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【新文芸坐×アニメスタイル vol.183】もう一度観たい凄い劇場アニメ劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』上映後トーク memo
新文芸坐にて上映された『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』の上映後に行われたトークショーの内容をメモし、おこしたものです。
粗雑なメモと記憶を頼りに書いているため、明らかな間違い等ありましたらコメントにて指摘・訂正をお願いします。
会場:新文芸坐
開催日時:1/17(日) 14:40~
登壇者:溝口侃プロデューサー、山本健監督、山崎淳さん(総作画監督)、小黒祐一郎さん(アニメスタイル)
小黒祐一郎さん(以下、小黒):今回はアニメスタイルのイベントとしては客層が若い。登壇者も若い。※山本健監督と溝口侃Pが32歳、山崎淳さんが43歳。
山本監督と山崎さんの起用の理由は?
溝口侃プロデューサー(以下、溝口):劇場版の話はRTTTより前にあった。「映画版」を作れる(映画の画面を作れる)人・キャラクターの掘り下げを考えてくれる人として山本さんにオファーした。
企画当初は主人公が決まっておらず、(TVシリーズのような)可愛いアニメを作れるかもと思っていた。
山本健監督(以下、山本):萌えアニメが作れると思ってオファーを受けた。
溝口:山崎さんはCygames コーポレートアニメーションムービーの縁。山崎さんの絵は華があり艶がある。山本さんが無茶苦茶をやるであろうという確信があったので支えてもらいたいと思った。
主人公がジャングルポケットに決まった時、Cygames側から「ヤンキー漫画の強いキャラ」風にと要望があった。
山本:TVシリーズのように史実をなぞっていくことは決まっていて、それをどう脚色していくかだった。
小黒:劇場版ウマ娘は「あしたのジョー」に似ているなと思うが、偶然?
山本:タキオンとジャングルポケットのシナリオのリファレンスとしてあしたのジョーは出たが、それほど意識はしてなかった。タナベトレーナーのジムくらい。
溝口:絵コンテを見た佐藤利幸さんは「これはあしたのジョーだ!」と言っていた。
山本:佐藤利幸さんには「最強はオレだ!」のシーン*¹をお願いしたときに「今石さんじゃん!」とイジられた。自分としては『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』や『遊☆戯☆王5D's』のイメージで描いていた。
小黒:山本さんは熱血モノがやりたい!という人だと感じたが?
山本:Production IGに入った経緯として『うさぎドロップ』と『君に届け』が大好きでかわいい・爽やかな作品をやりたかった。
(今作を)熱血っぽく見えていたら嬉しい。若さみたいなものが見えたら成功だと思っていた。
溝口:山本さんは作品にあった演出をしてくださる。作家性を押し出すのではなく、コンテンツに寄り添った上で自然と作家性が滲み出るタイプ。
ビジュアルについては山本さんがやりたいことができれば成功すると思っていた。
プリプロ段階で色々と資料を用意した。その過程で漫画(皐月賞あたり)を描いたりしていた。それによって山本さんがやりたい画面を共有することができた。
山崎淳さん(以下、山崎):元々「山本健ファン」。
自分は真面目でかたい絵。それがコンプレックスだった。
Cygames コーポレートアニメーションムービーの葉っぱ(山本健監督のあだ名)さんの演出修正の絵や約束のネバーランド1話やEveのPVを見て絵と表情が素晴らしいと思った。
小黒:RTTTとのデザインの差は?
山崎:RTTTは鼻が光っている(ハイライトが入っている)。劇場版だと鼻がカゲになっている。
山本:映画のライティングはカゲとノーマルの色の対比で画面を作っている。
山崎:RTTTはキャラにダブラシが入っている。自分は「美少女化学調味料」と呼んでいる(笑)。劇場版はほぼ入っておらず、ライブと可愛い担当のダンツだけはちょいちょい入っている。
山崎:山本さんの絵に影響を受けている?劇場版では山本さんの絵が”混ざってきている”と指摘を受けることがあった。
山本:自分としては、自分のグニョグニョの絵に山崎さんの立体的な絵を乗せることで美少女アニメ的な絵になればいいなと思っていたが結果的に混ざった。
溝口:葉っぱさんの絵の特徴は顎が尖っている。
EveのMVの時に顎が尖っている理由を聞いた際「エヴァQの本田(雄)さんの絵は顎が尖っていて最高の絵。自分も顎を尖らせれば最高の絵になる」と返されて天才だと思った。
ポッケが自販機前で項垂れているシーンもほぼ葉っぱさんの絵。
山本:自分が演出修正を入れすぎていて作画監督修正も引っ張られていて、それが山崎さんに移っていってる可能性がある。
山崎さんの次回作で顎が尖っていかないか心配になっている。
溝口:山本さんと山崎さんは毎日スタジオに入ってくださって、最後の最後まで粘ってくれた。
プリコネSeason2のOP時は山本さんが2ヶ月ほど音信不通になって・・・。
山本:プリコネSeason2のOPは1年ほど期間があり、同時期に86のOPもあって・・・。
山本:石井俊匡さんには無理を言って絵コンテをお願いした。
石井さんのパートはダービーで曲が流れているらへん~夏合宿~マンハッタンカフェに負けているあたり。
ライブパートはよは(中山直哉)さん。ナレーションパートは吉成鋼さん。
吉成さんのパートはコンテがあったがほぼガン無視。キャラクターがOLしていくあたりが吉成さんが付け足した部分。
山本:ライブパートはインド映画のラストのように見えればいいなと。
エンディングはうまぴょい伝説の縛りがあるのでライブ中にテロップは入れられなかった。
溝口:ラストのライブパートはタキオンの復帰レース(if)の後のスペシャルライブという認識でよい。
小黒:活躍が印象的だったアニメーターさんは?
