XR時代10月31日
今日は10月31日。日曜なのでゆっくり寝ていた。
布団から出てまずはスキャナーでボディスキャン。それからグラスを装着すると数秒後に体中にUIが投影される。
左手首を見ると11時。もうそろそろ昼ごはんの時間だ。
左手人差し指をスワイプしてコンシェルジュを起動。「おはようございます。今日はハロウィンですね。どうされますか?VRスーツなどいかがでしょう?」。
そういえば今日はハロウィンだった。せっかくだから何かセットしていくか、と手のひらを上に向けてアプリを起動。
すると左手に専用のUIが投影される。投影されたUIで操作しながら机の上に服を着たモデルを置いていく。
窓の外をみたらドラゴンが飛んでいたので、「今年はナイトでいってみるか」とナイトスーツを選択。課金して今日限定の鎧にしてみた。意外と高かったので広告モードにチェックを入れる。
ちなみに鎧は最近気になっていた新進気鋭のデザイナー、”幸運晴馬”がデザインしたものだ。左手を軽く握ってアプリを終了。
コンシェルジュに「あととりあえず昼飯」と告げ、マントをはためかせつつ部屋を出る。設定したアドバイス環境を出たため、コンシェルジュは煙になって消えていった。それにしても、腹減ったなあ。
繁華街に出てみると町中がファンタジー一色になっていた。もちろんヴァーチャルなものだ。街行く人もファンタジー系のVRスーツを装着した人が多い。まあヴァーチャルマップで先に見てから来たんだろうけど。
自分は面倒なので既製品に課金してしまったが、もちろん自作のスーツで出歩いている人もいる。自作のヴァーチャルメイクとスーツ、エフェクトも盛り盛りで完全に魔女になりきっている人がいたので指をスナップさせて”いいね”をしておいた。
しばらく町中をぶらついていたが、さすがに腹が減ってきたので広告モードを展開。すると人々のスーツが広告モードになる。
要は他の人からみると、スーツ上に広告が投影される仕組みだ。
先ほどコンシェルジュに昼食を食べることを告げて部屋を出たので、ほとんど繁華街の飲食店の広告になっている。
ちなみに広告にも種類があり、”全広告”と言ってスーツ全体に広告を張り巡らせている人もいる。
ただ、それだとハロウィンみたいなイベント日では興覚めなので、自分を含むほとんどの人はスーツの雰囲気を壊さない程度の標準モードで設定している。
でもいるんだよなあ。今日あえて全広告にするヤツが。しかもそいつは身長180で体重100kgはありそうな巨漢だった。
他の広告も見ていたがそいつがつけていたハンバーガーの広告をみて食べたくなったので広告をチェックしてクーポンをセーブしておいた。
他にめぼしい広告もなかったので、ハンバーガーショップへ行くことに決め、手のひらを上に向けてクーポンアプリを起動。スーツを選んだ時と同様左手に投影されているUIを操作。
ちょっと高いがハロウィン限定のハロウィンバーガーが良さそうだ。こういった限定物をクーポンアプリから選ぶと広告主である彼に割り増しでポイントが付与される。
最短距離をサーチした後でその道順通りに歩いていき数分でハンバーガーショップへ到着。親指の爪にあるヴァーチャルQRコードを読ませる。
クーポンアプリから支払いも済ませてハロウィンバーガーセットを受け取り席に着く。
漫画を読みながら食べようと思ったので漫画アプリを起動。グラスを通して個人の視線を機械学習されているので目線の動かし方でページをめくることができる。慣れれば食べながら本のページをめくったりスクロールさせたりできるのでので便利だ。
ハロウィンバーガーは思ったよりおいしかった。クーポンアプリに星5をつけてアプリを閉じ・・ようとしたがクーポンの広告主である例の巨漢のプロフを何気なく見ていたら同じカーレースのアプリを遊んでいた。
いっちょ対戦してやるかと地図アプリを起動。近場に公園が3か所くらいあるが、その3つの公園のコースで走った履歴を見つけた。
巨漢のアプリデータをセーブしてからクーポンアプリを終了させ、ハンバーガーショップを出て公園に一直線に向かう。
公園に行ってベンチに座ってアプリを起動。あっというまに公演を一周するコースが出来上がる。没入感を高めるためにグラスをVRモードに変更する。
1時間くらい彼のゴーストデータカーと対戦してたが負け越してしまった。かなりゴーストを鍛え上げているようだ。全広告モードで稼いだポイントで課金をしているヘビーゲーマーなのかも。
帰宅して自室に戻った後はハンバーガーショップへ入る前にいいねをした魔女のSNSをチェック。どうやら少人数のVRスーツ制作集団でラフデザインとモデルをやっているようだった。
夕飯を食べてから、そのグループのクリスマスシーズン向けファッションショーを夕VRモードで見て、そのあとは勉強して終了。
寝る前にコンシェルジュを呼び出して自分の広告の成果をチェック。
バスターコーヒーでコーヒーとベーグルを注文してくれた人が一人いた。
限定品を注文してくれたわけでも評価が良かったわけでもないのでポイントはわずかなものだが、学生は金がないのでそれでもありがたい。
明日からまた学校だ。グラスをスタンドにセットして・・おやすみなさい。