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WSPC2022決勝 非公式観戦ガイド

本記事の要約

  • 10/16~23にWSPC2022 = WSC2022(世界ナンプレ選手権) + WPC2022(世界パズル選手権)が開催されます。

  • WSPC2022期間中に4つの決勝が行われます。リアルタイム観戦可です。

  • 知っておくと決勝をより楽しめそうな情報をお届けします。
    公式情報/ルール/出場選手と戦績/見どころ

  • 決勝を予習して(夜遅い回もありますが)リアルタイムで応援しよう!
    ※オンライン(+オフライン)の応援会もあります

  • 補足:長文(特にルール)なので、適宜上の目次をご活用ください。

はじめに

 先日、「WSPC2022応援会開催のお知らせ」という記事を書きました。引用します。

 3年ぶりのWSPC(世界ナンプレ・パズル選手権)の開催まで一週間を切りました。楽しみですね! WSPC開催期間中に現地にいない我々にできることと言えば、基本的には時折更新される大会公式サイトの順位表を眺めることくらいです。しかし決勝は違います。各部門の最後に行われる決勝については、(大方のプロスポーツの試合に動画/テキスト実況があるように、)リアルタイムで観戦することができます。

https://note.com/p_citizen/n/nf4a09cdcc4f5

 決勝を観戦しよう!となった時に、決勝のルールや出場選手の情報、見どころをあらかじめ把握していると決勝をより楽しむことができるのではないかと考えました。本記事では決勝の基本的な情報と、上に挙げたような、知っていた方がより面白いであろうと思われる情報をお届けします。

決勝スケジュール(日本時間)

  • 10/18(月) 3:30~ SGP Finals

  • 10/18(火) 21:30~25:15 WSC Playoff
    ・21:30~23:00 Wild Card Tournament
    ・23:30~25:15 Playoff

  • 10/21(金) 3:30~ PGP Finals

  • 10/22(土) 17:45~23:00 WPC Playoff
    ・17:45~19:30 Wild Card Tournament
    ・21:00~23:00 Playoff

 今年のWSPCはポーランドで行われているので、SGP/PGP Finalsの開催日時は深夜とも未明ともつかない時間帯になっています。筆者は21時寝3時起きする予定です。フラグかな?
 SGP/PGP Finalsのスケジュールのソースは以下の通りです。WSC/WPC Playoffのスケジュールのソースは"WSC/WPC Playoff"のセクションに載せています。

  • SGP/PGP Finals
    "Check out the full schedule in PDF"をご覧ください。


WSC/WPC Playoff

公式情報

  • WSC Playoff
    以下のリンクの"Sudoku Instruction Booklet"をご覧ください。Playoff含む個人戦のルールは6~7ページに、出題されるパズルは60~62ページに記されています。

  • WPC Playoff
    以下のリンクの"Puzzle Instruction Booklet"をご覧ください。Playoff含む個人戦のルールは6~7ページに、出題されるパズルは86~95ページに記されています。

ルール

 ここでは、上のリンクのPlayoffのルールを和訳/解説していきます。

  • 個人戦の構成
     個人戦は以下の3つで構成されます。
      ①Individual rounds × 10
      ②Wild Card Tournament
      ③Individual Playoff (決勝) (13名)
     ①の合計点の上位12名は、③への進出が確定します。上位12名を除いた上で、各国で最も成績が良かった1名が②に進出し、③に進出できる1枠を争います。②③の両方について、シードは①の成績によって決定されます。同点の場合は以下の基準でタイブレークします。
      ①タイムボーナスを除いた素の得点
      ②(WPCのみ)Round13の得点
      ③Round 12の得点
      ④Round 11 の得点
      …
      ⑪Round 1の得点
      ⑫(それでも同点の場合)ランダムに決める

