わたしの親友を紹介します【フィリピン・マニラ】
夜の飛行機が好きだ。離陸した瞬間に、乗客がいっせいに外の世界のキラキラをぼんやりと眺める。楽しかった旅のことを思い出しているのか、その街に残した誰かのこと想っているのか。それとも、これから向かう先の街や人に思いを寄せているのかな。
フィリピンに3週間滞在したわたしは、フィリピンで出会った人々のことを想った。マニラの夜景は、オレンジ色の瞬く光が思った以上に美しかった。
マカティで働いている親友のりかこ、りかこの周りの素敵な人たち。わたし、思ったんだ。みんなが、わたしに優しくしてくれたの、すごくすごく。どうしてフィリピンの人たちはこんなにもただの旅人にたくさんのあふれんばかりの愛をくれるのかって。
キリスト教とか関係あるのかな、「無償の愛」ってよく言うし、とかなんとか色々考えていた。
りかこのおかげじゃんね、って、飛行機が飛んだとき、思った。
大切な大切なりかこの友達のわたしを、大切にしようと思うのはきっと彼らにとってごく自然のことだったんだ。
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りかこは大学時代の友達。1年の時からお互い知っていたけど、よくお互いのことを話すようになったのは、就職活動のときから。よくスケジュール帳を眺めながらお互いの夢や、未来のことを話していた。大人になった今も、それは変わらない。
わたしはりかこと過ごす、その時間が大好きだ。りかこと話していると、わたしの夢物語が叶うような気がしてくる。
能天気でマイペースでおっとり系だけど、りかこは自分の幸せを知っている。あまり多くのものを求めなくて、好きな人たちと笑っていられればいいといつも言う。
一見何も考えていなそうな彼女は(失礼)、実はいろいろ考えていて、それでいて芯がある。わたしが道を外れそうなとき、いつも正してくれるのはりかこだ。
りかこは、人に愛をあげるのがとっても上手。受け取り上手でもある。それを見て不器用なわたしは、見習わなきゃといつも思う。りかこが人にあげる愛は、フィリピン人がくれるそれととてもよく似ていて、りかこと一緒にいるとき、わたしは見栄とか、プライドとか、そういう嫌な自分の感情を捨てようといつも思う。
ここにきて、ずっとずっと考えていた。この国からの大きな大きな愛を、わたしは受け取ろうと精一杯で、返しきれないよって思っていた。
返すことができないからって、一体この国の誰が、わたしを怒るというんだろう?
気づいた、自分が誰かに優しくするとき、わたしは見返りを求めていただろうか?だとしたらわたしがしていた「誰かの役に立ちたい」って、そんなのエゴだ。わたしは、自分のために、誰かの役に立ちたかったんじゃないかって。
「大切な人を大切にするんだよ。人を利用している間は、利用される人間になっちゃうからダメだよ。自分の心に、素直に生きること!」
わたし良かった、フィリピンに来て。りかこに会いに来れて。
(彼女のインスタグラムが素敵です。)
りかこは、人の笑顔を取るのが上手。
世界はわたしが思っているほど器用じゃない。だから、信じていいんだって、ふと思った。
飛行機がもうすぐ次の目的地に着きそうだ。隣で寝ていた体の大きな西欧人の男性が、突然起き上がった。窓の外に、またキラキラの世界が広がっていた。
その光を見てわたしは、次の国の出会いに、想いを寄せた。