ペルソナ5ザ・ロイヤル 感想・考察※ネタバレ

※重大なネタバレを含む※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「丸喜の現実」の仕組み

とりあえず整理しておきたい。

・例えばマダラメパレスの開かずの扉が斑目本人の認知の変化によって開いたように、本人の認知の変化はパレスに作用する。
・天候や怪盗団の認知度のように、パレスを持たない者の認知の変化は、メメントスに作用する。
・聖杯の力でメメントスと現実が融合した。

→これらのことを総合すると、12月24日以降の世界は、一人一人の認知の変化が現実の在り方に作用する状態だということになる。

・丸喜はペルソナ「アザトース」の力に覚醒し、「曲解」の能力を得た。これは大雑把に言えば対象者の現実に対する「***だったら良いな」という思いを起点として「現実は***だ」と思い込ませる、限定的な認知の書き換え能力だ。

→つまり12月24日以降のメメントスと現実が融合した世界において、丸喜は人々の「こうだったら良いな」を現実のものとする能力を持つことになる。これが「丸喜の現実」だ。

※あくまで人々の「こうだったら良いな」を現実のものとする、という範囲に限られるところがポイント。決して現実を意のままに書き換える能力では無い。

「丸喜の現実」と明智吾郎について

俺も2月2日に丸喜に指摘されてようやく気付いたんだけど、実は「丸喜の現実」において認知の歪みによって「実は生きていた」ことになって存在していた明智。しかし、気になる点が一つ。それは認知が歪んでるのは誰なのかってこと。

一色若葉は、双葉の認知の産物だ。双葉が「若葉が生きている現実」を強く望んだからだ。

奥村社長は、春の認知の産物だ。春が「父が生きている現実」を強く望んだからだ。

では明智は?「明智が生きている現実」を強く望んだのは誰?

普通に考えれば主人公ってことになるだろう。明智との決闘の約束を果たしたい、忘れることはできない。だが。主人公はそもそも「丸喜の現実」を受け入れていない。主人公の認知は「曲解」の干渉を拒んだ。1月1日の夢の中で、自分の足で校舎から出たではないか。

じゃあ誰なのか。一つの可能性に思い当って、俺は震えた。

「明智が生きている現実」を強く望んでいたのは、俺だ。

誰よりも「明智が救済され、報われるルート」「明智生存フラグ」そういうものを強く望んだのは、ペルソナ5無印をプレイして明智の「どうしてお前が俺にないものを持っているんだ」という魂の叫びに憐憫の情を抱かざるを得なかった、俺たちプレイヤーではないか。

思い返せば1月2日、明らかに様子がおかしい仲間たちを目の当たりにしているところに、ルブランを訪れる明智。

「気付いてるんだろ?」

このセリフを聴いて俺は感動したものだ。言ってほしいセリフそのものズバリだったからだ。たった一人互いに認め合う好敵手同士、この状況において俺たちだけが気付いてる、わかってる。明智最高だな、そう思った。でもそれも、当然のことだったんだ。だってその明智は俺が望んだ、俺の認知の産物なのだから。

つまりペルソナ5ザ・ロイヤルの3学期というのは、俺たちプレイヤーが「丸喜の現実」を振り切って「明智は死んだ」という辛い現実を受け入れて、前を向いて進むことができるか、そういう代物なんだと思う。前を向いて進むってのは具体的には「明智が生きていることがハッキリわかる真エンディングを求めて周回プレイをする」のを止めるってことだ。

ゲーム内で主人公たちは丸喜パレスを攻略して、「丸喜の現実」を終わらせた。だが、俺たちプレイヤーはまだ囚われのままだ。

「丸喜の現実」を終わらせた後だというのに、すみれからは「丸喜の現実」の中でしか実現しなかったはずの初詣の写真が送られてくる。

地元に戻る電車の窓からは明智のような人影が目に映る。

まだだ。まだ何かあるはずだ。ってね。でもそれは俺たちが「明智は死んだ」という現実と向き合うことから逃げているからなんだよ。

まあそれだけではなく二週目はやりたいなと思うけど。

結局「改心」は正義なの?

これはもう無印の時から全編通して主人公たちに、そして俺たちプレイヤーに突き付けられ続ける命題。「当人の同意無く強制外科的改心を施す」、こんな行為が本当に正義と言えるのかという。エンディングを迎えてもなおこの部分に関するカタルシスが与えられることはなかった。

そしてこの命題は今作ザ・ロイヤルにおいてより強調された形で改めて突き付けられた。つまり「丸喜のやっていることと『改心』は何が違うのか?」ということだ。

俺たちは、主人公たちは丸喜の現実を否定する。だがどういう理由で、何の正当性があって否定するのか。考えれば考えるほど、丸喜と俺たちは同じなんだ。本人の同意無く強制的に認知に干渉し、認知をそして現実を変える。目的が何であれ結果がどうであれ、その手段自体は全く同じ性質を持っている。だが俺たちは、「改心」を否定せずに「丸喜の現実」は否定する。

しかしこの命題に対して、ザ・ロイヤルでは明快なカタルシスがもたらされたように俺は思っている。丸喜との決戦、最終局面は丸喜と主人公の殴り合いに帰結する。丸喜は叫んだ。

「…僕だってなあ!!」

これは、本当に胸に響いた。

丸喜の叫びは、丸喜の行いの動機が実のところ世界のためとか人々の幸せのためとかではなく、極めて個人的な、言ってしまえば「自分勝手な感情に基づくものである」ということを理屈じゃなく納得させてくれた。「それで良いんだ」って。

丸喜というキャラクターは、「改心」は正しい行いなのか?という命題に対して「お前たちがやっている『改心』はこういうものだ」ということを俺たちに見せ付ける鏡のようなものだ。だから、俺たちの「改心」の動機や是非についても同じことなんだ。鏡映しだ。俺たちは自分勝手な感情に基づいて「改心」をやった。正義とか間違っているとかは問題じゃなく、丸喜に対してそう思ったのと同じように「それで良いんだ」って。丸喜の叫びがそう思わせてくれた。

吉澤すみれ・吉澤かすみ

俺ね、登場当初からこの吉澤かすみというキャラクターが嫌いだったんだ。何とも言えないんだけど嫌な感じがして。作り物感、なのかな。

それは当然のことだった。全部作り物だった、能面みたいなものだったんだから。これは本当にやられた。シナリオの思う壺だ。実際三学期に入ってすみれのことを大好きになってしまった。

しかし、深読みしたくなるキャラクターではあるよね。「芳澤すみれ」が実体であり、「吉澤かすみ」は虚像だった。本当にそれだけ?

・初詣の写真、主人公は収監されていた期間のはずでは?
・最終日の挨拶回り、何故すみれはどこにもいない?
・駅のホームですれ違ったすみれはどこかよそよそしく。

何となくね、現実より幻想側の存在というか、そもそも「芳澤すみれ/かすみ」という人物自体が異世界由来の存在なのではないか、という気すらしてしまう。無印でもループ世界説とかあったし、ホームで出会ったのはかすみ状態のすみれなのでは、みたいな。そっち系の雰囲気がある。

ただ、バレンタインデーは普通に一緒に過ごせるし、浮気すれば普通にキレ散らかしてくるんだよ。ホワイトデーのデートも普通にできるんだよ。

この辺のところは二週目で観察してみたいなと思うところ。まあ別に何もなく深読みしすぎ、という可能性も大いにあるけど。

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