  • Wild Card Tournamentのルール
     Wild Card Tournamentは5ラウンドで構成されます。各ラウンドでは、選手が1vs1の対戦を行います。WSCの場合は制限時間7分、WPCの場合は制限時間10分で指定されたパズルを1問解き、先に正答した方が勝ち上がります。
     トーナメントの出場選手には上述した通り、1~32のシードが与えられます。1が最も高いシードです。選手数が32に満たない場合は、シードの高い選手がバイ(そのラウンドで対戦相手がいない=自動的に勝ち抜け)になります。
     1回戦では、選手の数に応じてシード1~32、2~31、…、16~17の対戦カードが組まれます。各対戦の勝者は、その対戦カードでより高いシードを持つ選手のシードを獲得します。例えば、1回戦でシード31の選手がシード2の選手に勝った場合、2回戦でシード31の選手が持つシードは2になります。この仕組みにより、2回戦に進出する選手のシードは1~16になります。
     2回戦では、シード1~16、2~15、…、8~9の対戦カードが組まれます。これを、トーナメントの勝者が決まるまで続けます。
     どの対戦カードでどのパズルが出題されるかは、WSCの場合はインストラクションの60ページ、WPCの場合はインストラクションの86~89ページに記載されています。

  • 1vs1対戦のルール
     パズルが解けた選手は、紙をひっくり返して"finished"と声に出します。先にfinish宣言をした選手がそのパズルを正答していた場合、その選手の勝ちとなります。誤答していた場合はもう一方の選手が勝ち上がります。制限時間内にどちらも正答できなかった場合は、個人戦のランキングが高い方が勝ち抜けます。

  • Playoffのルール(WSC Playoff)
     Playoffは4ラウンドで構成されます。各ラウンドでは4人の選手が競い合います。各ラウンドの問題数/制限時間/出場者は以下の通りです。
     ①1回戦(3問・21分):10位/11位/12位/Wild Card Tournamentの勝者
     ②2回戦(3問・21分):7位/8位/9位/1回戦の勝者
     ③3回戦(4問・28分):4位/5位/6位/2回戦の勝者
     ④4回戦(5問・35分):1位/2位/3位/3回戦の勝者
     各ラウンドで出題されるパズルは、大会側が公開するパズルのセットの中からPlayoff出場者が選びます。パズルのセットは全ラウンドで共通しており、インストラクションの61ページに一覧があります。
     どのラウンドでどのパズルが出題されるかは、1回戦の前に決まります。まず4回戦のパズルを選び、次に3回戦のパズル、2回戦、1回戦の順番に決めます。Playoff開始前の順位によって、パズルを選ぶ順番が決まります。各ラウンドについて、誰がどの順番でパズルを選ぶかは以下の通りです。
     ①4回戦:1位→2位→3位→1位→2位
     ②3回戦:4位→5位→6位→4位
     ③2回戦:7位→8位→9位
     ④1回戦:10位→11位→12位
     選ばれたパズルはパズルのセットから除外されます。

  • Playoffのルール(WPC Playoff)
     Playoffは4ラウンドで構成されます。各ラウンドでは4人の選手が競い合います。各ラウンドの問題数/制限時間/出場者は以下の通りです。
     ①1回戦(4問・30分):10位/11位/12位/Wild Card Tournamentの勝者
     ②2回戦(4問・30分):7位/8位/9位/1回戦の勝者
     ③3回戦(4問・30分):4位/5位/6位/2回戦の勝者
     ④4回戦(5問・40分):1位/2位/3位/3回戦の勝者
     Playoffで出題されるパズルは5つのパズルセットに分かれており、どのセットを解くかはPlayoff出場者が選びます。各パズルセットは4つのパズルで構成されています。どのパズルセットも、難易度/パズルのジャンル/作者/エンターテインメント性(!)の観点でバランスが取れています。パズルのセットはインストラクションの90~95ページに記載されています。
     どのラウンドでどのパズルセットが出題されるかは、1回戦の前に決まります。まず4回戦のセットを選び、次に3回戦のセット、2回戦、1回戦の順番に決めます。パズルセットは各ラウンドの出場者の投票によって決められます。そのラウンドに出場する選手は、残っているセットの数をNとしたときに、最も好きなセットをN点、次に好きなものをN-1点、…最も嫌いなセットを1点として投票します。投票の結果、最も得点の高かったセットがそのラウンドのセットとして選ばれます。同点のセットが出た場合は、そのラウンドに出場する選手の中で最も順位の高い人の希望が反映されます。
     4回戦(最終ラウンド)では選んだパズルセットに加えてもう一問別のパズルが出題されます。パズルの種類は本番のお楽しみです。とりあえずSudokuではないそうです。

