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スポーツ×IPコラボレーション:『ブルーロック』と『ハイキュー!!』に見る、Win-Winの仕掛け作り

野球に興味がある方なら、「大谷翔平はまるで漫画から飛び出してきたキャラクターだ!」という評価を耳にしたことがあるかもしれません。「漫画でもここまではない!」という声さえあります。実際、日本の漫画やアニメの世界では、スポーツは常に人気のある定番ジャンルであり、『スラムダンク』、『キャプテン翼』、『テニスの王子様』、『MAJOR』、『黒子のバスケ』など、多くのファンの心に残る名作が存在します。さらに興味深いことに、これらのスポーツ漫画が人気を集めると、実際のスポーツへの関心や参加も高まる傾向があります。『ゆるキャン△』放送後にキャンプがネットで話題になり、多くの初心者を引き付けたように。

このような現象があるからこそ、スポーツ業界も様々なスポーツ漫画やスポーツ関連IPとの積極的なコラボレーションを始め、二次元の魅力を通じて実際のスポーツへより多くの人々を引き込み、ビジネスチャンスやブランド露出を増やすことを目指しています。中には実在のアスリートとコラボ企画を展開し、仮想と現実を巧みに融合させて、ファンの「夢のコラボ」を実現する企業もあります。以下では、最近の「スポーツ x IP」クロスコラボレーションの傾向を2つの事例で紹介します。


【『ブルーロック』とプレミアリーグ・リバプールのコラボレーション】

2024年10月の『ブルーロック』アニメ第2期放送開始前に、公式はプレミアリーグの強豪リバプールFCとコラボレーションし、赤いユニフォームをあしらった限定版単行本1~5巻をリリースしました。今年2月3日には、講談社がリバプールとのコラボレーションをさらに強化し、社内エントランスエリアに新しいコラボビジュアル展示を設置。多くのファンや読者が実空間でサッカーと漫画の融合を体験できるようになりました。これにより、熱血スポーツ漫画と実際のサッカー競技場との繋がりを示し、『ブルーロック』の国際スポーツ界と漫画界での知名度をさらに高めることに成功しました。

コラボプロモーション動画:https://www.youtube.com/watch?v=e6wVmYWz56k&ab_channel=inspiREDbyKODANSHA

【バレーボールワールドカップ x 『ハイキュー!!』コラボ広告】

2023年のバレーボールワールドカップは、オリンピック出場資格がかかる重要な大会でした。より多くの観客をこの大会に引き付けるため、放送を担当するフジテレビは『ハイキュー!!』とコラボレーションを実施。試合会場である「代々木競技場」の最寄り駅である「渋谷駅」に大型広告を掲出し、実在のバレーボール選手と『ハイキュー!!』のキャラクターを並べて配置し、大会への注目を呼びかけました。このクロスコラボレーションは、大会に多くのファンを引き付けただけでなく、実際のバレーボールに馴染みのない漫画読者にもワールドカップへの興味を持たせることに成功し、100万回以上の視聴を達成しました。

【スポーツ x IP:両者の接点を広げる】
クロスコラボレーションが重視される理由は、「ファンの接点を広げる」ことができる点にあります:

1.もともとスポーツファンだがIPに触れたことがない人:スポーツ漫画と実際のスポーツチームや大会とのコラボレーションを見ることで、作品への興味が喚起され、新たなIPの読者となる可能性があります。

2.IPは好きだが普段は実際の試合を見ない人:漫画のキャラクターと実際のチーム、スポーツシーンが同じ空間に存在することで、初めて試合中継に興味を持ち、さらにはスポーツを実際に体験してみたいと思うきっかけになるかもしれません。

3.コアファンのコミュニティ拡散:スポーツとIPの両方を愛するファン層は、もともと高い熱意と粘着性を持っています。彼らがSNSで様々な感想や情報を共有することで、その熱量をより広い層に波及させることができます。

このように、スポーツ産業と漫画IPのクロスコラボレーションは、IP自体のブランド認知度を高めるだけでなく、実際のスポーツイベントに新しい観客と新しい盛り上がりをもたらし、スポーツ文化とポップカルチャーの相互作用を促進します。今後、さらに多くのコラボ企画や異業種連携が登場することで、より魅力的で創造的な「スポーツ x IP」の事例が見られることでしょう。

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