見出し画像

2022年のタイヤのつくりかた

みなさんこんにちは、P!MODEL LABOのぽらりんです。

長らくおまたせしました。最近タイヤ作りに気を使うレーサーも増えているので、改めて「2022年のタイヤつくり」としてnoteに書きたいと思います。

モーターやパワソを活かすも殺すのもタイヤです。駆動よりも如実に速度の影響がでます。10年近くやってますが、一番タイヤにかける時間が長いと思います。その中で色々試行錯誤して、2022年現在のタイヤの作り方をまとめてみました。

また今回、うちからも治具やツールは出していますが、そういったツールは使わずに作っています。ホームセンターや100均等や近場のホビーショップでも十分揃うようなツールだけ最小限で使っています。おそらく脱初心者〜くらいの方は一通り電動工具等が揃えてきたくらいの難易度かと。

治具や特化ツールはあくまで、時短や作業効率を上げるためのツールなので、そのあたりは他メーカーを含めなるべく千差万別に紹介程度にお伝えしたいと思います。

【ホイール選び】

使いたい径や用途に合ったホイールを選びます。PPでも強化でもどちらでも。今回はPPのフィンタイプホイールを使って小径タイヤをつくりたいと思います。

画像1

PPのホイールはプラスチックの成形の問題などもあり、難儀するところではあります。いろんな人に聞いてみると

真ん中

大体まんなか2つがいい感じなことが多いです(当社調べ)。気にしない人は気にせず全部使いましょう、もったいないので。

強化ホイール(カーボン等)はそのへん意外とちゃんとしたものが多い印象。乾燥時間とか材質の所以かな?

あと作るときはまとめて1台分、もしくは前輪、後輪の最低2輪まとめて作るほうがいいと思います。同じ工程で作業するほうが最終的に径が合わせやすいというのが理由です。

【ホイールの貫通】

大体1.7~1.8mmのドリルで貫通します。私の場合材質とかはあんまり気にしてないです。

強化ホイールとかを貫通する際には結構硬いので

がチャックをしっかりしてくれるので、個人的には便利です。

さて貫通ですが、適当な標準ギヤを用意して

画像3

軸にかぶせてガイド代わりにしながら、慎重にまっすぐに穴を開けます。

貫通に関してはうちも含め、いろんなメーカーさんからも貫通ツールが出ています。

また変わり種としてまめさん(@mamennma)のやりかたも…

ドリルで貫通したら、リューターを使われる方はちょっと下準備をします。ワークマシンメインの人はまっすぐなシャフトを探してください。

画像4

適当な真っ直ぐなシャフトをカットしたりします。これについては、リューターに噛ませるとき、シャフトが長いと遠心力できれいに回転しなくなるので私はカットして短くしてから差し込んでいます。

画像5

私の場合、六角穴で貫通したいので切ったところを整形、バリを取ったりシてエッジを立てています。

画像6

そしてさっきの貫通と同じように、カウンターギヤを支え兼ガイドにして先程のシャフトをまっすぐに打ち込んでいきます。

画像7

そうすると、ドリルで貫通したところもシャフトのエッジ部分で削り出されるので、軸内は六角になります。

以下イメージ図ドリル貫通後

画像8

シャフト貫通後

画像9

貫通が完了したら、ワークマシンやリューターにセットして大きく振れていないか等を確認して、ある程度きれいに回っているか確認しましょう。

この貫通も上記にあげたツールを使いつつ、ビットタイプの治具もあったりします。

【ホイールの成形】

ミニ四駆のホイールについて、これもプラスチックの成形上?の問題で、きれいに真円ではありませんし、若干テーパーになっています。ですのでこれをきれいに整えます。ですので①テーパー面の成形、②真円出しの順序の作業になります。これはタイヤを削ったときに部分的な偏りを押さえるための作業になります。

テーパー

3箇所

もちろんこの他にも数箇所の計測をして、きれいに円ができているかを確認します。

さきほどの貫通したホイールをワークマシンの人はワークマシンにセットしてください。私はワークマシンはFM-Aを使っています。この話はのちほど

画像15

今回はリューターを使っています。

※プロクソンに関しては、コレットチャックを使うことをおすすめします。小径ドリルチャックだとブレることがあります。

準備ができたら、成形していきます。

画像12

私の場合、カッターナイフの平刃を使ったり

画像13

まっすぐな板に耐水ペーパー等を両面テープで貼り付けて成形しています。※もちろんリムも成形します。

板はホームセンタ等で買えるL字アルミアングルプラモ用のリタスティックなどを使っています。まっすぐそうなら何でもいいです。

画像14

画像16

【タイヤ接着】

タイヤの接着に関しては、接着剤を使います。両面テープだと、タイヤを回した時の遠心力で若干伸びてしまうことがあるので、私は接着剤を使うことを強く推します。

また今回は今回はPPのホイールなので、プライマーを吹くこときちんと接着をできるようにします。

また使う接着剤ですが、流し込みをしたい&硬化にある程度の時間がほしいのでシアノンを使うことが多いです。

私の場合、シャフトかプロペラシャフトを差し込んで隙間を作って流し込みをしています。

画像17

またそれかPPに一発で接着できるので、最近はボンドもおすすめです。これも硬化まである程度の時間がかかるので、後述の方法にも役に立ちます。

またタイヤを嵌める治具なんかもありますね。


接着剤を添付してホイールにセットしたら、一度ワークマシンかリューターに取り付けて回してください。遠心力で接着剤が外に飛ぼうとするので、その結果より万遍なくタイヤが接着できるようになりそうです(何人かこれをやってる人がいたからたぶんあってる)

