アメリカの移民はペットの犬猫を盗んで食べているのか?
9/10に行われた大統領候補討論会にて、トランプ前大統領が移民がペットの犬猫を盗んで食べている、という発言がありました。これがアメリカ内外含め大きな反響を呼んでいるようですが、事実関係がどうなのか気になりましたのでまとめました。
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移民がペットを食べたオフィシャルな発表はない
まず事実関係から。当日のABCニュースでも司会者から補足がありましたが、トランプ前大統領が発言した、オハイオ州のスプリングフィールドで中南米の国であるハイチからの移民がアメリカ人のペットを盗んで食べている、の確かな根拠はありません。広大なアメリカでそういうことが一つぐらいあるのかもしれませんが、少なくとも発言の中のオハイオ州のスプリングフィールドではローカル政府なり警察なりからオフィシャルな発表はありません。
SNSではそういうことを主張するコメントはあります。以下のドキュメンタリー動画では実際にスプリングフィールドに赴き、現地のローカル人とハイチ移民にインタビューを行い(Bappa Shotaさんようなスタイル)、住民の中にはインタビューの中でそういうシーンを実際に見たという人もいますが、一方ハイチ移民に行ったインタビューではそういうことはしていない、とも言っています。
https://www.youtube.com/watch?v=rvZTr3F_YZI
いずれにせよ客観的な証拠として、実際ペットを盗んで食べている写真なり動画なりがあるわけではありません。現時点ではそういう問題は発生していないという結論でよいのではないでしょうか。
移民がペットを食べるというのは昔からある噂話
何も知らないアメリカ外の人から見ると、突拍子もない話と感じると思いますが、移民がペットを盗んで食べているのではないかという陰謀じみた与太話はアメリカで昔からあるようです。以下のRedditのコメントが参考になります。
原典としてアジア系の住民が昔アメリカに移住した際に、そういう話が誕生したと説明されています。実際アジアの一部国では犬猫を食習慣として食べているのは事実ですが、その当時本当に移民がペットを食べていたか、または単にその食習慣から連想してデマを言ったのかはわかりませんが、いずれにせよ今回のはオハイオ州のスプリングフィールドの件とは直接の関係はありません。
アメリカ人が猫を食べる事件はあった
ちなみに争点となっているスプリングフィールドとは別の場所で移民ではないアメリカ生まれのアメリカ人が猫を捕まえて食べたという事件は8月に実際にありました。複数の住民の目の前で猫を食べ、警察がついたときには頭をつぶされた猫を抱えていたというなかなかショッキングなシーンだったようです。
https://www.usatoday.com/story/news/nation/2024/08/22/ohio-woman-ate-cat/74902749007/
移民がローカル政府のインフラをひっ迫させているのは本当
とはいえハイチ移民がこのスプリングフィールドに大量に押し寄せ、現地の公共福祉なりインフラなりをひっ迫させているのは本当です。もともと6万の市に過去3年で移民が2万にも増えたため、その影響は非常に大きいものとなっています。その中で当然ローカルの市民との争いは今後も続くでしょう。
もっとも過去50年で人口減少が続いていたスプリングフィールドにとっては経済発展につながる可能性もあります。