アンナチュラルが面白すぎる
アンナチュラルを今になって全話見たのだが、あまりにも面白すぎるので感想を書き留めておくことにした。
雑記なので細かいツッコミは無しでお願いしたい。(大幅に間違ってたら教えて欲しさもあり)
当然ながら、ネタバレを多分に含むので注意されたし。
ラストマイルという同じ世界観の映画が発表されるということで、それに間に合うように見たかったのだがしっかり遅刻してしまった。このあとMIU404もラストマイルも見なければいけないので大忙しだ。どっちも見た。本当に、本当に面白かった。
忘れないうちに感想を書いておきたいと思わされたのでザっと書く。
ここからはいよいよネタバレの宝庫なので、出来れば自分で視聴してから見て欲しい。
印象に残っているシーンと、このセリフがここに掛かってるよね、みたいな考察と、なんとなくテーマが読み取れた部分については書けたらなと考えている。
あと鍵カッコを使っていても正確に引用出来ていない部分は多いかもしれない。かなり記憶で書いているので。
脚本家の方のnoteはこちら
全話通して
毎話毎話Lemonの入りがあまりにも良すぎる。
「夢ならばどれほど良かったでしょう」から始まるのがもうずるい。
このドラマの良さの一端を間違いなく担っている。
各話のタイトルがちゃんとタイトルとして仕事してるのがとても良い。
「遥かなる我が家」とか、すごくいい。
「死にたがりの手紙」はよくわかってないけど。ミスリードみたいなことなのかな。
食事を摂るシーンが多く描かれている気がする。死者と生者を対比する代表シーンとして描かれているのかなという印象を受ける。もっと深い意図がある気がするものの、これくらいの受け取り方でもいいのかな~って気もする。
一話でのミコトさんと研究者の人がポツポツ話すシーンとかすごく印象的だった。
構図も、シーンの移り変わりも、微に入り細を穿って作り込まれていて美しいなと思う。
話が面白いのは間違いないけど、話が頭に入ってくるという点も尋常ではないケアがされている気がする。
難しい単語や聞き馴染みのない単語が多くなるこのシナリオで、これだけ多くの人の心と捉えていてすごい。
取りこぼしてる制作意図が無限にあるだろうからこれはこうじゃない?ってのがあれば教えて欲しい。
第一話「名前のない毒」
UDI、法医学、そして登場人物たちの自己紹介のような回だったという印象。
法医学が死人を見るだけのものではなく、未来を見据えた学問だということをきっかり一時間で主張していた。
今になってから見ると、コロナ流行前のドラマにも関わらずウィルス拡散の恐れがあるとき社会でどういう動きがあるのかみたいなことをかなり正確に表現出来ていて、考証の丁寧さが輝いていた。
あと名前の無い毒は検出出来ない、という話は大変興味深かった。
名前の無い毒に名前を付けて未来に繋ぎたいみたいな話でもあると思ったし、これから遭遇する死者たちも素直な死に方してないんだろうなぁなんてことを考えていた。
最後のシーンの「敵は何だ?」「不条理な死」ってとこめっちゃ好き。
第二話「死にたがりの手紙」
一酸化炭素中毒死を装った凍死の話。
ミコトさんの過去深掘り回なイメージ。
被害者の手紙で最後まで希望を繋ごうと頑張った被害者と、最後の「ミコトさんは絶望とかしないのかな」って掛け合いが繋がっている気がして心地よかった。
死者の想いにフォーカスするのと、それ以上に生者の日常に溶け込ませるのがとても美しい。
第三話「予定外の証人」
温水さんがとにかくかわいそうでハマり役すぎて面白かった…w
すぐ感情的になるみたいに揶揄されていた立場が逆転するシーンはスカッとしすぎて最高だった。
中堂さんのパワハラと、被害者の受けていたDVとを重ねて描いているのも面白いと思った。坂本さんも言うてお金のためみたいな感じだったし。
さんざん男女差別みたいな話をした後に、神倉さんが最後に「差別のない世界を!」みたいに言うのも良かった。
第四話「誰がために働く」
久部くんが「夢とか見つかってなくて…」みたいな話をミコトさんにして、ミコトさんが「さぁ…目標くらいでいいんじゃない?」みたいな話が印象的だった。「誰かのために働く、とか。」って。
被害者が日常シーンで寝ている子供に向かって幸せになれよ~みたいに言ってて、これが彼の夢・目標だったんだろうなと。
あと被害者が過去、事故の瞬間、社長も被害者も息子たちも同じ花火を見ながら空を仰いでいたシーンの対比が効きすぎてて辛かった。ケーキがおざなりに扱われているのとか、メタファーなんだろうなぁと。
工場の人が立ち上がって証拠探しに奔走してくれたり、被害者の息子が被害者の死を受け入れて行く様子が描かれていたり、すごく良い話だった。
この回はちょっと泣いた。
第五話「死の報復」
中堂さんがマジでかっこよすぎる。
ミコトさんが絵本を手に取ったとき、中堂さんが少し笑うのが印象的すぎて。直後に法医学者として何か出来ることがあれば手伝わせてくださいってミコトさんが言うのに、中堂さんが今やってる。って返すの素晴らしすぎた。過去の事件を追いたい気持ちも当然ありつつ、法医学者が現在・未来のために頑張ってるんだなってことが改めて伝わってきた。
