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給与、増えそう?[給与時系列データ①総括表]
プラセボ・グラピクスの2025年のテーマは「給与」です。マクロな統計データから給与に関するコンテンツを色々とつくり、フォロワーの皆さんとワイワイしていきたい所存。
ただ、事前知識が全然ありません。
というわけで事前知識を仕込んでいきましょう。給与の統計はいくつかあるようですが、まずは国税庁「民間給与実態統計調査結果」の長期時系列データを見ていきます。
本記事では「民間給与実態統計調査」の「長期時系列データ(~令和5年分)」のうち、「総括表」を見ていきます。
総括表(源泉徴収義務者)
まずはグラフ化
国税庁が公開しているエクセルファイルは国の統計によくある数値が羅列された表の形式です。パッと見てもよくわからないので、その中のひとまとまりをグラフにしてしまいましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1736409865-0EsvRBGqCj8DyOHzUQwKinAV.png?width=1200)
いかにも意味ありげなグラフですが、「所得者数」や「給与総額」など、縦軸単位のちがうものが一緒くたになってしまいました。これらは分けて表示する必要があるようです。
対象者:6,000万の労働者
まずは「給与所得の源泉徴収義務者(源徴義務者)」と「給与所得者数」の推移です。「源泉徴収義務者」については「会社」、「給与所得者数」は「労働者」と考えてておけばおおよそ間違いありません。
![](https://assets.st-note.com/img/1736410458-QUzMspamFuCNi7OH5vo60G3P.png?width=1200)
会社数は横ばいから減少して300万件くらい。労働者数は「12月末日現在」と「年間月平均」の違いはあれど、どちらも増加して、2023年時点ではだいたい6,000万人。
金額:給与全体で200兆円!
つぎに、「給与総額」と「税額」の推移。縦軸の単位は「兆円」です。
![](https://assets.st-note.com/img/1736411248-fnmqLgp40QlUR6TEH9NeBV8W.png?width=1200)
ある意味エグいグラフかもしれません。各年の給与総額を足し合わせてみれば200兆円超!
より具体的にいえば、2023年で232.9兆円の給与が支払われたようです。給与についての相場としては、こうした具体的な数字を大まかに把握しておけばよさそうですね。
また国税庁の調査なので給与所得の所得税額についても記載があります。グラフからはわかりづらいですが、2023年で12兆円。でかい。
給与総額グラフのアップ&ダウン
民間給与実態統計調査の長期時系列データ、第一のハイライトはこのグラフの給与総額推移でしょう。
戦後の日本において給与とはぐいぐい伸びるものだった高度成長期~バブル期。このときは国全体がイケイケですね。
1990年頃のバブル崩壊を境に伸長が減速し、1997年ごろには完全にトレンドが逆転。その後しばらく給与総額が減少する「失われた××年」。2000~2010年に労働者でいることは、どのような状況だったのでしょうか?
2020年を過ぎてようやく、給与総額は1990年代の水準を超えたようです。
総括表(給与所得者)
さてここまでは「源泉徴収義務者」に注目した調査でした。この先は「給与所得者」に焦点を移します。
勤続期間について
この記事で参照している「民間給与実態統計調査」は、1年間の所得から所得税額を計算するという会社の税務に注目しています。というわけで、1年という期間はひとつの大きな区切りです。
たとえば平均給与を計算するにあたって、1年未満勤続者を含めてしまうと平均給与は下がってしまうでしょう。
さきほどのグラフで労働者数が「12月末日現在」と「年間月平均」に分かれていたのも勤続期間についての配慮という側面から理解できそうですね。
勤続期間ごとの労働者数
といわけで、「1年勤続者」と「1年未満勤続者」はそれぞれどれほどいるのでしょうか?
![](https://assets.st-note.com/img/1736411759-FnCqmSxXzEPyW4LN6sM7KQv9.png?width=1200)
グラフによれば「1年勤続者」は5,000万人以上。いっぽうで「1年未満勤続者」は1,000万人。1年/1年未満の人数比較はだいたい5倍程度。
実のところ、統計データの理解を深める上で重要でない部分をあえて省略することも必要です。給与について考える上で「1年未満勤続者」は考慮外にしてしまいたいのですが…1,000万人は多いですね。のちの記事で書く予定ですが、この1,000万人もけっこうなバリエーションに富んだ内訳になっています。
また「納税者数」や「年末調整を行った者」という項目がありますが、いまのところ重要性が不明なので必要になったら改めて検討することにします。
勤務期間ごとの金額
つぎに、勤務期間ごとの「給与総額」を金額比較してみましょう。「税額」もありますがとりあえず無視。
![](https://assets.st-note.com/img/1736412483-NJjmoDk3ZyxROPEMV60iTdK4.png?width=1200)
圧倒的ですね。圧倒的に「1年勤続者」の「給与総額」が多いです。人数的には5倍でしたが、金額的には20倍くらいです。
1年勤続者の平均給与
最後に、多くの人が一番気になるであろう平均給与の推移をみておきましょう。
![平均給与の年次推移(1949-2023)](https://assets.st-note.com/img/1736412848-F48u9Ue1KQZVvzEcB6q0Omyg.png?width=1200)
これまで見てきた通り、2023年では給与総額200兆円超に対して労働者5,000万人です。
おおまかな割り算で「4…4…4…単位いくら?」という感じですが、常識の助けを借りればだいたい400万円と概算できそう。具体的に計算すると2023年は459.5万円だそうです。
給与総額のグラフで見たように、バブル崩壊後の日本は「失われた××年」とよくいわれます。平均給与で見ればようやくこれを脱する機会を得たとも見れますし、あるいは…。
この記事のタイトル「給与、増えそう?」に即していえば、現在のトレンドが続くという前提で、2025年以降も給与は増えそうな予感がしてくるグラフですね。
まとめ
ざっくりつかめればOK
「民間給与実態統計調査」の「長期時系列データ」のうち「総括表」を可視化してみました。
日本人の給与についてのざっくりとした理解が進んだ気がします。
これからより細かい内容に踏み入っていくわけですが、こうした全体像を抑えておけば大きなミスはしないはず。
参照データについて
このアカウントでは、まずデータの内容をグラフでざっと見てから必要に応じて細かいところに目を向けようという方針です。省略に次ぐ省略、無理筋の見立ても中にはあるかもしれません。
あと、どちらかというと税より給与に重点を置いているので、今後も税にはあまり触れないかも。
もし記事の内容に不明点があれば、下のリンクにその答えがあるはず。
長期時系列データの項目だけでも、今後記事にしていく内容が大まかにはつかめるはず。
とりあえずの予定
長期時系列データの「1年勤続者の給与階級別給与所得者数(男、女、合計)」あたりからグラフ化が面白くなりそうですね。
ただ、長期時系列データは統計表の割り当て番号順にさらっていく予定です。
こちらのマガジンで記事を追えますのでどうぞ。