#17 ジャングル育ち
子育てをしていると、夫婦でそれぞれの育ちについて語らうことが増えた。
先日、飼っていた生き物の話になり、曲がり角で飛び出してびくともしないマイアミが少しおののいてたので、今日はひとつ、ぱちおの幼少期の生き物を話をしようか。
ぱちおの父は、生き物が好きだ。
海洋生物の研究がしたくて海洋生物について学べる学科に入学したつもりが、よくよく聞くと海の土についてのみ研究する学科だったらしい。
そのくらい生き物が好きだし、おちゃめボーイだ。
そんなおちゃめな父は、夜な夜なこっそりペットショップへ通い、そっと生き物を飼い出す。
毛が生えたやつは、アレルギーっ子だったぱちお姉妹のため禁止されており、基本は毛が生えてない生き物になる。
熱帯魚、リクガメ、ウーパールーパー、タツノオトシゴ…
そしてある朝起きると、いかにも毒々しい色のカエル(以下ドッ君)がいた。
ドッ君を飼うにはそのお食事も必要だ。
餌である生きたコオ●ギ(以下KO)も共同生活となった。
子供ながらに、その毒々しいカラーリングと素早い舌さばきを観察し感心していたのを覚えている。
KOたちは万年秋かのごとくリンリンと鳴き、家の中にいるのに秋の夕暮れの河川敷を思わせた。
ある日、KOの声が、カエルの水槽とは違う方面、というか家のあらゆるところからすることに気づいた。
KOの脱獄である。
日々少しずつ増えていく脱獄KO。
だんだんそれに対して違和感もなくなり、父の部屋のコピー機の裏からKOの鳴き声がする日々は日常となった。
そして、ある晩のことである。
父の部屋にいるはずのドッ君が、忽然とリビングに佇んでいた。
なに、自然な話だ。
逃げ出した脱獄KOを追い、ドッ君も水槽からシャバに狩りに出たのである。
父が仕事にでかけていない夜、母と妹3人で大パニック。
大騒ぎで魚取り網を振り回すも、予想の5倍はある持ち前の跳躍力をもって華麗にかわすドッ君。
女3人衆でなんとか階段下の棚の下まで追い詰めたが、奥に引っ込んで出てこない。
ツンツンして飛び出してくるのをまつこの時間が恐ろしく長く感じた。
しばらくしてドッ君がついに姿を現した。
が、
その!!
姿は!!!
まるで!!!
祟り神!!!!
長年掃除を怠った棚の下の埃やらなんやらがシットリバディに張り付いて、当社比3倍くらいのモッフモフの祟り神へと姿を変えていたのである。
怖い通り越して畏怖の念。
祟り神なんかにならないで・・!
と、なんとか網をふわっとかけた。
しばらくしてシシガミ(父)が森に帰り、祟りは祓われ、無事食事にありつけたドッ君なのであった。
そんな幼少期のぱちお家のジャングル〜な日常でした☆
おしまい☆