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性・年齢階級別にみた1人あたり国民医療費の内訳/医科・歯科・調剤
1人あたりの医療費は伸びてる。コロナ禍での受診控えが一旦押し下げたものの、2021年も上昇傾向は継続。
おおよそ30万円がめやす。
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まぁおそらく高齢化が原因でしょうというのは誰しもが思うはなし。
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人口ピラミッドと将来推計をみれば、今後は人口は減れども高齢化率が上昇するのは明らか。
よりよい医療費支出と負担のありかたってどんなもんかと思ったらば、現状認識の解像度を上げとく必要があるわけで、この記事では「1人あたり国民医療費」を「性・年齢階級別」そして「診療種類別」に見ていきます。
性・年齢階級別にみた1人あたり国民医療費
総数
1人あたりの医療費が30万円台というのは全体でみた平均のはなし。もちろんそれは年齢によって違っていて、年齢別にみたらば以下のよう。
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20代以降は年齢が上がれば上がるほど一人当たりの医療費が上がってる様子がはっきりと。80代になれば男女とも100万円が目安になってきそう。
ただし、2020年はコロナ禍にあり全体で医療費の減少した特異な年で、その影響は年齢ごとに違ってたみたい(右側線グラフ)。
20代から40代は女性の方が高く、それ以外の年齢では男性の方が高いという現象は年度次が違っても維持されているようで、何が原因なのかは気になるところ。分析のためのデータは手元にないのやけど。
診療種類別/性・年齢階級別にみた1人あたり国民医療費
医科、歯科、薬局調剤などの診療種類別にみた1人あたり金額をみてみよう。
全体に占める割合がわかりやすいように総額を影として併記。
医科診療医療費
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1人あたり国民医療費というグラフの骨格というかほとんど全体は医科診療医療費でできてる、という構造。
歯科診療医療費
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医療費という側面から言えば、医科と歯科には大きな差があるようで。歯科は割合が小さすぎるので単独表示。
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すごいはっきりと女性の方が一人当たり歯科診療医療費が高いのはなぜなのか。70代以降は逆転してるのも、うまい説明が欲しいところ。
薬局調剤医療費
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医療費に占める薬剤費の割合は大きく、薬局のはたらきもはっきりと出てるグラフ。
ただ、行政機関のなかには医療費を伸ばさないようにすることを仕事にしているところもあり、制度的に変更しやすい薬剤費の調整によってその目標を達成しようとしている節があって、どうも年次推移(右側の折れ線グラフ)はちょっと変な動きよなとも思うわけで。
入院時食事・生活医療費
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ちょっと額が少ないので単独で。
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長期入院が避けられがちになっているのか。どんどん減ってるらしい。
訪問看護医療費
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どんどん伸びてるけど額としてはまだまだなので単独で。
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なにやら男性側に傾きを感じるグラフ。
療養費等
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額としても少ないし、減少傾向だしの療養費等。
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柔道整復、はり・きゅう、マッサージなど国家資格にもとづく施術所は案外町にありふれているものの、市場としては縮小傾向。たぶんそれを表すグラフ。
保険外の自由診療、自費診療が拡大しているという話もあるので、国民医療費の統計では捉えられなくなってるのかも。
入院・入院外/性・年齢階級にみた1人あたり国民医療費
医科診療医療費は総額が大きいので(?)、入院と外来(入院外)で項目別にデータあり。
医科診療医療費に占める入院医療費
高齢になるほど入院の割合が増えてるか。
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医科診療医療費に占める入院外医療費
たしかに若年では入院外が占めてて、高齢になれば割合として下がってる。けど、一人あたりの金額としてはやっぱり高齢になると大きくなると。
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おわりに
1人あたり国民医療費も全体としてみたら「伸びてますね」くらいの印象しかないけど、細かくみれば色々な状況がそこにはあるのやなと。
一番気になるのは訪問看護の急伸っぷりかなぁ。
医療費も立場によってとらえ方は様々。医療機関にとっては収入源やから上にあげたグラフは顧客を分析したものやし、保険料を払っている人にとっては自分の給料から天引きされたお金の使い道を分析したものやし、為政者にとっては制度設計の成否を分析したものやし。
データを活用するのは難しいけど、やりがいはあるよねっていう話にしとこか。