Dear Nightmare, sweet memories
首を締め続ければ、酸欠になり落ちるのは当たり前なのに、落ちた途端、背中を叩きまくり、大声で私の名前を呼ぶという馬鹿げた行為で意識を取り戻させようと焦る誰かの愚かな行為も
真っ白な世界から段々と景色がスローモーションで蘇る美しさも
大丈夫か?なんて薄っぺらい馬鹿みたいな気遣いも
怯えた眼差しを隠すために目を伏せ、何に対する謝罪なのかもわからないまま、申し訳ありませんと放つ己の愚かさも
決して助けてはくれない誰かへの落胆も憤りも
全部、全部、五感が鮮々と覚えてる。
私だけの景色、私だけの気持ち、私だけの記憶。
血飛沫が床を汚し、いくつもの見えない傷を刻み込み
恐怖と痛みで泣き叫べば、救急車と怒鳴られ、縮こまる身体、止まる涙、出なくなる声
キレた頭を治すために駆け込む夜間救急。
何があったかなんて、言えるわけもなく、誰かに助けを求めることができるわけでもなく
ふざけて転んでぶつけました
上から物が落ちてきました
なんて、笑って誤魔化して
チクチクする痛みや、圧迫される痛みに耐えて
申し訳なさに深々と首を垂れて
恐怖で震える手と足を隠して溜め息を吐く帰路
痛いのと気持ち悪いのとだったら
気持ち悪いを選んでしまう愚かさも
何倍も何倍も心に傷は作っても
一時の怒鳴り声や痛みよりもマシだと思ってしまう弱さも
全てに反吐が出るよ。
嫌な夢、嫌な夢、
忘れてしまいたいのに
脳に刻み込まれて
忘れてくれない嫌な夢
何度も繰り返し見る嫌な夢
終わりのない夢
大きくなったり小さくなったり歪む顔
抵抗が招くのはバッドエンド
今夜も誰かの叫び声が
誰かの泣き声が
誰かの叫び声が
救急車のサイレンに掻き消されて
何事もなかったかのように、日はまた昇り
何事もなかったかのように、日常が始まる
壊したものは元には戻らないことを
手元にある小さな幸せを
おざなりにして得た何かの虚しさを
暗闇で流した涙と飲み込んだあなたへの想いを
全部紙にまとめて捨ててしまえたら
どんなに楽でしょう。
全て悪い夢だと、忘れておしまいと
抱きしめてくれるのは、いつも、、
求めてはいない別の誰かだという虚しさも
秋風と共に吹かれて
誰かの傷を癒すメロディになるよ