  • 解答/提出/採点/ランキング
     Playoffに出場する選手がパズルを解き終えたら挙手します。その後、1分間で採点が行われます。1分後、正答している場合、審判は次のパズルを解答することを許可します。誤答している場合は、審判は誤答したパズルを選手に返却します。選手は誤答したパズルをいつでも再提出できますが、提出の度に1分間の採点が行われます。
     1, 2, 3回戦は、制限時間が終了するか、選手のうち誰かがそのラウンドの全ての問題を正答した時点で終了します。4回戦は、制限時間が終了するか、4人のうち3人が全問正解した時点で終了します。Playoffの順位は、以下の基準に従って決定されます。
     ①正解したパズルの数
     ②最後にパズルを正答した時間
     ③シードの高さ
     1, 2, 3回戦では、次のラウンドに進む選手以外はPlayoffまでの個人戦の順位によって順位が確定します。4回戦では、Playoffの結果で1位から4位までが決まります。
     万が一、出題されたパズルに不備があった場合、制限時間が過ぎるか、不備発見時に解いていたパズルを正答した時点のどちらか早い方で各選手のタイマーを一時停止します。出題パズル決めの時に不備のあるパズルを選んだ選手は、まだ選ばれていないパズルのセットから、それに代わる新しいパズルを選びます。その後、各選手は、時間差を調整して競技を続行します。

見どころ

  • 各国の上位選手による1vs1対戦
     Wild Card Tournamentには各国の(既にPlayoff進出が決まっている12名を除く)最上位選手が出場します。敗者復活戦的な要素もあり、この仕組みがシンプルに熱い。どのようなバトルが繰り広げられるのか、そして誰がPlayoffに駒を進めるのかが楽しみです。

  • わんこそばからは逃げられない
     普段からコンテストに参加している方はご存知かと思いますが、大抵のコンテストはパズルを解く順番、そもそも特定のパズルを解く/解かないの選択の自由があります。
     わんこそば方式では、パズルを解く順番は決まっています。そして、目の前の問題を解けなければ次のラウンドに進出することはできません。どんなに苦手な/難しい問題が来ても、それを突破する力が必要になります。苦手な問題は人によりますが、難しい問題はトップ選手でも手が止まることが多いので観戦していてわかると思います。全員スムーズに抜けられることを祈りつつ、各選手が難問をどう対処していくのか見てみましょう。

  • 正答か誤答か
     Playoffには特に緊張が走るタイミングが2つあります。選手が解答を提出した時と、提出した解答の採点時間が終わった時です。解答提出後、採点時間がちょうど1分あります。その間、(もし見えるなら)各選手がどのように過ごしているかを見てみましょう。また、採点時間が終わった時、選手に渡される紙が新しいものなのか見覚えのあるものなのか注目してみましょう。前者の場合は正答で、後者の場合は誤答です。もしも誤答してしまった場合、その選手がどのように立て直していくのかを応援しながら見守りましょう。盤面を眺めて間違っている箇所を見つけにいくのか、全消ししてやり直すのか、戦略が分かれます。

  • 問題選択
     Playoff開始前の問題選択では、各ラウンドのシードの高い選手から順番に出題パズルを決めていきます。自分の得意なパズルを選ぶのか、それとも対戦相手の苦手なパズルを選んでいくのか、戦略が分かれるところです。「この人はどういう意図でこのパズルを選んだんだろう」と想像してみると面白いかもしれません。


SGP/PGP Finals

公式情報

  • SGP Finals
    以下のリンクをご覧ください。
    ①"Live Standings":当日更新される実況スプシ
    ②"The Instruction Booklet":出題パズル・出場者・各パズルのルール
    ③"Rules for the playoff":決勝全体のルール

  • PGP Finals
    以下のリンクをご覧ください。
    ①"Live Standings":当日更新される実況スプシ
    ②"The Instruction Booklet":出題パズル・出場者・各パズルのルール
    ③"Rules for the playoff":決勝全体のルール

