【ゼンレスゾーンゼロ】続・ビジュアルについて思ったこと
こんにちは!pです。
せっかくのお盆が台風直撃ですが、みなさまはご無事でしょうか? 私は無事ですが、外に出た時の蒸し暑さには参ってしまいそうな今日この頃です。
さて、↓ 前回の記事に引き続いて今回は「ゲームさんぽ」の「ゼンゼロ UI 編」について視聴した感想をダラダラ書きたいと思います。
■ UI デザイン<前半>
サムネイルに「一体何を食ったらこんなん作れるの?」と有馬トモユキ氏のセリフが入っており、あなたがそれを言いますかと思いましたが、「ゼンゼロ」での若い感性とパッションが溢れ出ている感じに、日々忖度と妥協の中でモノづくりをしている何者でも無い私にはとても眩しさを感じます。miHoYo の歴史の動画を観た際にも忘れかけていたものを思い出させてくれる感覚がありました。少なくとも、刺激的な作品には常に触れ続ける必要があるとあらためて思うのでした。
ちなみに有馬さんについてあらためてググっていたら、ゲームの AI 分野で著名な三宅さんとも対談されていたんですね。こちらも興味深いです。
◆どうやってこれを…?…
有馬さんも言及されていますが、私も「ゼンゼロ」を見た時のファーストインプレッションはアニメーション&演出の飛び抜け具合ですね。モデル・UI・VFX どれも非常にクオリティは高いですが突き抜けているのはキャラクターのアニメーション&演出だと感じます。そしてどうアートディレクションされていき、開発途中でどういった絵的な変遷があったのかはとても気になります。各担当分野のリーダー陣のセンスが飛び抜けているというだけではこうはならないと思うので。
ちなみにキャラクターモデリングやアニメ調の表現自体は、今でも日本は世界に誇れるほど極まっている感じはあるのですよね。
◆学びのスピードがとんでもなく速い人たち
miHoYo / HoYoverse についての有馬さんの感想ですが、非常に的を得た表現に思います。情熱と学習速度で飛び抜けた状態にまで来たといったような。
では日本のゲームは総合的にどうなのかと言うと、ビデオゲームの分野で日本全体が世界の先を行く状態だったのは「God of War や UNCHARTED が登場するくらいまで」というのが私の印象で、それまで海外のゲームと言えば難易度が高すぎて不親切だったり作りが粗かったのが上記タイトルで完全に払拭され、PS3 あたりからは特に技術的な面を中心に海外の後追いをするかのような時代に突入したイメージがあるのですが、それでも今でもワケ分からない凄いものを出すのはまだまだ日本が多い印象もあるんですね。例えば「Nintendo Labo」「リングフィットアドベンチャー」「スプラトゥーン」のような任天堂内製タイトルは相変わらず独自路線で誰も真似できないようなものを提供し続けてきていますし(これはハードメーカーでありプラットフォーマーだからこそというのが大きいとは思いますが、それを実現して成功してきているのが凄い)・MGS シリーズや「DEATH STRANDING」を手掛ける小島プロダクション・「大鷲のトリコ」を手掛ける genDESIGN・ソウルシリーズを手掛けるフロム・ソフトウェアもそうですし、ペルソナを手掛けるアトラスの新作「メタファー」を見てもやっぱり変態だって思うんですね。Cygames の「馬娘」も色々と変態的だと思います。そういった変態さは現状は miHoYo / HoYoverse に感じないというか、まだまだ素直で優等生的というか。「Black Myth」のようなフォトリアルなゲームも同様で、中国・韓国のタイトルのクオリティは恐ろしいのですが既視感のあるものばかりなんですよね。突き抜けた作家性とか狂気とか怨念とか変態性が無いというか。ただ、それも今だけの話かも知れないのですが。
◆キャラクター育成画面