画像18

画像19

接着ができたら、完全放置で1日位おいておくほうがいいです。

【タイヤ成形〜荒削り〜】

いよいよタイヤの成形です。私の場合①デザインナイフで大まかにカット、②ヤスリ等で成形 の順で行っています。

デザインナイフのできるだけ新しい刃に変えて図のように縦横でカットしていきます。※十分に気をつけてやってください。刃を巻き込んで折れる可能性があります。

縦横

それができたら、先程の板をつかったヤスリやヤスリ等でとりあえず最終的に目指す径のプラス0.8〜1.0mmくらいまできれいに回っているように見えるまで削って行きます。ヤスリを強く押し当てるのではなく、あたったらヤスリが弾かれるくらいの圧をかけながら丁寧に時間をかけて削っていきます。強く押し当てすぎるとタイヤが溶けてしまったりすることもあるので、ゆっくり行ってください。

画像21

【ワークマシンを何故使うのか】

最後の仕上げはワークマシンで行います。とその前に、なぜ仕上げをワークマシンでするほうがいいのか?ということをお話したいと思います。

仕上げまでリューターを使うことで起こるデメリットとして

①チャックの精度&リューターそのものの精度には限界がある。

②モーターパワー(回転数やトルク)がありすぎる。

の2点です。①に関してして言えば、本来のリューターの使い方からすればタイヤを削る行為自体が、言ってしまえば「メーカーが想定していない使い方」であり、もともとは削ったりヤスッたりするための工具なので、軸やチャックにそこまでの精度が必要ない工具だからです。②に関しても同様ですが、パワーがあるためタイヤを回すと遠心力でタイヤは外に伸びようとします。弾性とか慣性の法則とかそういう点で考えると、おおよそきれいにできるとは言い難い、ましてやミニ四駆を実走させるレベルとして置き換えたら間違いなく過剰です。。

そこでワークマシンを使うといろいろと捗るようになります。ワークマシン仕上げをするメリットとして

①2点支持でシャフトを支えているため、振れにくい

②ギア比やモーターを変えられる

③実走に近い状態での加工なので面が出しやすい

という点から仕上げをするのにはワークマシンが最適であると言えます。もちろん、パワーがない分時間がかかったりという点においてはデメリットですが、そのあたりをしっかり使い分けてやるといいかと思います。

【タイヤ成形〜仕上げ〜】

画像22

ワークマシンを用意します。先に述べたように私はFM-A使っています。持ちやすい、サイドがウイング落とせばまっすぐ、モーターの出し入れがしやすいという点で使っています。

また最近では

も発売されたりして一層ワークマシンでの作業ははかどります!

リューターで荒削りしたタイヤは

タイヤ

遠心力の都合上こうなっているので、これをワークマシンを使ってできるだけ面が出やすいくなるようにきれいに仕上げます。

画像24

当たるか当たらないか、削れてるか削れていないかくらいの強さでヤスリをあてます。きれいに面が出ていなさそうならダイヤモンドヤスリ等でもう一度ワークマシンで成形してもいいかもしれません。ゆっくり時間をかけてこちらも成形していきます。

画像25

削れているところ、削れていないところをときどき確認しながら、目標の径になるまで、すこしづつ進めていきます。

画像26

また並行して角落としも任意でやったほうがいい人はどうぞ。私は落とします。以上で一通りの工程になります。

画像27

今回作ったタイヤです。面のフレはスローでもあまりわかりません。貫通とかサイドはもうちょっとちゃんとしたら良かった…笑

【おわりに】

テラさんのこの動画の前編はホイールの作り方がメインになっていますので、参考になるかと思います。サイズが違うだけで、個人の差こそあれど内容は似ています。(全然師匠のほうがきれいですが!)

また小径も超大径も作業の流れとしてはほぼ変わりません。

結局の所、タイヤ作りをきれいにつくるためには時間と数をこなすしかないかなぁと思っています。あと人の指の感覚等も鍛えられるので時間をかけてたくさんつくることをおすすめします。そのうえで再現性や時短等を考えたときに、治具やツールを使ってみる、というほうが理解も深まるかと思います。

上に紹介したツール以外にもタイヤセッターなども多く販売されているのでそれもお財布と相談しながら選択肢としてもっていてもいいかもしれませんね。




いいなと思ったら応援しよう!