ルール

 ここでは、上のリンクの"Rules for the playoff"を、"Live Standings"の見方を交えながら和訳/解説していきます。

  • はじめに
     今年のGP FinalsはSwiss Elimination方式で行われます。この方式は2019年に始まって、今年で2回目です。各選手が1vs1で対戦します。通常のDouble-elimination方式(敗者復活戦のあるトーナメント)と同じで、2敗目がついた選手は優勝できません。2敗以上した選手は順位決めのトーナメント(後述)に移り、できるだけ高い順位を取るために対戦を続けます。
     Finalsには1月~8月に開催された予選の上位10名が参加します。各選手は、予選の順位に応じてシードが割り当てられます。2018年以前のFinalsではわんこそば方式を採用しており、予選の得点に応じて各選手が問題を解き始める時間に差をつけていましたが、Swiss Elimination方式は、シードが高い選手ほど、最初の対戦相手と出題されるパズルの選択で得をする形になります。

  • 出題パズルとラウンド
     PlayoffはA~Hの8つのラウンドで構成されます。各ラウンドでは1つ以上の対戦が行われます。各対戦には2人の選手が参加し、1つのパズルをどちらが早く正答できるかを競います。同じラウンドでは同じパズルが出題されます。
     1月~8月に行われたGP予選を開催した8つの国から、パズルが1問ずつ出題されます。各ラウンドで出題されるパズルはこの8問から1つずつ選ばれます。

  • シードと順位
     各選手にはシードと順位が設定されています。Finals開始時には、どのプレイヤーについてもシードと順位は同じ番号になっています。例えば、第6シードの選手は6位です。
     最初のシード/ランクはGP予選での成績によって決定されます。数字が小さいほど有利です(第1シード/1位が最強)。
     各ラウンドでは、順位に応じて対戦カードを決め、1vs1の対戦を行います。順位の高い方が勝った場合は、次のラウンドでも2人の順位は変わりません。順位の低い方が勝った場合は、次のラウンドで2人の順位が入れ替わります。例えば、10位の選手が1位の選手に勝った場合、10位だった選手の順位が次のラウンドで1位に、1位だった選手の順位が次のラウンドで10位になります。
     このような仕組みで全8ラウンドの対戦を行い、順位を確定させます。順位の移り変わりは"Live Standings"のスプシの"Ranks"シートにリアルタイムで反映されます。

  • トーナメント表
     各対戦は、選手の成績によって以下の3つのトーナメント表のいずれかにマッピングされています。
     ①The Winner's Bracket:一度も負けていない選手が参加します。
     ②The Loser's Bracket:一敗した選手が参加します。
     ③The Placement Bracket:二敗以上している選手が参加します。
     トーナメントを進めていくと、①②にそれぞれ1人ずつ選手が残るはずです。その2人で決勝戦を行い、優勝者と準優勝者を決めます。
     トーナメント表は、"Live Standings"のスプシの"Winner's Bracket"シートと"Other Brackets"シートにリアルタイムで更新されます。

  • ヒート
     Swiss Elimination方式は対戦数がとても多いです。効率的にFinalsを進めるため、最大2試合まで同時に行い、現地では解説つきの配信を行います。同時に行う試合のことをヒートと呼びます。
     ヒートは16回行われます。各ヒートの詳細は、"Live Standings"のスプシの"Matches"シートにリアルタイムで更新されます。

  • 出題パズルの決定
     「出題パズルとラウンド」の項で述べた8つのパズルの開催国/作者/パズル名/ルール/例題等の情報はFinalsの前に全ての選手に公開されています。
     SudokuのFinalsでは、Classic Sudokuのみ、難易度が3段階で公開されています。それ以外のパズルの難易度情報はありません。
     PuzzleのFinalsでは、GP予選と同じ難易度感覚で全てのパズルに配点がつけられています。この配点は難易度を示すためのみに用いられ、Finalsの順位付けには影響しません。
     各ラウンドの前に、The Winner's Bracketにいる最もシードの高い選手が、そのラウンドで出題されるパズルを選択します。但し、A, C, E, GのラウンドではThe Winner's Bracketでの対戦がないため、その選手は自分が解かないパズルを選択することになります。
     各ラウンドの出題パズルとそれを決めた選手は、"Live Standings"のスプシの"Puzzle Selection"シートにリアルタイムで更新されます。