いやはや非常にお洒落で良いですね!メニュー項目を変えるだけでキャラクターが違うポーズを取ったり登場演出が凝っていたりとか、スマホゲーを中心に昨今のキャラゲーなタイトルはどれも凝ってますね。ガチャを引いてもらうためのキャラの魅力押し出しの意味合いもあってのコスト投下とは思いますが、「ゼンゼロ」ではキャラによっては「装備」から「スキル」に後ろから戻るように切り替えた時だけのアニメーションまであるんですね。。有馬さんが言われているように「入れたくて入れた」節が有力な気がしますね。
ちなみに私が知ってる中では「クァンタムマキ」(未プレイですが)のキャラクターのステータス画面がとてもアニメーション演出が凝っていてモロに好みです。残念ながら昨年夏にサービス終了してしまったようですが。。
ただ、プリレンダの世界は違うと思いますがゲームは盛れば盛るほど良い訳では無い側面はありますね。要素を盛るほどに増えるデータサイズの負担はユーザーさんが背負うことになるので。。
◆UIの色が一番明るい
これはゲーム界隈ではあまり聞けない素晴らしい指摘ですね!フォトリアルであったり映画のルックを目指したようなゲームは特にキャラや背景の色が真っ白や真っ黒にはならないよう色幅が抑えられていたりしますが、一見派手な印象のある「ゼンゼロ」でも UI 以外は確かに輝度や彩度がしっかりと抑えられていますね。。
◆UIのパーツが物体的
私はあまりフラットデザインを好ましく思っていない人間なので、それもあってか「ゼンゼロ」でちょいちょい立体感を持たせているボタンとか UI にガジェット感があったりすると嬉しい気持ちになります。
つまるところ ↓ こういう立体的なボタンが私の好みなんですよね。
なので、↓ こちらのようにオーディオ機器的な要素を詰め込んだデザインワークなどはどストライクです。。素晴らし過ぎます。。。
「ゼンゼロ」はベースはフラットデザインに寄せている感じですが、メリハリ付けたい要素にはセンス良く立体感を出していてとても良いですね。
◆制約感みたいなのが全然ない
これも核を突いた素晴らしいコメントですね。確かに、こういった PV でキャラと背景の間に文字が挟まってたり特殊なポストエフェクトかけてたりしますが「ゼンゼロ」では PV 制作を外部に出さずにゲームエンジン上で開発スタッフで作ってしまってそうな感じもありますね(最終的にはコンポジットソフトで仕上げるにしても)。そうして PV 向けに処理負荷などは度外視で一旦自由に表現したものを、最適化してゲーム中に使えるようフィードバックしたりもやってそうな気もします。
アンビーの必殺技を出す瞬間もそうですが、こういった作画表現もポストエフェクトでうまく表現していて、これが日本だと実際に手描きで強引にやり兼ねないところをスマートかつうまく落とし込んでそうな印象があります。
◆細かい演出テクニック / 世界観
主人公が伸びをする時のカメラの話や「アジア2区」の文言など、なるほどなあと。。
◆吹き出しの位置とサイズ
こちらは凄いなと思ったのは、元が中国なのに日本語版は日本語で読みやすいような改行がされているところですね。ローカライズで読みやすい位置に改行を入れるところまでコストかけるケースは珍しい気がします。
吹き出しの幅は言語ごとに変わっているでしょうけど、吹き出しの表示位置は全言語共通になっているのではとは思いますが、LQA に割いている熱量も半端無い感じはします。絵コンテ?ネーム?的なものを描く段階である程度吹き出しの位置を想定してそうですね。また、吹き出しの幅やレイアウトを決めたり、文章を入力しながら即時プレビューできるような専用ツールは用意しているでしょうね。どれくらいそういった環境を整えているか気になります。日本はそういうところを手作業で泥臭くやりがちなので。
◆ボタンの押下によるリアクションの尺感
良く出来た UI はここのレスポンスが非常に気持ち良いですよね。「ゼンゼロ」は基本的に素晴らしいのですが、NPC に話しかけた時のレスポンスだけはなぜか結構待たされる印象で(実装上の何か都合みたいなものを感じますが)そこは気になってますね。。ただ、これは私の PC 上だけで起こってる可能性もありますが。。
◆一瞬だけエフェクトが手描き?
