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耐える日々

前回の続きです。


【頑張る毎日】

入社2週間で私は営業の独り立ちをしていた。

人が少なかったので、即戦力になって欲しい
とのことだったが、まともな研修なんて受けてない。
業務委託の女性2名が来ているときはロープレに
付き合ってもらい、あとは独自の方法でやっていた。

しかし、成績はまぁまぁだった。
営業未経験ながら、頑張った方だと思う。

成績はまぁまぁ、とのことだが、
その会社はかなり悪質な営業方法をとっていた。
いわゆるおとり物件を使った方法だ。

私はそれが本当に心苦しく、
何度も店長に改善を求めたが、もちろん却下。
心はどんどん荒んでいった。

【家探し】

不動産に勤めることのメリットとして、
自分で住む家を安くできるということがあると思う。

わたしも入社から4ヶ月ほどの時期に引っ越しの
タイミングがあり、休憩時間に物件探しをしていた。

店長にダメ元で相談すると、
「社長に許可取って仲介手数料と礼金なしにしてもらいな」と言ってもらえた。

これはかなりデカい。

その後、無事家が決まり、
私はかなり安価で引っ越した。
社長との交渉の際にも、店長と一悶着あったが…。

【壊れる】

引っ越しから少し経ち、だいぶ落ち着いた。
家を安く借りさせてもらったし、
少しは貢献しないと…と多少はやる気があった。

しかしある日、お店でトラブルが起きる。

「おとり物件だ!訴えてやる!」と
お客様がお店で暴れ出した。

勿論こちらがやっていることが悪いので
何も言えない…。
他のお客様も怖がって帰ってしまった。

その日から、自分の仕事への罪悪感が増した。

そして、ついに営業が嫌になってしまった。
数字も全く伸びず、言葉も出てこない。

その時期は笑うことができなくなり、
店でも常に下を向いていた。

何をしても怒られる気がして何もできず、
しかし何もしないと怒られる。
という負の連鎖に陥っていた。
言われたことができず、何度も同じことを
注意される毎日だったので、今まで考えたこともないが、「自分は病気かな…」と思いググったりした。

そして、階段の登り方がわからなくなり、
頻繁に階段で転ぶようになった。
過度なストレスによるものとのこと。

たまに来て優しく話しかけてくれる業務委託の
女性が唯一の救いで、話しかけられるたびに
私はなぜか泣きそうになっていた。


【新人】

心が壊され、ズタズタになっていたが、
ある日新人が入ってきた。
私と同い年の女性だった。

OJTは私が担当となったため、
「この子には同じ思いはさせまい…」と
優しく接した。

が、少し大変だった。

悪い子ではないが、仕事が苦手、という感じの子で、
覚えるペースがかなりゆっくりだった。
電話が取れず、カンペを書いてあげたが、
カンペ以外の質問だとフリーズする。

そんな様子を見て、店長の標的がその子に変わった。

私は気持ちがとてもよくわかったので、
ずっと寄り添っていた。

しかし、その子も1ヶ月で飛んでしまった。

やっぱりこの会社は普通じゃないんだな…と
再認識できた。

余計に私の心は壊れていく。

【きっかけ】

そろそろ私のメンタルが限界になっていた。

仕事の行き帰りは毎日泣いていた。
泣きたくないのに涙が出てきてしまった。

そんなある日、きっかけは起こった。

会社に向かおうとホームで待ち、
電車がホームに入ってきた時、

フラッ

と足が前に進んでしまった。

「今自分死のうとした…!?」

と自分でも驚いたが、
自然と飛び込もうとしてしまっていた。
(自殺する人ってこうなんだと思った)

それが怖すぎてしばらく放心状態で立っていた。

さすがに今の精神状態ではまずい、
と思い、会社を辞めることを決めた。


まだまだ道のりは長いとは知らず…。


また続きを書きます。

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