  • 解答用紙のおかわり
     選手は、解いているパズルの盤面がどうしようもなくハタンしてしまった場合、新しい解答用紙を要求することができます。古い解答用紙を放棄した後に、新しい解答用紙が渡されます。これにより、新しい解答用紙に古い解答用紙の内容を書き写すといったことはできません。このおかわりルールの悪用を防ぐために、選手がおかわりを要求できるのは1対戦につき1回までとなっています。
     万が一、解答用紙が枯渇する(誰かがおかわりできなくなる)可能性がある場合は、そのヒートの開始前にその旨言い渡されます。そのヒートではおかわりをすることができません。

  • 採点
     各対戦では、シードの低い選手が対戦相手のシードの高い選手よりも早くパズルを正答した場合、シードの低い選手が勝者となります。それ以外の場合(シードの高い選手が先に正答する/どちらも正答しないまま時間切れになる)は、シードの高い選手が勝ち上がります。
     誤答した場合は1分間のペナルティが課されます。
     各選手の解答時間は、タイマーを使って決定されます。
     まず、選手/採点者/審判全員に見える大きな共有タイマーを設置し、更に各選手もタイマーを持ちます。採点者は各選手の横につき、1名以上の審判がタイムを記録します。
     対戦開始前に、選手はタイマーを握ります。パズルは、タイマーと選手との間に裏向きで置かれます。
     審判の合図で共有タイマーがスタートし、選手は自分のタイマーから手を離して解き始めます。
     選手は、パズルを解き終えたと判断したら、採点者の方にパズルをスライドさせ、両手で自分のタイマーをタッチしてタイマーを止めます。採点者は、共有タイマーに時間を記録し、1分以内に採点します。審判が来て、選手の公式タイムをその選手のタイマーに記録し、そのタイマーをリセットします。次にやることは、以下に述べるように、選手の提出した答えが正しいかどうか、また、他の採点者の状態によって決まります。
     ①正答している場合&対戦相手の採点者が採点中の場合
      採点者は黙って採点を終え、1分経過するか、対戦相手の採点が1分経過するかのどちらか早い方まで待ちます。その時点で、採点者は選手がパズルを正答したことを発表し、その対戦を終了します。
     ②正答している場合&対戦相手の採点者が採点していない場合
      採点者は、正答を確認した時点で正解を発表し、その対戦を終了します。このとき、対戦相手はパズルを非公式に解き続けることができますが、そのタイムは記録されません。
     ③誤答している場合
      採点者は1分経過するまで待ち、対戦が終了していない場合は、採点者は選手に1秒間タイマーに手を置いて準備するように指示します。提出されたパズルは、誤答していること以外は何も書かずに、裏向きで選手に返されます。選手はタイマーから手を離し、不正解のシートを表向きにして解答を続けます。
     共有タイマーが10分になり、審判がシードの低い選手が10分以内にパズルを正答できないと判断した場合、その対戦は終了になります。
     対戦が終了した時点で、正答者が1人出た場合はその選手の勝ち、2人とも正答した場合はより少ない公式タイムで正答した選手の勝ち、正答者が出なかった場合はシードのより高い選手の勝ちです。
     万が一、どちらの解答時間が早いか審判に判断がつかなかった場合は、シードの高い選手が勝者となります。
     もしもタイマーの不具合や手違いがあった場合、審判はFinalsの精神に従って最善の対応をします。審判の決定は最終的なものです。
     各対戦結果の詳細は、"Live Standings"のスプシの"Matches"シートにリアルタイムで更新されます。

