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WSPC応援会を開こう

 本記事は、"ペンシルパズルI Advent Calendar 2022" 10日目の記事です。


本記事の要約

  • ペンシルパズルには、解くスピードと正確性を競う世界大会があります。今年の10/16~23にはポーランドでWSPC2022 = WSC2022(世界ナンプレ選手権) + WPC2022(世界パズル選手権)が開催されました。

  • WSPC2022期間中には4つの決勝がありました。筆者はオフライン+オンラインの応援会を開いてリアルタイムで観戦しました。

  • 応援会の開催データ、準備したこと、今後の展望などを来年以降のために残しておくのが本記事の主な目的です。

  • 応援会はいくつあっても、誰が開いてもいい。応援会を開いてWSPCを応援しよう!


はじめに

 こんにちは。サッカーW杯を観戦していて連日寝不足の白岡市民です。こういった世界的スポーツイベントを観るにつけ抱くのは、競技パズルもこの規模で盛り上がる日が来てほしいなという期待です。

 競技パズルとは、ペンシルパズルの解くスピードと正確性を競う競技です。ペンシルパズル早解きと同義です。日々大会(主にオンライン)が開かれており、毎年秋にはオフラインの世界大会が開催されます。今年の10/16~23にはポーランドでWSPC2022 = WSC2022(世界ナンプレ選手権) + WPC2022(世界パズル選手権)が行われました。
 WSPC2022期間中には4つの決勝があります。これらの決勝は、動画/テキスト実況を観ながらリアルタイムで観戦することができます。各々の環境で観戦する人もいれば、一箇所に集まって応援する人々もいます。筆者は2016年くらいから大学のサークル仲間と後者のタイプの応援会を開き始めました。
 ここ3年はパンデミックにつきオフラインのWSPCがなかったのですが、今年、久しぶりに開催されるということでオフライン+オンラインの応援会を企画しました。競技パズルの魅力をより多くの人に知ってもらうために、「競技パズルをやったことがない/決勝を見たことのない人でも楽しめる応援会にしよう」というテーマを設定して準備を進め、実施しました。多くの方のご協力のもと、全4回の応援会を開くことができました。どれも楽しい会になったのではないかなと思っています。
 応援会を振り返って思うのは、応援会が今後も継続的に開かれてほしいということと、そういえば応援会開催のノウハウ(というほどのものでもないけれど)ってまだ共有していなかったよなということです。そこで、応援会の開催データ、準備したこと、今後の展望などを来年以降のために残しておくことにします。


応援会2022の振り返り

開催データ

  • 10/17(月) 27:00~30:00 SGP Finals応援会@Twitterスペース
    参加者数:11人

  • 10/18(火) 22:15~28:15 WSC Playoff応援会@Twitterスペース
    参加者数:25人

  • 10/21(金) 27:00~30:00 PGP Finals応援会@都内某所&Twitterスペース
    参加者数:15人

  • 10/22(土) 19:00~23:00 WPC Playoff応援会@都内某所&Twitterスペース
    参加者数:26人

 夜なのか朝なのか判断がつかない時間帯の回もありましたが、延べ76人の方に参加いただきました。ありがとうございました!

準備

 時系列で振り返っていきます。
 いきなり応援会とは直接関係のない活動が出てきます。括弧で囲まれている項目は、応援会ではないが広い意味で応援と言えそうな活動か、パズラーズハイで一気呵成したが必須ではない活動で、一応記録しておこうというものです。

1. (インスト紹介記事を書く)
 WSPC開催約二週間前に、大会当日に出題されるパズルのルールを記したインストラクション(インスト)が公開されました。インストを読んだら「これ、ペンシルパズル図鑑だ…!」という気づきを得たので、普段競技パズルをやっていない方を意識した紹介記事を書きました。競技に参加していなくてもインストは面白いです。

2. (WSPCの練習問題を作る)
 インスト紹介記事の「おわりに」で問題作成宣言をしていたこと、また、同時期にPuzzle Square JPでWSPC2022応援企画が立ち上がったことを受けて、練習問題を何問か作りました。これまでこういう形の応援はしたことがなかったので楽しかったです。作問力をつけたい。