そして鈴木さんがかわいそうすぎて。
イカれた犯人に殺された奥さんを思ったら、受け入れて生きていきたくもないだろうし。殺したくなるよなぁ。
手を振り下ろす直前に「まだ間に合うから!」みたいな説得を受けて、「何が間に合うか!」って返すのが本当にその通りだよなぁと。
このシーン、雪も美しいし感情入り過ぎてて圧巻だった。
殺す奴は殺される覚悟をするべきだ。
こうじやさん事件の犯人を殺すつもりだし、その後殺される覚悟だってあるんだろうなこの人は。
激重覚悟が見えて中堂ファン大歓喜。
第六話「友達じゃない」
この話は被害者が悪人すぎて、途中の東海林さん言ってた悪者同士で勝手にやってくれよ!みたいなセリフにばかり共感してしまった。
東海林さん深掘回だったのかなぁ、という感じ。
友達じゃないってタイトルしかり、詐欺事件しかり、「嘘」あたりがテーマだったんかなぁという気はするもののあまり拾えていない気がする。
第七話「殺人遊戯」
友人の死を無駄にしないために頑張る白井くんの話。白井くんの演技が本当に良くて感動した。
法医学者としての見解を言った後、自分個人の見解として全部を告発するミコトさんかっこよかった。
全話通して同じことを描いていると言えばそうなのだが、残された側の無念の描かれ方が白井君の演技も相まってすごく印象に残っている。
ミコトさんの「あなたの人生はあなたのものだよ」と、中堂さんの「許されるように生きろ」があまりにも良すぎて思い出すだけで涙出る本当に。
あと科学捜査ライトすごかった。マダミスに使ってみたい。
ちなみに人質候補として挙がっていた海老原はどこいったんだ…?と思って調べたらどうやらカットになったシーンでただのサボりが判明していたらしい。
https://x.com/nog_ak/status/967794737196314625
第八話「遥かなる我が家」
家がテーマだった。めちゃくちゃ好きな回。
この回は本当にテーマが明確でシンプルで強くて良かった。
神倉さんの過去と信念について明らかになったのもすごく良かった。
強い動機、行動原理がある人、信用出来るしやはり好きだ。神倉さんしかり、中堂さんしかり。
ミコトさんも「不条理な死に負けたくない」って行動原理なんだろうな。
久部くんの父との会話や、久部くんの成長もアツかった。
動機が無かったところから、UDIで働くうちに強い動機が出来てきてアツい男になってきた。かも。
あのおじいちゃんとの対局シーンも良かった。全部いいんだよな。その後おじいちゃんが遺骨を受け取ってくれたのも印象的過ぎた。
久部くんがお父さんにボロカス言われてショボショボ帰ってきたときの、UDIラボでの「おかえり~」のシーンもすごく良かった。
被害者の兄ちゃんにとって家のような存在だったビルの全員を助けたかったんだろうなと思うし、被害者の実家へ名誉と共に帰す頑張りがとても良かった。
勘当した息子に声をかけるシーンと、真相と共に帰ってきた息子を迎え入れるシーンはどちらも両親からの愛を感じてしまってあまりにも泣けた。厳しそうなお父さんの演技があまりにもかっこよくて心臓がキュッとなる。
ちなみにこの回は我慢出来ずにめっちゃ泣いた。ズビズビ。
関係ないけど検死について調べてた時に出てきたスーパーインポーズ法で個人を識別してておお!ってなった。
第九話「敵の姿」
Lemon流しながら中堂さんの過去回想流すのはあまりにも辛くて本当に苦しかった。良すぎる。愛が深すぎる。本当に良い。
良くも悪くも中堂さんにとって、今でもあなたは私の光、生きる目標なんだろうな。
中堂さんが「死んだものは生き返らない。きれいな花になることはない。理屈ではな。」って言うところ、こうじやさんのセリフ「理屈じゃないの」を引用してるのすごくよかった。
中堂さんの頑張る動機も理屈じゃないんだろうな。かっこいい~
第十話「旅の終わり」
完全に集大成だった。
八話で助けられた人が犯人だったのはどういう意図なんだろう。
法医学で裁かなきゃいけない、みたいなことなんだろうか。
ミコトさんと犯人、ある種近い家庭環境から真逆とも言える道を選んだからこその、感情を煽って自白させているシーンだったんだろうなぁ。
そこに至るまで、どこで誰と出会ったかみたいな(MIU404のテーマみたいな)ことを踏まえての法廷のシーンですごく良かった。
烏羽さんが出てきたのもそういう意図だったんだろうなと思う。
劇中での成長も踏まえていて良すぎた。
終始「不条理な死」に立ち向かっていて最高だった。
最後に絶望してる暇ないよね~って笑いあってるのが印象的だった。
高瀬が犯行を認めたシーンで中堂さんがちょっと下向いてるのがあまりにも良かった。法医学者として犯人に勝ったシーンだった。
まとめ
社会問題を多く取り入れていることもあり、なんだか話が身近に感じられた。
いや~~~今書いた以上に面白かったなと思ってるんだけど、言語化が下手だ。全然パン田の表現が足りてない感じがある。めちゃくちゃ面白かった。
起きた事件となんでもない会話がいつも綺麗に絡まっていて、見事だった。
今度また初めから全部もっかい見よ。
あとMIUについてもまとめて今度書こ。