マッチングアプリをやりこんでいた時の話②初めてのアポ編
こんにちは。
今日もマッチングアプリの思い出シリーズ。
初めてのアポのお話。
前回は会員登録とスワイプの話だったけど、
生身の男の人と実際にお会いしたのは
登録後1ヶ月以上経ってからのことだった。
理由は色々あるけど、やっぱり一番の理由は
気乗りしなかったから。
暇はメッセージと電話でぼちぼち潰せていたし、
恋愛のモチベーションにもムラがあった。
今彼氏作ってもしょうがないなーみたいな。
ただそんな中、ずっと連絡が途切れなかった男性が一人だけいた。
旧帝大の大学院に通う理系男子の
Kくん(当時23)。
共通点といえば、飲みに行く場所や行動範囲が同じなのと、お笑いが好きなこと。グルメなこと。知的なユーモアを好むこと。など。
Kくんはアプリのプロフィールにはっきり顔がわかる写真は載せていなかったから、会うまで後ろ姿しか見たことがなかった。
でも一回電話した時、歳の割に落ち着いてて優しい話し方とか、バリバリ高学歴なのに意外と抜けてるとことか、ちょっと根暗っぽいのにお笑いライブに通い詰めてるとことか、そういうギャップの多さに惹かれ、会ってみたいなと思った。
家が近くて一人暮らしなのもよかった。
声や後ろ姿から、なんとなく星野源みたいな顔してるんだろうなーと勝手に想像していた。
以後、便宜上源くんと呼ばせてもらう。
源くんから一度会いませんかと言われ、是非、私も会いたいですと初めて言った。
1週間くらい先の日に予定を決めて、「美味しいお店予約しときますから!😊」という源くんの計らいに胸を踊らせながら、いよいよ私たちは初対面の日を迎えた。
その日、私は仕事終わりで、源くんは研究室帰りだった。
私は早めに集合場所の最寄駅に着いていた。
駅から少し離れるけど、あそこの大きい本屋さんで落ち合いましょう、と連絡が来ていた。
集合時間まではまだ30分ある。
ショッピングモールに入り、香水を見たり、トイレで髪を整えたりしていた。
ウインドウショッピングを楽しみながら、なんとなくお腹あたりに違和感があり、ふと見ると、
元々少し糸がほつれていたズボンのボタンが
ほとんど取れかかっていて、チャックが全開になっていたのだ。
ボタンがゆるゆるのままではチャックが閉められない。初対面で社会の窓全開はダメだ。普通に初対面じゃなくてもダメだ。やばい。
私は大慌てでDAISOに向かい、小さな裁縫セットを買った。
トイレでズボンを脱ぎ、もう丁寧さとか仕上がりとかそっちのけで、とにかく縫いつけまくった。
必死に玉留めをし、なんとかボタンをつけることができた。チャックが閉まる。よかった…
ふと時計を見ると、集合時間まであと10分を切っている。激ヤバだ。
集合場所まで普通に歩いたら10分かかる。
そもそも、社会人として、10分前に到着しておきたいと思っていたのに。
そのタイミングで、スマホにタップルから通知が。
「着いてます!」
とりあえず、駆け出した。信号待ちで
「ピッタリくらいに着きます!お待たせしてすみません。」
と送り、せっかく整えた髪を乱しながら、ボタンを再び弾け飛ばすくらいの勢いで、なんとか集合2分前に到着することができた。
この時、確か10月上旬くらいだったように思う。
夜だからとヒートテックもコートも着ていた。
それまでは風を切って走っていたので大丈夫だったのだろうか。
本屋の前に着き、足を止め、一息ついた瞬間、
サウナくらいの汗が、全身の毛穴という毛穴から噴き出してきたのだ。
マジやめてくれよ、なんなんだよ。
汗っかきの私でも、さすがに秋の夜にここまで汗をかくのは異常だ。異常な状態で会って、異常な印象を植え付けたくはない。
ただ時間がない。とにかくハンカチで顔と前髪の汗を拭き、コートを脱いで服をはためかせながら源くんの姿を探した。
「あ、むくさーん?」
ドアの横あたりから一人の男性が声をかけてきた。源くん!顔は見たことなかったけど、雰囲気で分かった。
初めて見る源くんは、背が高くてすらっとしているけど垢抜け切っていなくて、
なんていうか、おしゃれをした藤井隆みたいなビジュアルをしていた。
あ、全然星野源じゃなかったな。
藤井隆だったわ。と素直に思った。
いいとか悪いとかじゃなくて。
「あは、ほんまにピッタリでしたね!じゃあ、行きましょっか?」
私の雨上がりかのような汗だくビジュアルには言及することなく、源くん、ではなく隆くんは、颯爽と歩き出した。
颯爽と、というのは良く言い過ぎかもしれない。
当時の私の感想そのままに言えば、
ハンター試験の中盤に「おい、どんどん加速してないか?」とみんなが焦り始めるレベルの早足だった。
1分もしないうちに、引っ込みかかった汗が、あれ、まだ出番終わってませんでしたかね?とばかりに再び噴き出し始めた。
だるいって。マジで。
バケツをひっくり返したような汗だくの女がいるって噂になってX旧Twitterでバズったらどうすんねん。
汗の量に比べたら紙石鹸のように頼りなく小さなハンカチを握りしめ、ワカメのように束になった前髪をバラしながら、我々はお目当てのスパニッシュバルに到着した。
道中、隆がこちらを振り返ることはついぞなかったが、むしろそれはありがたかった。今回だけは。
次回、隆との初アポお食事編!
出会うまでに色々書きすぎましたが、次回以降さっくり進みます。
続きもお楽しみに〜!
おわり