【コラム4回目】2001年に突如活動停止。幻の「PAMELAH」。令和の女子はどう聞くか?
こんにちは。
コラム4回目は私の好きなアーティスト、「PAMELAH」さんについて書かせていただきたいと思います。
私は、90年代当時に聞いていたわけではなく、6年ほど前に知人の車の中で流れていた「掠奪」を聞いて、驚愕した人間の一人です。
きっと、同じ経験をした方が他にもいるはず…。
知人のおすすめは「shooting star」でした。難しい歌だよ、と教えて頂いていたため、その車の中で躍起になって覚えようと頑張っていた記憶があります(笑)
その日に音源を貸していただいて家で視聴。
女心を裸のまま表へさらけ出すような正直な歌詞と、力強くて、時に弱い水原さんの歌声に心を掴まれてしまい、その後はAmazonで新品のCDを購入して収集するほどでした。
PAMELAHは2人組のユニットであり、ボーカルの水原由貴さん・ギターの小澤正澄さんで構成し活動しておりました。ベストアルバムもリリースされており、有名アニメとのタイアップもしていたため、ご存じの方もいるのではないかと思います。(主に知名度があるのはぬ〜べ〜で使われていたSPIRITですね。)
PAMELAHは確実に、90年代を盛り上げたアーティストの中に含まれるユニットです。
1995年にデビュー、2001年に活動休止…。
活動期間こそ短かったものの、あの記憶に残るメロディと、衝撃の走る歌詞、水原さんの透き通る歌声、小澤さんのギターテクニック。さぞ当時のファンを魅了していたことでしょう。
その中で、ご紹介したい楽曲があるため、3本に絞って書かせていただきたいと思います。私の好きな歌!!というよりも、
「PAMELAHを聞いたことがない方も、この3曲を聞けば他の歌も聴きたくなるはず!」
…そんな気持ちで書いていきますので、よろしくお願いいたします。
1「BABY BABY」
これは、シンプルに視聴者を元気付ける応援ソングです。紹介したい曲があと2曲あるので後述もしますが、PAMELAHはほとんどの歌が失恋であったり、自分の中の葛藤や後悔、恋人とのすれ違い、人間関係、痴情など、デリケートな歌が多く、大人になって自分の足で歩き、色んな経験をしてきた「オトナ」には共感できる部分がある歌を作るのが特徴です。そして先程書きましたが、PAMELAHの歌詞の特徴は失恋や葛藤という、デリケートな歌詞が特長。PAMELAHの楽曲は主に、男性目線より女性目線。それは水原由貴さんが女性だから、ということと、あの時代的には綺麗な言葉で並べた歌を歌うアーティストのなかで率直にリアルな恋愛模様を描くという、気を衒う目的で書いたものと推測しました。なぜなら、この「BABY BABY」が、私には、恋愛や人間関係など、煩わしいものから解き放たれた主人公が今度は夢を追いかけていきたい、という一種の現実逃避のような、空元気のような、新しい道を見つけたような、そんな歌に聞こえてならないのです。メロディの疾走感、水原由貴さんの元気な歌声、今までのPAMELAHの色とは違う、元気で軽快な音楽と明るい未来を想像させるような歌詞。他のPAMELAHの曲を聞いてからこの曲を聴くと、ただの視聴者応援ソングには聞こえないはずです。私は初めてこの歌を聞いた時、水原由貴さんは元気な歌も歌えるんだなと感じながら聞いていましたが、他の歌を聞いてから聴くと、また違った印象になりました。主人公がなんとか自分を保ちたい、立ち直りたい、新しいスタートを切りたい。というような、強い意志を感じ取れました。
2「It's my fault」