こちらは他のバトル時などの3Dエフェクトと同じだと思いました。アニメ調の作品ではエフェクトのテクスチャはほぼ手描きかと思うので、ポスプロやシェーダーで特殊な表現をしている以外の部分は実質ほぼ手描きテクスチャを使った3Dエフェクトかなとは思います。アンビーの斬撃の雷も手描きなのか気にされていましたが、モデルに見えますね。地面を這うような立体的な雷の方もライン形状のモデル + シェーダーで歪ませてるように見えます。
◆バトルのクリア演出
最後の敵にトドメを刺した時に時間を止めて「WIPEOUT(一掃する)」のロゴが入ってカメラを切り替えて見せるこちらは、有馬さんが文字より手前にキャラが表示されていることについて、ゲームエンジンで工夫が必要な点を把握されている上で言及されているのが流石過ぎますね。
想像でしかないですが、Unity でアニメ調(フォトリアルではない)でスマホ対応ということからも描画の方式がフォワードレンダリングじゃないかなと思うのですが、すると背景>ロゴ>キャラのように描画順を個別に自由にしたり、キャラによって個別に特殊な効果をかけたりがしやすいですね。
◆手描きの絵を用意するタイミング
こちらもまたあまり語られないですが重要なお話ですね!同様によくあるものとしては、チュートリアルやヘルプの画面で差し込まれるスクリーンショットや動画は、ゲーム内容に変更が合ったら撮り直しになる訳です。他にもカットシーンを動画化するような場合もそうですね。
◆お互いが別チームで作ってない感じ
これは「オレンジ」のお二人もカットワークに対しても同様のことを言及されていましたが、そうなんですよね。アートディレクションが素晴らしいのか、プレビズを元に方向性をディスカッションして詰めているのか、リファレンスを用意してがっちりイメージを固めているのか。開発人数が多い点から、お互いにいくつもパターンを提案してディスカッションして良いものに仕上げていっているような感じかなと想像したりもします。
◆流用が目立たない配置
壁に展示されているビデオジャケットについて。今ならこういったことはスクリプトでランダム配置させて気に入ったものを採用とかで手軽にやっているかも知れないですね。
◆ゲーセンのゲーム
完全に余談なのですが、こちらのゲームは私の好きな太古のゲームの1つ「ミスタードリラー」とまんま同じでちょっとどうかとは思いましたね。。
↓ こちらが本家です。特にスマホゲームが出てきてから、日本でも他社のゲームをまるまる真似してガワだけ変えるようなことが一般的みたいになったイメージがあって、節操の無い時代になったなあと思ったりします。。
◆輪郭の色や目の処理
有馬さんの着目する部分が UI のみならず表現全般・多岐に及びつつも、お話からは3Dやゲームのコンテキストに造詣が深くて凄いですね。
確かに特殊な処理色々やってますね。。
◆総評
「原神」と並行で作っていてこのクオリティなので、原神で培われたノウハウが余すところなく「ゼンゼロ」にフィードバックされているのかなと思ったりしますが(各種ゲームシステム面でも原神を元に別のコンセプトになっていつつもより利便性を高めたようなチューニングがされてますし)、開発人数は初期から多いみたいなので物量は裁けるにしても、問題は隙の無いクオリティになるようどう進めてきたのか。そのあたり、原神のように GDC(世界最大のゲーム開発者カンファレンス)で語られたら良いなと思ったりします。。
■ UI デザイン<後半>
後半の動画は、実は前半に比べるとかなり短くて前半で取り上げられた話の補足と総括的な感じですね。すでに十分過ぎるほど感想をダラダラ書いたので一旦こちらで締めたいと思います。
■次回?
ここまでビジュアル面で大絶賛してきた「ゼンゼロ」ですが、今の私のプレイ状況的にはインターノットレベル 26 で、バトルでのパーティ構成やローテーション、ブレイクのさせ方や「混沌」の起こし方などが分かってきたあたりですが、遊んでみての感想も気が向いたら書きたいですね。ただ、私の好みで言えば「原神」の方がずっと面白いのでプレイをそろそろ止めてしまうかも。。
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