25歳 女性 アトモキセチン(ストラテラ)服用記録 「受診後〜WAISⅢ検査」

受診編です。
初診は確か30分ほどでした。
医師は丁寧に話を聞いてくれました。生育環境や家族の話、現在の困りごとを聞いてくれて、簡単なチェックテストをやりました。
チェックテストでは中等度のADHDであるような結果がでましたが、あくまで主観なので分からない。とりあえず不注意があるADHDの疑いだが検査結果も加味して診断したいと言われました。

ここまで私の読み通りの対応だったので、特に意外に思うことはありませんでした。検査の予約をして検査代もついでに支払って帰りました。
検査代は2万ほどしましたが、検査もせず主観のみで薬を出してくる医師よりずっと信頼がおけると感じました。

そんなこんなで、二週間後に検査の日。
診療所内の普段の診察室とは別の部屋で、臨床心理士さんにより行われました。
色んな方のブログにこの検査(WAIS III)について書かれていましたが、細かい試験内容は未知のまま行きました。
指示された通りに記号を書いたり、パズルを使ったり、質問に答えたりと、想像通りのIQテストという印象でした。出来は自分の中では何とも言えない感じで、自信があるものとないものがある…と言った具合で手応えはありませんでした。

そして二週間後に医師から結果が返ってきました。
(結果の検査名を見てWAIS IIIであることを知りました)
結果は、全検査のIQ群指数は114で、
言語性、動作性、言語理解、知覚統合、作動記憶は108〜117の間でばらついてました。作動記憶(ワーキングメモリ)が117であることが、意外でした。言われたこともやったこともすぐに頭の中から逃げていく感覚があるのに…

ただ、処理速度のみ97と、平均を割りました。これは予想通りでした。
また、下位検査の結果についても、積み木や符号、組み合わせが平均を割っていたり、単語や配列は飛び抜けてできていたりと、グラフがジグザグでした。
それらと現在の困り感、幼少期の様子を加味して、ADHDだろうと医師に言われました。

と、やっと人にADHDがあると言われて、私自身はあまりショックではありませんでした。
むしろ、自分の能力ステータスが分かって、自分の努力不足を責める気持ちから解放されたのです。処理速度以外に、人並み以上にできる項目も多くて嬉しい気持ちすらありました。
不安は消えはしませんでしたが、もともと気体のように心の中にぶわぶわと広がっていたものが、個体として形になって手に取れるようになった感覚がありました。

それから治療方針について話がありました。もともと、治療薬を試してみたくて受診した旨を伝えてあったので、予想通り三種類の治療薬(アトモキセチン、グアンファシン、メチルフェニデート)について説明してくれました。
と言っても、グアンファシン(インチュニブ)は不注意よりも多動や過集中に効く薬で、メチルフェニデートは登録しないと出せません。その登録のためには母子手帳や昔の通信簿や第三者からの口添えなどが必要です。いざとなれば母に相談して口添えしてもらうつもりでしたが、まずはアトモキセチンで良いだろうと思い、アトモキセチンの処方をお願いしました。
ジェネリックの丸い錠剤で、まずは1回10mg1日2回から。
吐き気などの副作用が出やすいからとにかく食後に。

その他副作用について説明を受けて、最後に何か聞きたいことはあるかと聞かれたときに、
やっとADHDについて一人で必死に向き合ってきた自分の糸が切れて、思わず本音がこぼれました。 

「私はまだ、仕事で困るようなことは起きてません。会社の人はみんないい人で、ミスをしても責めませんし、少しずつ仕事に慣れていけば仕事が今よりできるようになるかもしれません。ただ、これからどんどん不注意が仕事の邪魔になっていく不安や予感があるので受診しました。こんな状態で薬を飲んでもいいのでしょうか」

私ははっきり、生活の上で誰かにADHDがあるから迷惑だと言われたわけじゃなかったのです。飲食のバイトも周りに恵まれ、5年間続けてリーダーになれました。向いてはなかったですが。
この頃、幼少期から高校まで同じ学校に通った友人に、自分がADHDかもしれないと居酒屋で打ち明けたら「あなたに限って絶対ないし考えすぎだ」と言われました。
ただ、私のポンコツな大学時代を知る別の友人にADHDかもと言うと、否定も肯定もしませんでした。私もそうかもしれなくて、悩んでるんだよね、と告白されました。

私はおそらく、ボーダー上なんだと思います。
しっかりした人から見れば、明らかにADHDの不注意があって、あり得ないミスをしている。
でもそれなりに抜けてる人から見れば、あーあるある。そんぐらい抜けてる子いるよねーでも別に仕事はできてるじゃんってぐらい。
「私ADHDだからさー」「あーADHDなとこ出ちゃった」って何の気無しに話す友人は私の周りに多いです。
そういう子からすると、私は普通の範疇なんでしょうね。むしろ真面目な分人よりできてるように見えてるかもしれません。能力に凹凸があるというのはそういうものです。

だからしっかり聞きたかったのです。
自分は保険を使って薬を飲んでいいのか。
ということと、
障害者という名目で、薬を飲むような人間なのか。

「大丈夫です。不安があって、今困ってることもあるのなら予防的にでも飲んでみたらいい。合わないなら辞めればいいから。」

そう答えてくれることは分かっていたけれど、やはり、自分の中にある答えだとしても、人に言われると安心感が違います。
ひどくほっとして、私は処方箋を受付でもらって帰りました。

私はいまだに思います。
違う職種なら、私はADHDじゃ無いんだろうなと。例えば南国で陽気な仲間たちとEDMをかけながら農村でバナナを取る仕事(そんな仕事あるのかしら)とかだったら、私はこんなことで悩んじゃいないし薬なんて飲まないんだろうなと思います。
でも、私は今着いてる職種が好きで、それをやるにはステータスが足りないので、薬を飲むことにしました。
そこに自分が障害者であるか否かという判断は要らないと思ってます。メガネをかけることと同じこと。きっとこの薬がまだ開発されてない時代に生まれていたら、喉から手が出るほど欲しいものだったと思います。
それが今目の前に手に入るチャンスがあって、しかも承認されてる上にジェネリックでお安く手に入る。試さない選択肢がないと、納得しました。

ただ、ここからが少し大変でした。
服用編へ続きます。




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