トラベル系最上級プレミアクレカの比較

年会費が高いアメリカのトラベル系クレジットカードをまとめて紹介します。この手のカードをプレミアカードと呼ぶこともありますが、特に今回は項目ごとに以下の代表的な4枚のカードを比較し、それぞれでランキングもつけました。基本的にどれもトラベルに特化しているカードですので、スタイルに合わせてどのカードがお得かご検討してもらえると幸いです。なお本記事の情報は2024/10時点の情報となります。

Amex Platinum

Chase Sapphire Reserve(CSR)

Capital One Venture X(C1VX)

U.S. Bank Altitude Reserve Visa Infinite(USBAR)

実質年会費、トラベルクレジット

まず一番気になる(?)年会費自体は以下の通りです。いずれもやはり高い。
Amex Platinum $695
CSR $550
C1VX $395
USBAR $400

一方でいずれのカードも毎年付与される特典が豊富です。特にトラベルに使えるクジレット/クーポンが多く付与されるのがこの手のカードの特徴で、いかにこれを使いこなすかが年会費の負担を下げるコツです。各カードのトラベルクジレットをまとめると、

Amex Platinum
エアラインクジレット$200(航空券には不可、エアラインを選ぶ必要あり)
ホテルクジレット$200(旅行ポータル経由の必要あり)
Uberクジレット$200

CSR
トラベルクジレット$300
旅行ポータル経由無しで対象が航空券からホテル、レンタカー、公共交通機関、旅行代理店、駐車場代など幅広い。

C1VX
トラベルクジレット$300+ポイント10k
旅行ポータル経由必要。航空券、ホテル、レンタカーが利用可。

USBAR
トラベルクジレット+レストラン$325 
旅行ポータル経由無しで対象が航空券からホテル、レンタカー、公共交通機関、さらにレストランにも使える。

Amex Platinumは額自体は大きいですが、制約も多いため注意が必要です。特にエアラインクレジットが実は航空券に使えるわけではないのは誤解しやすい点です(実は使える裏技があるようです)。また対象のエアラインを毎年1回選択する必要があり、それ以外のエアラインには使えません。
CSRは年会費の割にトラベルクジレットが低いですが、ただ旅行ポータル経由無しで使え、対象も広いのが良い点です。USBARはさらにレストランも対象のため使いやすいと思います。C1VXは旅行ポータル経由が必要ですが、他に10kのカードポイントが毎年得られます。

これを考慮すると実質的な年会費は以下の通りになります。

Amex Platinum 695-600=$95
CSR 550-300=$250
C1VX 395-300-100=-$5
USBAR 400-325=$75

特にC1VXは実質的年会費がマイナス$5と、負担なしで所有ができ、そこがこのカードの評価が高い最大の理由です。この項目は発行特典を獲得した後の2年目以降も保有しやすいかにも関係しますが、後述する日常支払いも考慮するとC1VXやUSBARは優れていますね。Amex Platinumはトラベルクジレット利用の制約が先述した通り厳しいため、個人的には実質的な年会費はもうちょっと高くしたいですが、今回は一旦$95としました。一方フレキシブルとはいえどう使ってもCSRは年会費が高くつき、あまりクレカ界隈で評価が高くない理由です。

以上より、優劣をつけると
C1VX>USBAR>>Amex Platinum>CSR
というところですかね。

発行特典

次が発行特典です。数字だけを並べると以下の通り。
Amex Platinum 標準80k、キャンペーン100k-175kポイント(MS $8k 6カ月以内)
CSR 60kポイント(MS $4k 3カ月以内)
C1VX 75kポイント(MS $4k 3カ月以内)
USBAR 50kポイント(MS $4.5k 3カ月以内)

期間限定での発行特典増加キャンペーンは他カードにもありますが、特にAmex Platinumはここ最近は恒常的に最大175k増加キャンペーンがありますので、そこは他カードとは評価を分けられます。一方Amex PlatinumはGold含め他のAmexカードにも言えることですが、基本カードを発行したらそのカードを解約後再度申請しても発行特典は得られません。発行特典を得ることができるのは人生で1度(lifetime offer)きり、という考えですが、実は一部例外があるようです。他のカードはカード解約後、48か月後に再度申請すれば再び発行特典が得られます。

