舎で頼りになるのは自分たちだけですよ。
ふと気がついたのは、
片胸がないアンバランスで、重たい荷物は背負えない。
でも再建する気はありません。
理由は、
・全摘でも万が一、取り残しで同側内に再発があった場合、発見が遅れる可能性。
・将来今より痩せたとき、左右不均等になる可能性。
・うつぶせ寝が好きだから。
私は調整の効く外付けのパッドがいいです。
術後回復してくると、ふかふかのパッドでは物足りなくなると聞いていましたが、まさにその通り。
早くほしいな~。
術後8週を過ぎないと作れないそうで、もうしばらくは我慢。
幸い火の手が迫っているわけではないから。
保険の追加プログラムがないと高価だから。
夫は私のがん治療の送迎ができるように、転職して間もなく、(だから私も含めて)今はまだその追加がなくて。
カナダは3ヶ月の試用期間は、そうなる扱いです。
それさえ過ぎれば、装具を作るのも、薬局の負担も全額から少額に変わる。
ちなみに、
病院での医療費に限っては、追加保険は必要ないです。
本当に手厚い国なので、助かってます。
オンコタイプDX、日本では患者負担が13万円と聞いて、私はびっくり(カナダは無料)。
最新医学が高額なのは開発費ですね。
でも、ひとたび保険適応とするなら、
政府が払い下げてほしいです。
この検査は未来のがんの姿を数値化するもの。
それをもとに決断するのは患者の権利です。
その権利をお金に換算されると切なくなります。
必要な人には平等に。
持つ、持たざるに依らないことが、保険システムの根源でありますように。
それでは。
同じ病気の人たち、お互いに頑張りましょう。
健康と長寿を願う全ての人たちと繋がる、
ノートで、
また。
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