山崎:淵本宗平さん。天才。RTTTからファンになった
山本:新時代の扉ではタキオンの部屋で喧嘩~ダービーまで演出をしてもらった。淵本さんの演出修正はほぼスルーで山崎さんに渡していた。
山崎:今作だと演出が0.5作監のような役割になっていた。
山本:(スケジュール的な問題もあり)どうしても演出段階で絵を固めないといけず、演出が作監的なことをせざるを得なかった(?)。※メモがうまく読み取れず
溝口:監督修正を見ると全修正がかなりあって・・・。
山本:そんなことはない!上手い人たちが揃っていて、構図を調整したりはしたけどタイムシートはイジることはあまりなかった。
山崎:葉っぱさんの修正は的確で作監も入れやすい。「善意のある全修」。
溝口:原画さんに戻しても喜んでくれていた。
溝口:小島祟史さんは『きみの色』の作業もあった為、営業を1年間くらいしてようやく受けて頂いた。
山本:小島さんはメインでやっている作品と作品の間を修行期間にしている。
ジャパンカップの挿入歌がかかっているあたりから杉田柊さん、有馬記念のオペラオーを前並武志さん*²が担当してくださるとのことでコンテ段階で決め打ちをしていた。
小黒:パートごとに表現が個性が出てる、原画さんの味が出ているように見えた。
山本:芝居の底上げはしているがレースに関してはそのまま出してある。
アバンのレースはSaucelotさん。ダービーはまゆとかげ(榎戸駿さん・坂詰嵩仁さん)さん。
ダンツとポッケがレース中にエフェクトを纏っていくシーンは元J.C.STAFFの鈴木悠起さん。『アクセル・ワールド』のときの阿部望のようなとがったエフェクトを描いていた。
山崎:動き・芝居・エフェクトはほとんど修正を入れなかった。
フジキセキがタナベトレーナーに対してお礼を言うシーンを今岡律之さん。
『ワンダーエッグ・プライオリティ』6話のラストも素晴らしかった。
山本:のりゆきさんがTwitterにあげている絵を真似したりした。
(今岡さんの絵の)笑った歯の端っこに黒い溜まりがあるのが凄くかわいい。
小黒:出崎演出は意識している?
山本:意識してないです!
溝口:今作に美術で参加されている串田(達也)さんに「出崎さんとは違うけど出崎を思い出した」と言われ嬉しかった。
山本:個人的には京アニをやっていたつもりで・・・。
溝口:最初のリファレンスでは『リズと青い鳥』をやろうと話していた。
山崎:リズ好きなのはわかる。
小黒:TRIGGERは意識している?
山本:全く意識していない。クレジットにはあるけど動画の発注くらい?
小黒:あしたのジョーぽいのを若い人が作ると、あしたのジョーを目指した今石さんっぽくなる・・・?
溝口:監督が修正をしてる横で自分が謝っていると監督から「でも劇場版は冰剣(の魔術師が世界を統べる)を作れればいいから」と言われた。
作画カロリー的にそれくらいにしようと言っていたが、コンテの段階でヘビーになっていた。
山本:『冰剣の魔術師が世界を統べる』って最高で、本当に素晴らしいアニメで・・・。
部分的には重い所は作ったが抑えるところは抑えて、全体的には冰剣のつもりでいた。
全体の印象として『冰剣の魔術師が世界を統べる』になればいいと思っていた。
溝口:一切そうは思わなかった・・・。
山崎さんから見た山本さんのコンテの印象は?
山崎:間違いなく冰剣ではない。
葉っぱさんのコンテはキャッチーで面白い。色がつくとなおさら。
小黒:今後の展望は?
山本:萌えアニメをやりたいけど全くオファーがこない。暫くはバトルものになるのかなと。色々やりたいです。
溝口:山本さんに声をかけたけど(スケジュールの都合で)フラレた(笑)。今後も一緒に仕事をできたら嬉しい。
山崎:真面目にコツコツと必要とされた現場で・・・。オーダーを受けてやるのが向いてると最近気付いた。今作のようなパッションが溢れる作品はなかなかない。
小黒:最後に一言
溝口:すべての部署に関して、自分の好きな人達を集めて作ることができて自分にとって宝物のような作品になった。
山本:今作を作っていた時の理想値・最大値を出すことができたありがたい機会だったと思っています。
山崎:タキオンが走るシーンでいつも泣いてしまう。本当に面白い映画だと思いましたね(笑)。
以上。
*¹佐藤利幸さん担当のシーン
劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』
— CygamesPictures (@Cypic_info) July 21, 2024
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本日は線撮映像をお届け🎬
日本ダービーのクライマックス!
是非スクリーンで迫力を感じてください✨
原画:佐藤 利幸#劇場版ウマ娘 #新時代の扉 #ウマ娘 #サイピク #CygamesPictures pic.twitter.com/SS1UuFVnZ2
*²前並武志さん担当のシーン
劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』
— CygamesPictures (@Cypic_info) June 15, 2024
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今日は線撮映像2本立て!
1本目は有マ記念でのテイエムオペラオー📣💛
原画:前並 武志#劇場版ウマ娘 #新時代の扉 #ウマ娘 #サイピク #CygamesPictures pic.twitter.com/74ZHedEWuy