出場選手と戦績

 "Live Standings"のスプシの"Competitors"シートに出場選手が載っています。
 この情報に従い、以下のスプシに各選手の戦績をまとめました。戦績というのは、SGPの場合は過去のSGPとWSC、Pの場合は過去のPGPとWPCです。この人はいつからGP Finals/WSPCに参加しているのか、その時の順位がどうだったのか等がわかります。逆にこの人はFinalsに出るのは初めてなんだな、とか。眺めてみると各選手がどのような道を辿って今年の決勝の舞台に立つのかが垣間見えて感慨深いです。人に歴史あり。

  • SGP

  • PGP

見どころ

  • 持久力勝負
     上のルールでも述べた通り、Swiss Elimination方式は対戦数がとても多く、長期戦となります。最後の試合まで集中力を持続させることが必要となります。決勝前の時点で、The Winner's Bracketに残る1名以外は全員1敗以上することになりますが、その後の立て直し方や、自分の対戦していない時間の過ごし方を見てみると良いでしょう。
    2019年には観客側が疲れ果てて会場の隅で卓球が始まっていた。観客よりも選手の方が余程疲れているだろうになと思った。尚、様子見しに行った結果、数ラリーやって帰ってきた。

  • 正答か誤答か
     WSPC Playoffと内容がほぼ被りますが、Finalsには特に緊張が走るタイミングが2つあります。選手が解答を提出した時と、提出した解答の採点時間が終わった時です。解答提出後、採点時間がちょうど1分あります。その間、(もし見えるなら)各選手がどのように過ごしているかを見てみましょう。また、採点時間が終わった時、対戦が終了するのか、解答用紙が返却されるのか注目してみましょう。前者の場合は正答で、後者の場合は誤答です。もしも誤答してしまった場合、その選手がどのように立ち直していくのかを応援しながら見守りましょう。盤面を眺めて間違っている箇所を見つけにいくのか、全消ししてやり直すのか、戦略が分かれます。

  • 問題選択
     これもWSPC Playoffと内容がほぼ被りますが、各ラウンド開始前の問題選択では、The Winner's Bracketにいる最もシードの高い選手がそのラウンドの出題パズルを決めていきます。自分が出るラウンドであれば、得意なパズルを選ぶのか、それとも対戦相手の苦手なパズルを選んでいくのか、戦略が分かれるところです。また、自分が出ないラウンドでは、次に自分と当たる対戦相手は誰が良いかを考えて問題選択をするかもしれません。「この人はどういう意図でこのパズルを選んだんだろう」と想像してみると面白いと思います。

  • 日本選手対決
     SGPには2人、PGPには6人、日本の選手が出場します。PGPの場合は6/10です。これが何を意味するかというと、かなりの高確率で日本選手対決が発生します。
     出場する日本人選手は互いにある程度どんなパズルが得意/苦手かを把握していると思います。それが対戦時の戦略や問題選択にどう効いてくるかが見どころの一つです。
    日本選手の多さとは関係ないが、2019年には日本選手の特定の対戦カードが2回以上発生して「またお前と戦うのか」状態になっていたことを思い出した


おわりに

 WSPC2022の4つの決勝の公式情報/ルール/出場選手情報/見どころを解説してきました。これらを事前に知っておくことで決勝をより楽しめると思いますので、是非観戦前に(観戦中にも)読んでみてください!
 もし掲載している情報に不備等がありましたら、直ちに対応しますので、白岡市民のTwitterアカウント(@Whitehill9)までご連絡ください。
 また、各決勝について、オンライン(+オフライン)で応援会を行う予定です。Twitterのスペースを使って同時視聴をします。よろしければお気軽にご参加ください。詳細は以下のnote記事に記載しています。

 最後に、WSPCのWild Card TournamentやGP Finalsと同様の形式で1vs1の対戦を行う"Heads-up Puzzle League"(HPL)という企画が日本で行われています。日本のトップ選手達による対戦で、今年のWSPCに出場している人もいます。興味のある方は是非見てみてください。

参考資料

 GP Finalsの出場選手の戦績をまとめる際に助かった資料を紹介します。

  • WPF Newsletter | WPF
    SGP Finals出場選手のWSCの戦績をまとめる際に参照しました。

  • WPC-unofficial
    PGP Finals出場選手のWPCの戦績をまとめる際に参照しました。公開時のnote記事と本体を載せます。


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