米国特許法101条が変わる?
米国特許では何かと話題に上がることの多い特許適格性ですが、現在、その条文 (35 U.S.C. § 101) の改正しようという動きがあります。
8月2日付で上院に提出された議案はこちら。
特段、驚くような内容ではないですが、これまでは発明として保護される対象を大まかに規定していただけ(原則規定のみ)だったのに対し、2012年のMayo最高裁判決、2014年のAlice最高裁判決(2つを併せて、Mayo-Alice判決などと総称されています)の内容を反映して例外規定を設けよう、というのが今回の議案の意図のようです。
この改正によって期待されるのは、101条の要件と、その他の特許要件(特に、新規性を規定する102条&非自明性を規定する103条)との違いを明らかにすることのようです。
というのも、Mayo-Alice判決では、ある要素が ”well-understood, routine, or conventional techniques”に該当するのであれば特許適格性を否定する方向に働く(101条で拒絶される)と示されているのですが、この要件は新規性や非自明性を定める102条、103条で判断すべきであって101条の要件とするのはおかしい、といった批判があるため、この辺の棲み分けを狙っているようです。
101条の趣旨なども踏まえると、上記判示にも相応の理由があり、102,103条と要件をごちゃまぜにしてしまっている、とまでは言い切れないと思うのですが、分かり難く、判断に迷ってしまうのも事実かな、と感じるので、議会での建設的な議論を期待したいところです。
一方で、このニュースに対するネット記事にもありましたが、条文が新しくなることで、条文の内容に対する新たな解釈が必要になるおそれがあり、新たな条文の下での判例が積み重ねられるまでは、結果に対する予測可能性が低い時期が生じてしまう懸念がありそうです。
なお、直接は関係ないですが、同じく101条に関連する内容として、現在、米国特許庁では、101条の審査基準について定めるMPEP § 2106に対する意見募集をしています(https://www.uspto.gov/blog/director/entry/providing-clear-guidance-on-patent)。
ご意見のある方は、ぜひこの機会を利用して米国特許庁にコメントを寄せてみてはいかがでしょうか。
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