パワーサプライ検証:高負荷時に何V出る?
概要(ネタバレ)
このnoteでは、手持ちの3機種のパワーサプライについて無負荷時と高負荷時(27.5 Ωの負荷抵抗接続時)の電圧出力を計測し、平均値から減衰率を求め、比較しました。最も減衰率が小さかったのはStrymonのOjaiで1%程度でした。
はじめに
最近、巷では9Vよりやや出力の高いパワーサプライが流行っているようです。そっちの方が新品の9V電池の電圧に近いからだそうです。多くのYouTubeやブログでは何も接続していない時の電圧を測定しているものが多くありますが、実戦では多少なりとも負荷はかかっています。ですから、負荷を考慮した測定の方が実用的であると考え、今回は無負荷と高負荷の両方を測定していきたいと思います。
なお、あくまでN=1の測定結果ですので参考程度に留めていただければと思います。
比較対象
手持ちの3機種を比較していきます。どれも1ポートあたり定格500mAの製品です。なお3のVA-08について、電圧可変できる2ポートは故障しているので、9V出力の6ポートのみ測定。(片方は使っていたら壊れた。もう片方は分解して遊んでたら壊れた。)
Fender Engine Room LVL5
Strymon Ojai
Vital Audio VA-08 Mk-II
測定方法
電圧測定にはAstroAIのDM6000ARを用いました。9V近辺では少数第二位まで表示されます。精度は今一つですがそこまで細かい測定ではないのでこれでよしとします。
負荷抵抗は本来セメント抵抗などが望ましいですが、手持ちに無かったので、1W 220Ωの金属皮膜抵抗を8本並列にし、8W 27.5Ω抵抗としました。こうすることで、$${9.00\mathrm{\,V}\div27.5\mathrm{\,\Omega} \approx{327\mathrm{\,mA}}}$$より、電圧にも依りますが330 mA前後の電流を流し続けることができます。これは、500mA出力のパワーサプライの場合、定格出力の6~7割に相当するため、マージンを考えると実用ギリギリの範囲といえるかもしれません。
測定の手順として、まず、テスターのみを出力ポートの両極に繋いで、電圧を測定しました。繋いでから10秒程度経ったタイミングで出た値を無負荷状態として記録しました。同様の操作をすべてのポートで行いました。
次に、自作の負荷抵抗とテスターが並列になるように両極に繋ぎ、10秒ほど経ったタイミングでの値を高負荷時として記録しました。なおその際、抵抗の放熱のため、計測時はサーキュレータからの風を当て続けました。
結果
結果は以下の表のようになりました。適宜、拡大してご覧ください。
考察
OjaiはStrymonがデジタルエフェクターブランドなだけあって高負荷時減衰率1.0%で、分散も一番小さく安定しています。一方、Engine RoomやVA-08は9Vを割り込むポートもあり、減衰率は2%台と負荷には弱い印象です。
無負荷時の出力電圧もかなり違いがあり、Ojaiがやや高いです。VA-08は無負荷時もポート間で電圧のブレが大きい印象です。
結論
以上から、Ojaiが高負荷時の性能に優れているといえるでしょう。消費電流の多いデジタルエフェクターを使うときはOjaiを選んでおけば間違いなさそうです。なお、無負荷時の電圧値もOjaiが最も高いですから、消費電流が10mA前後と少ない歪みエフェクターでも選ぶ理由になりそうです。
今回は以上です。最後までお読み頂きありがとうございました。
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