この曲は失恋の歌です。主人公は恋人とのけんかのたびに別れを匂わせるのですが、今度こそ本当に縁が途切れてしまう…という寂しげな曲です。二人で未来を誓った特別な日も、空想に終わってしまった。この、もう戻れない二人を想像しながら聴いていると、以前の恋愛を思い出してしまう方もいらっしゃるのではないかと思います。私はこの歌の歌詞で好きな箇所があります。それは「涙の止め方よりも知りたい、愛の意味を」です。泣いても泣いても、本人だけでは答えが出てこないくらい恋愛に疲弊している現状がこの一文に溢れています。曲名の「It's my fault」は「自身のせい」という意味があります。原因は自分にある(直接的には書かれていませんが、主人公は自責しています。)ため、「疲れさせたね」と後悔する歌詞もあります。恋人のことは愛していても、恋人は冷たい視線で主人公を見る。時間が経つたびに薄れていく恋心に二人は気づいている。主人公は深く後悔しているが、恋人の彼は聴く耳を持たず、去っていく。そんな、もう会うことすら叶わない、最後の別れをシンプルな言葉で綴った楽曲です。
3 「掠奪」
この曲は歌詞を見ながら聞いてみるとわかるのですが、「決して自分を愛してはくれない相手」と何度も体を重ねる孤独な歌です。「やめたい」「今夜限り」と思いながらもそばにあるぬくもりに甘んじてしまう様子が目に浮かぶような心理描写が特長です。この歌は率直に言うと不倫の歌なので、倫理に反しており、聴く人によっては不愉快になる可能性があります。ですが、私がダラダラと説明するよりも、聞いてみてみると分かるのですが、怪しげな小澤さんのメロディと水原由貴さんの悲痛な歌声がとてもこの曲に映えており、不快感よりもこの歌の世界観に引き込まれてしまうような楽曲です。実はPAMELAHは略奪のような危険な恋愛の楽曲を複数作っており、その心理描写はとてもリアルで、どんな気持ちで割り切っているのか、はたまた溺れているのか、とても繊細に歌詞に表現されています。水原由貴さんの言葉のチョイスはいつもシンプルなのですが、分かりやすいのに秀逸、という独特なバランス感覚と言葉のセンスがあります。ぜひ、歌詞だけではなく、メロディに合わせて聞いてみていただけると嬉しいです。
番外編:水原さんがソロ活動でリリースした「LOVE IS PAIN」。
水原由貴さんはPAMELAHで活動していましたがソロ活動も経験されております。リリースされたのは1枚ですが、未だにプレミアがついているほど注目されている名盤です。私はこのCDに入っている「LOVE IS PAIN」はベストアルバムで初めて聞いたのですが、とても気に入り、何度も聞いています。上記の「掠奪」の項目で綴った通り、PAMELAHは不倫などの怪しげな曲が複数存在するのですが、これも例に漏れず、倫理に反した楽曲です。この楽曲が収録されているマキシシングルのキャッチコピーは、“秘密の恋につき、取り扱いは慎重にお願い致します”です。他にも「自由に会えない二人」などというタイトルの歌も収録されている、油断して聴くと大火傷しそうなタイトルが並んでいるのです。カラオケ店には楽曲が入っているのですがCDを今入手するのは難しいですし、何らかの形で聞いてくだされば、水原由貴さんの言葉選びに感服してしまうことでしょう。切なさや悲しみ、いとしさ、優しさ、全てのエッセンスが入っていて、自身の恋人を包み込むような表現。にも関わらず、主人公に起こるあれこれは悲痛なものばかり…。このギャップが、細く長く愛される秘密なのでは?と思います。ただの悲しいだけの歌ではない、私たちの生活の中にも溶け込んでいく優しい水原さんの歌詞。ぜひ、この楽曲も一緒に聞いてみてください。
さて、今回は、解散してしまったユニット「PAMELAH」について記述させていただきました。稚拙な文ではありますが、読んでいただきありがとうございます。当時聞いていた方も、初めてこのユニットを知ったという方も、今からでも遅くはないのです。
PAMELAHの世界観に浸ってみませんか。