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[KNOT] PARADISE AIR×オランダ

世界中のまだ見ぬ価値をAIR事業を通して発見し、解きほぐして時代に呼応して結び直していく 「PARADISE Knot」は海外のAIRとアーティストがつながるノット(=結び目、結び方)に対してPARADISE AIRがAIR同士の結びつきやAIRとアーティストのより良い出会い方の個別解を丁寧に模索することを目指しています。

これまでの移動し、制作するという従来のAIR像にとらわれることなく、PARADISE AIRが構築してきたネットワークの強みを活かしAIRの現場のアップデートを目指す。 そしてアーティストの制作機会はもちろんのこと、AIR事業に関わる仕事を創出し、関係を作り、さらなる発展へと結び直していく。

PARADISE AIR×オランダ|KNOTのきっかけ

これまでのPARADISE AIRの活動を振り返っていた時期にたどり着いた疑問がある。何年もレジデンス施設として、何ヵ国ものアーティストを迎え、それぞれの年に滞在制作やプロジェクトを行なったことは、記録され、公開され、評価される。しかし、例えば、一度LONGSTAY Programで滞在したアーティストがもう一度日本に来た時に、再び2度3度とPARADISE AIRに立ち寄ることがあることや、LONGSTAY Programの公募に何度も応募してきているアーティストがいることなど、PARADISE AIRの正式な活動として公開することはないけれど、長年積み重ねていたからこそ生まれた出来事や成長した部分がある。

LONGSTAY PROGRAM最終審査会の資料

しかしそれは公開されることも評価されることもない。そうした部分にスポットを当ててみたいという思いから、「LOOKBACK」という仕組みを行うことになった。LONGSTAY Programに応募し、ファイナリストに残るが惜しくも落選していたアーティストと、既存のプログラムではない枠組みでプロジェクトを行うことになった。2018年、2019年と2年連続で意欲的なプランで応募し、ファイナリストに残ったが惜しくも落選したアーティストに、当時台湾在住のアーティストデュオ、フロア・ホフマンとウィリー・ウォンがいる。

フロア・ホフマンとウィリー・ウォン

台湾とは距離が近いこともあり、松戸に滞在し、リサーチを進めながら作品を制作をしていくという、長いスパンで行うプロジェクトを行えるのではないかという話を持ちかけた。彼らは2020年にフロアの故郷のオランダへ移住したのだが、それでも何かできないかと話を進めていたところ、新型コロナウイルスによって来日が不可能となり、オンラインでできることを模索することになった。

フロア&ウィリーとのオンラインミーティングの様子

これまでのプロジェクト

  • 2020年10月11日(日)18日(日)25日(日)オンラインワークショップ「How do you feel, Matsudo? 」を開催

このワークショップは、松戸市在住の高校生、会社員、アーティストら6名が参加し、「松戸の街とそこに生きる人たち」というテーマで行われた。自己紹介ゲーム、松戸の街に飛び出して、街中にある「顔のように見えるもの」を見つけ、撮影するワークショップ、見つけた「顔」の感情を分析してみるワークショップを3日間開催。

ワークショップ参加者が松戸で見つけた「顔」たち

この3日間の記録として完成したドキュメンタリービデオは、松戸駅前の小さなギャラリーQWERTYにて「Seeing from a distance: #documentaryinaction #faceinmatsudo」展として発表。この展覧会には、多くの反響がありオランダ大使館からの訪問や、NHKが行う海外向けの放送番組「DESIGN TALKS plus」にも取り上げられ、、コロナ禍で対面の交流はできない中で海外のアーティストと行うプロジェクトとして注目された。このワークショップはこの日で完結するものではなく、アーティストの実際の来日に向けた、継続的なプロジェクトとして行われることになる。

QWERTYでの展示へのオランダ大使館からの訪問
  • 2022年3月20日(日)ワークショップ「Tracks of animals in nature」を開催

本来ならば、2021年度のうちに来日を目指していたが叶わず、2021年度は来日に向けた準備期間に当てられた。その中で、前回のワークショップ参加者を募った第2回目の1日ワークショップを開催。テーマは、「自然の中にある動物の痕跡」を見つけるというもの。コロナ禍で人の流れが減った中で、普段目に止めなかった動物たちに注目するようになったという背景から、参加者に実際に松戸の街を歩きながら、動物の痕跡、動物を施したモニュメントなどを見つけてもらうワークショップを行なった。実際に見つけたものは、写真に記録をつけつつ、コロナ禍で人間の生活様式が変容する中で、今後動物の生活環境はどうなるか、自分の馴染みのある街を、自然や動物の存在に焦点を向けて見つめてみるという体験を話し合った。

2022年3月20日に開催されたワークショップの様子

2022/3、現在進行中のプロジェクト

現在、2022年6月の来日・滞在制作を目指して、準備・リサーチを進めている。2020年、2022年に行なったワークショップをベースとした作品制作が進められる予定である。これまでのPARADISE AIRのLONGSTAY Programは、滞在するアーティスト自身のやりたいことが第一に作品制作が進められていたが、今回のフロア・ホフマンとウィリー・ウォンとのプロジェクトでは、事前にワークショップを通じて見つめた松戸のリサーチが前提となって、作品制作が進められることになる。Knotならではの新しい試みになる予定だ。

執筆:渡辺文菜

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