発行特典の話とは少し違いますが、CSRはChaseの最高評価カードの一つであるSapphire Preferredと同時に所有することが出来ないため、そのCSPを選択として捨てないといけないのがやや残念なところです。

以上より、発行特典について優劣をつけると、以下の評価です。CSRの評価が低いのは先述したCSPとの同時持ちができないことを反映しています。
Amex Platinum>>C1VX>CSR>=USBAR

パートナーシップ、ポイントの利用

次にポイントの使い道ですが、まずUSバンクはキャッシュ系のみで、エアラインやホテルポイントに交換はそもそもできません。CSRのURポイントはHyattに使える点が評価が高く、アメリカ大手エアラインでありANAとも提携するUnited航空マイルも対象なのが良いです。またキャッシュとの交換レートが高い(1:1)というのもやや有利だと思います。AmexのMRポイントはそのANAが直接対象、そして同じくアメリカ大手エアラインのDeltaも対象なのが注目ポイント。MRポイントは対象のエアラインの数が多いというのも良いです。
さて最後のCapital Oneですが、アメリカの大手エアラインがリストになく、Hyattのようなキラーパートナーもないため、ポイントパートナーシップという点ではどうしても評価が下がります。

以上、ポイントの使い道については以下の評価としました。
CSR(URポイント)>Amex Platinum(MRポイント)>>C1VX(C1マイル)>>USBAR


その他クレジット/クーポン

先にトラベルクジレットを紹介しましたが他にも様々な特典が各カード用意されています。内容が豊富な一方、一部の人にしか縁がないものが多いため、個別の説明は省略。ただいずれも額面自体は$100以上の価値があるため、もしすでに使っている、使う予定のサービスがあればそれだけで先の実質年会費の計算も多く変わると思います。
全てのカードに共通する内容としてTSA PrecheckとGlobal Entryのクジレットが得られます。


ラウンジサービス

プレミアカードを持つ理由の一つが空港ラウンジが使えるところですが、そのラウンジも一般的なラウンジサービスと各カード会社が所有するラウンジへのアクセスの2種類があります。前者がPriority PassとPlaza Premium、後者がCenturionラウンジ(Amex)、Sapphireラウンジ(Chase)そしてCapital Oneラウンジ(Capital One)があります。USBAR発行元のUSBankは独自のラウンジはありません。Amexの場合さらにデルタ空港など提携エアラインのラウンジ特典が豪華です。最近CSRでAirCanadaのラウンジが使えるようになりました。代表的なラウンジと各カードの対応をまとめたのが以下の表です。

やはり数だけ見るとAmex Platinumが圧倒的。カード会社所有のラウンジもChaseやCapital Oneはアメリカ国内に数か所あるのみですが、Amex Centurionラウンジはアメリカ内外含め、多くの地域にありますし、2025年はついに羽田空港にもオープン予定です。Priority Passは基本どのカードも持っており、今はPriority PassでPlaza Premium Loungeも入れるため多くのラウンジがカバーできます。priority pass restaurantが利用できるのはUSBARのみなのが意外かもしれません。昔は他の3カードも対応してましたが、収益性の関係で今は廃止されています。その流れを考えると、USBARもその内廃止となる可能性は充分ありそう。もしご家族も利用されたい場合はAuthorized Userが料金がかかるかどうかも要確認。Amex Platinumは$195と高めですが、ラウンジ以外も次に紹介するホテルステータスも付きますので旅行をするなら価値はあると思います。
なお最近は日本のクレカでもそうですが、ラウンジ特典はカードの内容の中でもよく変わる項目のため、頻繁にチェックをしたほうが良いですね。

以上評価をまとめます。主にアメリカ国内のサービスを考慮しているつもりですが、もし国際線がメインの場合はもう少しUSBARと他カードの差はないと思ってもよいかも。いずれもやはりAmexは圧倒的な評価ですが、そもそもこの豪華なラウンジサービスを享受するのがAmex Platinumをもつ目的でもありますので、さすがというところです。
Amex Platinum>>CSR=C1VX>>USBAR

トラベルサービスステータス

ランキングはつけませんが、ラウンジ以外のステータスをまとめます。一部カードではホテルやレンタカーサービスの会員ステータスが得られます。

Amex Platinum
まずホテル会員ステータスとしてヒルトンとマリオットのGold会員ステータスが与えら、部屋のアップグレードや朝食が無料で得られるなどがあります。またレンタカーのNational Car RentalのExecutiveステータスとHertzのPresidents Circleステータスも得られます。詳細は後述。すでに述べましたがデルタ空港のラウンジが使えるなどもある種の会員ステータスなのかもしれません。

