J下部と部活の違い
J下部と部活の違い(個人の話)
最近、常に考えていることがある。それは、育成年代で「サッカーを教わる選手」と「ただボールを蹴ることを教わる選手」の違いについて。
スポーツは「頭でプレーする」ことが大切であり、サッカーも例外ではない。
では、「頭でプレーする」とは何だろうか。
サッカーは、スペースを奪い合いゴールを目指すスポーツである。
ゴールを奪い合い、ゴールを守るスポーツである。
頭の中で「いつ、どのタイミングで、どこに、どうプレーすれば良いか」を考え、それを実行する必要がある。
「頭で良いプレーをする」ためには、まずサッカーとは何か、どのようなスポーツなのか、そして「プレーの原則」が理解されていなければならない。
では、この原則をどのように学べるか。それは、J下部や指導者ライセンスを持ち、かつ原則を深く理解した指導者に出会うことである。
なぜここまで指導者にこだわる必要があるかというと、サッカーを理解しないまま小学校から中学校、高校と進むにつれて、サッカーの楽しみ方に大きな差が生まれてしまうからだ。
例えば、これは実際の話だ。
※高校の上位校は別の話
J下部から県ベスト32ほどの高校に進学した選手の話をしよう。
その選手はU-13からU-15までJ下部でサッカーの指導を受け、サッカーの原則を学び、「練習の中ではトレーニングの意図」や「何を考えてどのようなプレーをすると効果的なのか」を常に考えながらプレーするサッカーを学んできた。そのため、戦術的な理解も深まり、意図を持ってプレーすることが当たり前になっていた。
しかし、残念ながらユースには上がれず、高体連のサッカーを経験することになった。そこでは、サッカーをしているようでいて、実際には「サッカーの顔をした球蹴り部」と出会ってしまったのだ。
何が違うのか。まず、練習の意図が選手に伝わっていない。今日の練習はこれだ、さあ始めよう、という形でボールを蹴ったり走ったりするだけで、淡々と続いていく。そこには「考える」「判断する」という要素がない。
こうして、楽しいはずのサッカーに違和感を感じてしまう。結果、高校1年間のプレーしてきたがJユースとの試合で1年間学んだことを比較すると取り返しのつかない差が生まれていることに気づかされた。そして彼は、サッカーを辞める決断をする。その後、他のスポーツに出会い活躍するが、引退した今でもサッカーが好きで仕方がないという。
もし指導者がJ下部での経験を引き継ぎ、高い指導レベルを維持していたなら、きっとサッカーを続けていただろう。
この話からもわかるように、J下部でトレーニングを受けることでサッカーの理解は確実にレベルアップする。一方で、違うチームでもし指導のレベルが合わなければ、サッカーを楽しむことさえ難しくなってしまうリスクがある。
指導者との出会いが、選手の運命を左右する。だからこそ、指導者はとても重要である。
サッカーに限らず、スポーツで自分のレベルに合わないチームでプレーすることは良いことだろうか?答えは「ノー」である。
やはり、地域スポーツクラブが必要な時代ではないだろうか。
そして、指導者はただ「ボールを蹴る」ことを教えるのではなく、「サッカー」を教えなければならない。
現在、指導者の質もJFAや各地域FAの努力で向上してきている。
たくさんの選手がサッカーを楽しく続けられるように、指導者として日々学び続けていこう。