3. 開催形式を決める
 
自分の記憶では、前回大会(2019年)までは応援会はオフラインで開かれていたのですが、社会情勢を鑑みるに、オンラインで参加できる方法も用意しておいた方がよかろうと考えました。匿名で参加できて、話すか聞き専かを参加者が自由に選べるツールを探しました。昨年導入されたTwitterのスペース機能が便利そうだったのでそれを利用することに。一方でオフラインの応援会も楽しいので、オフラインとオンラインのハイブリッド開催を視野に入れて企画しました。Twitterで開催形式のアンケートを取ったところ、ハイブリッド方式の得票数が一番多かったのでそうしました。

4. おおよその日程を決める
 
決勝が4回あるので(開催時間帯からは目を逸らしつつ)4回実施することになりました。オンラインについては各決勝の30分前にTwitterのスペースをオープン、オフラインについては開始予定時刻の1時間前に集合&終了予定時刻の1時間後までに退出することにして時間に余裕を持たせました。平日に行われるSGP/WSCの決勝は、自分はオフライン参加できなさそうだったので、代行者がいればお願いするという形にしました。

5. 参加者を募集する
 
応援会開催のお知らせ記事を出しました。Twitterスペースはリスナー数の制限がないのでいいのですが、オフラインについては事前にある程度人数を把握する必要があります。Googleフォームを作りました。質問項目は以下の通りです。
・お名前(ペンネーム可)を教えてください。
・連絡のつくTwitterアカウントかメールアドレスを教えてください。
・学生ですか?(学割が利いて会場代が安くなることがあるため)
・仮に全ての回がハイブリッド開催になるとした場合)どの回に参加しますか?
 応援会を開こうと決めたのが少し遅かったので募集期間が短かったかなと思います。インストが出たら即企画した方が良さそう。

6. 開催場所を決める
 
これまでの応援会が大体カラオケで開かれていたことから、今年もそうしようかと思いましたが、料金や利用時間とにらめっこしてSPACE MARKETで探すことにしました。条件はPCを繋げる大きなスクリーンがあることとWi-Fiがあることです。参加費は3000~4500円+各自の飲食物になるようにしました。
 カラオケでの応援会と比較して良かったことがいくつかあります。まず、人数の融通が利いたことです。何人参加しようと場所代は一律なので、一旦場所を取っておいて人数を後から増やすことができます。また、時間も延長可なので、もし決勝が延びたときに柔軟に対応できます。
 難点は、レンタルスペースのWi-Fiが弱かったことです。これは場所によりそう。あらかじめテザリングの準備をするか、余裕があれば下見しておいた方がよさそうです。

WPC Playoffのオフライン会場。意味深なインテリア

7. 応援会のハッシュタグを決める
 
応援会の参加者は音声で情報のやり取りができるのでいいのですが、偶然TLを見た人が何に盛り上がっているのか把握できるようにしようということと、情報集約の観点から、ハッシュタグを設定しようと考えました。文字数が多すぎると不便そうなので、シンプルに#WSPC2022にしました。主語が大きい。
 その効果はというと、現地勢が実況するときに使ってくれたので情報を追いやすかったです。主語の大きさに自分でビビってしまい周知を渋ってしまったのは反省。ちょうどいいハッシュタグがあったら教えてください。

8. (Twitterのリストを作成する)
 
自分は現地勢を全員フォローしていますが、初見の方はそうではなかろうということで、Twitterのリストを作りました。
 各ラウンドの感想が聞けたりして個人的には面白かったですが、リストを作ったことで「さあWSPCの話をしたまえ」というプレッシャーをかけてしまったのではないかということは少し気にしました。普段通りパズル以外の話もしてもらって全然構わないんですよ。

9. (非公式観戦ガイドを作成する)
 
インストに載っている各決勝のルールを和訳しました。
 少なくとも自分にとっては、応援会で実況するにあたって役に立ちました。改めて読むと文字が多いな。図を挟んだ方が良かったですね。あと、非公式観戦ガイドを作ることを思い立ったのがWSPC開催数日前と遅かったです。インスト公開直後に書き始めていたらもっと推敲して読みやすいものにできただろうなと思います。

10. (戦績スプシを作成する)
 
各決勝に進出する選手のこれまでの戦績をまとめました。日頃競技パズルをやっていると、大会上位の顔ぶれが大体わかりますが、初見の方も誰がどういう経緯で決勝の舞台に立つのかがわかるように作成しました。
 これも、少なくとも自分にとっては応援会で実況する上ですごく役に立ちました。事前に決勝進出者が判明しているSGP/PGPと違って、直前にならないとわからないWSC/WPCの戦績をまとめるのは大変でしたが、応援会で参加者の方に共同編集をお願いしたところ埋めてくださった方が何人かいました。ありがとうございます!また、スプシ作成にあたってはWPC-unofficialに載っている情報が非常に役に立ちました。
 後々、このスプシを使ってWSC/WPCのWild Card TournamentやPlayoffの戦況を共有することにもなったので、あってよかったと思います。