CSR
レンタカーのNational Car RentalのExecutiveステータスが付与されます。借りる車がアップグレードできたり、チェックイン作業が早まるなどサービスが得られます

C1VX
レンタカーのHertzのPresidents Circleステータスが付与されます。これも車のアップグレードやチェックイン作業が楽になったりの特典が得られます。ただ残念ながら2025年以降は廃止されます。

USBAR
Relais & Châteauxというホテルポータルがあるのですが、そこで会員ステータスが得られ、朝食サービスなどがあるようですが、詳細はわかりません。

カード支払いポイント還元

そこまで重視されないかもしれませんが、日常支払いのポイント還元をまとめます。
一覧にまとめると以下の表の内容になります。

一部は10倍還元もありますが、割高なこともある旅行ポータル経由限定であることに注意。特に注目なのがUSBARのモバイル決済(Apple Pay、Google Pay、Samsung Pay)経由なら3%となること。また、USBARで得たポイントはUSBankの旅行ポータルで使えばx1.5のプレミアがつくため、額面だけ見ればこのモバイル決済のポイントも4.5%となります。

日常支払いという意味ではアメリカでもAmexはたまに使えないところがあるのも要注意。日本もそうですが海外でもAmex不可なところは結構あります。またどのカードも海外手数料は無料なのですが、気を付けてもらいたいのは、ドルとの為替レートはどのカード会社もやや割高に下駄をはかせています。要はGoogle Financeなどで見る為替レートよりやや損する方向でレートが設定されます。特に注意なのがこれもAmexで他カードのブランドであるVISAより多くのマージンを取っています。

以上評価をまとめると、
USBAR(スマホ決済が可能な場合)>C1VX>CSR>Amex Platinum

とはいえ、下位互換カードと連携し、日常支払いはそちらの方に任せることも一つの方法です。Chaseなら年会費無料のChase Freedom Unlimited/Flex、Capital oneならSavor Oneと組み合わせるChase TrifectaとかCapital one Duoと呼ばれる方法ですが、そういった手法が利用できるならそこまで気にしなくても良いかもですね。逆にいえばUSBARはトラベルも日常支払いもなんでもこの1枚で済ます、という性格があります。

その他

旅行保険についてはどのカードももちろん充実していますが、預けた荷物の遅延は対象としないカードもあります。また携帯の保険があるカード無いカードがありますので、そこは要確認。
いずれのカードも最上位のカードゆえにアクセプトが難しいカードもあります。Amex Platinumは比較的入手しやすい、CSRもそこまで難しくないと思いますが、C1VXとUSBARは厳しいと聞きます。
下位互換カード(年会費無料有料含め)とのポイント連携も可能なカードがありますが、特にCSRは旅行ポータルの支払い限定ですが、Freedom Unlimited/Flexで獲得した日常ポイントがx1.5のプレミア付きで変換できますので、ここがCSRを選択する代表的な理由の一つだと思います。

結局どのカードがおすすめ?

以上をまとめると、
Amex Platinum
ラグジュアリーな旅行を徹底的に楽しみたい

Chase Sapphire Reserve
Chaseカードプラットフォームを利用尽くしたい、利用できる方

Capital One Venture X
コスパよく年会費の負担とトラベルを両立したい

U.S. Bank Altitude Reserve Visa Infinite
トラベルはそこそこ、日常支払いにも使っていきたい。

という感じでまとめました。やはりラグジュアリーな旅を楽しみたいならAmex Platinum、コスパを重視するならC1VXです。CSRは他のChaseカードのポイントを旅行ポータルでx1.5のプレミアで利用できるなら選択肢になると思いますが、もうちょっと頑張ってもらいたいという声は多いですね。USBARはスマホ決済という条件はありますが日常使いに優れており、すべてを1枚のカードで済ませたいような場合はお勧めです。

年会費が高く特典も被るため、何枚も持つということはあまりないかもしれませんが、とはいっても年会費1年分の価値は発行特典に十分あるため、トラベルクレジットが消化できるなら複数発行してもよいと思います。

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