音楽日誌_2024年11月5日〜11月8日
11月5日火曜日くもり
Party Dozen
Crime In Australia
Grupo
地元の名士ニック・ケイヴを招いた3作目の『The Real Work(本当の世界)』と、サブポップから7インチ「太っちょハンス、狂う(Fat Hans Gone Mad)」などで飛躍の年だった2022年から2年、シドニー在住の男女デュオによる『Crime In Australia(豪州の犯罪)』は細部まで作り込んだ印象のつよい意欲作。#music_journal〈16〉
野放図さすえおきで、ボアダムスをはじめ、90年代オルタナの傘下にあるかのごときそれまでのサウンドからひとひねり、カースティ・ティクルのサックス、相方のジョナサン・ブーレのドラムやベース、個々の楽器が映えるアレンジはデュオながらバンドらしい。ブギっぽいリズムアプローチも耳を惹く。DMBQを聴きたくなった。#music_journal〈16〉
11月6日水曜日くもりがちの晴れ
植野隆司
ARMS
Room40
テニスコーツの植野隆司の秘湯のようなソロ。ギター一本の簡素な方法で簡素なつくりの楽曲を簡素な音色でつむぐが、アルバムになると途端に別天地の風情。何度も聞けるし、聞くたびにはじめて耳にするなつかしさをおぼえるといえばいいか。休日の朝の夢のよう。#music_journal〈17〉
11月7日木曜日立冬晴れだが寒い
Kit Downes, Andrew Cyrille, Bill Frisell
Breaking the Shell
Red Hook Records
元ECMのプロデューサーがたちあげたレーベルから「カラを破る」と題した、英国のオルガンの俊英と、私なぞはいまだにセシル・テイラーを思い出してしまうのもいささか恐縮な米国の長老ドラマーに、ジャズ界の参議院議員(良識の府)的な位置づけになりかかっている気がしなくもない万能ギタリストを加えたトリオ。#music_journal〈18〉
低声部をうけもっていたかと思えば、印象的な和声を鳴らし耳にのこる旋律をさしはさむオルガン、音響的な役割を担いつつ、音色の帯域を拡張するギター、ノンビートからブラシまでリズムの境界を際立たせるドラム——字が図に、図が字に一刻ごとにいれかわるのごとき妙手の妙技は聴きごたえたっぷり。#music_journal〈18〉
北欧民謡やシリルのオリジナルを含むB面がいささか特異なこの編成の旨味をひきだすようでおもしろい。ドアーズの「ジ・エンド」とかとりあげていただけないだろうか。#music_journal〈18〉
11月8日金曜日晴れだがやはり寒い
Etran De L'Aïr
100% Sahara Guitar
Sahel Sounds
アフリカ大陸サハラ砂漠西部の内陸国二ジュール国内における北部山岳地帯である「アール」の星を意味するコンボの3作目にして初のスタジオ録音作。#music_journal〈19〉
ティナリウエンらが代表的な「砂漠のブルース」の構えで、米国西海岸録音によるサウンドもあいまって、野趣が減退していくのはがゆいが、ドタバタしつつ前のめりなドラムがせりだしてくるのはバンドを骨格を示すかのよう。ポストパンク的な聞き心地。#music_journal〈19〉
I hope we could be good friends.