11. 実況する
 
いよいよ応援会当日です。ルールや試合の概況を説明することに注力しました。特にSGP/PGPのトーナメントは複雑なので念入りに解説することにしました。公式スプシがわかりやすい&更新が早くてありがたかったです。
 どの回も、出題されるパズル等の資料を送ってくださる現地勢、手筋の解説をしてくれる日本勢がいらっしゃって大変助かりました。JPFやTwitchの映像中継を観ながらの回も熱かったですね。また、Twitterスペース開催をしたことで、より多くの日本勢、更には現地勢(!)と交流できるようになりました。特に現地の生の声が聞けたのは非常に良かったと思います。
 後日、競技パズルの雰囲気が味わえて良かったと言ってくださった方がいて、開催者冥利に尽きました。当初のテーマである「競技パズルをやったことがない/決勝を見たことのない人でも楽しめる応援会にしよう」が少しは達成できたのではないかなと思います。


応援会(狭義)の今後の展望

 当面の目標は、来年以降も継続して応援会が開かれることです。もっと言うと、応援会を開いてくれる人が増えることです。
 開催者というと身構えるかもしれませんが、知り合いと観戦するのでそのついでにとか、たまたまその日空いてるから開いてみるとか、そんなノリでいいんですよ。特にTwitterスペースは開催コスト低です。身内ならDiscordなど。
 応援会の多様性についても触れておきたいです。目的で言うと、現地勢から問題を入手して選手や応援会参加者とガチバトルするとか、出題パズルの手筋について考察し合うとか、初見の方向けに解説に全振りするとか、「観る」競技として楽しむとか、色々あります。様々な応援会が津々浦々でたくさん開かれることを願っています。情報を別々に取ってくるのは非効率的なので、ハッシュタグやスプシで応援会間の情報共有ができたらより良いかなとは思いますが、それはおいおい考えるとして。
 何年かかるかわからないですが、そのうちWSPC応援会が広まって、サッカーW杯並みの盛り上がりを見せるというのが私の長期的な目標です。


おまけ:応援会(広義)の今後の展望

 少し毛色の違った話ですが、応援会というものを広く捉えてみると、選手/スタッフを支援する方向で何かできないかなと考えています。
 最近課題に感じていることですが、日本の選手/スタッフってほぼ全額自腹でWSPCに行ってるんですよね。参加費と飛行機代がめちゃくちゃ高いです。数十万円します。実力はあるのに参加費がネックになってWSPCに行けない人が発生していそうで勿体ないと感じています。
 筆者が学生時代にやっていたオリエンテーリングでは、世界ジュニア選手権出場者が日本チームTシャツを作って、その売り上げや寄付金を選手の遠征費の補助にしていました。こういう仕組みを競技パズルでも作りたいです。既に個人で取り組んでいた選手もいますが、もっと周りからも盛り上げていけたらいいですね。最初はそんなに資金が集まらないかもしれないけれど、長期的に考えると大きな一歩だと思います。
 更に狂気的な案として、WSPCの裏で並走チャリティー企画があると面白いかもと考えています。インストの解説や研究発表。話し手を変えつつ、Round1開始からPlayoffの直前までずっと生配信してるイメージです。たまにWSPCの速報が入る。スパチャとグッズの売り上げが寄付されます。狂気だな…。
 何にせよ、もっと選手/スタッフを応援したい!という話です。来年はこの方面の活動も進めていきたいです。


おわりに

 WSPC2022応援会の開催データ、準備したこと、そして今後の展望について記してきました。
 最後に、何故応援会を開くのか。自分の場合は、参加者としては「世界大会に出場する選手を応援したいから」、開催者としては「競技パズルの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいから」という、それ以上は分解不可能な気持ちが力になっています。ただ、全員が同じことを考えている必要はなくて、「パズル仲間とワイワイしたいから」「どんなパズルが出題されるのか気になるから」「そもそも競技パズルってどういうものなのか知りたい」、何でもいいです。要は、「そこにあるもの」を目撃していることが何よりも重要で、その結果、少しでも心が動かされる人がいたら嬉しいなと一競技パズルファンとして思っています。
 みんなも応援会を開催してWSPCを応援しよう!

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