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【ヨーロッパの極東に位置する都市。むしろ東アジアでつながりを】世界のアーティスト・イン・レジデンスから|ロシア(ウラジオストク)編

「世界のアーティスト・イン・レジデンスから」はPARADISE AIRスタッフが参加したシンポジウムや視察の経験を共有する報告会シリーズです。スタッフ間の情報共有を公開イベントとして行うことで、世界各地のAIRの最新情報をお伝えしたり、AIRに興味のある方との交流の場を作っています。

今回はレザルティスミーティング2019京都が行われたことに合わせ来日した、ロシア最大のアルコール飲料メーカーBelugaが運営するアートスペース「ZARYA Center for Contemporary Art」のレジデンスプログラムでチーフキュレーターを務めるアリサ・バグドナイトを迎えて、レクチャーを行いました。

世界のアーティスト・イン・レジデンスから|ロシア編
日時:2019年2月12日(火) 19:00~21:00
会場:PARADISE AIR 5F
住所:松戸市本町15-4 ハマトモビル
料金:無料
発表者:Alisa Bagdonaite(ZARYA Center for Contemporary Art/チーフ・キュレーター)
※2019年時点の内容です。最新情報はご自身でご確認ください。

ロシア・ウラジオストクの歴史

ウラジオストクはヨーロッパの極東に位置する都市。
中国に接する川が軍事的な境界線でもあった。19世紀に軍港とその周辺の都市を建設するために、軍事関係者や建設労働者が入植したのがはじまり。
20世紀初頭には文化的な一般の人たちもやってきた。
1991年、ソ連崩壊によって文化がまるきり変わってしまった。
現在の人口は60万人程。

ZARYA Center for Contemporary Art

◉ZARYA CCAの施設について
元縫製工場をコンバージョンしたアートコンプレックス。
ロシア最大のアルコール飲料メーカーBELUGAグループの創始者Alexander Mechetinが設立したアートスペースで、施設そのものは2013年にオープン。その後、アーティスト・イン・レジデンスの運営を2014年12月に開始した。若いアーティストに滞在制作の機会を与える、極東で唯一のAIR施設。ロシア国内外のアーティスト80人以上を受け入れてきた。
アリサは2014年からチーフキュレーターとして活動。
Zarya creative clusterという広大な区域内にCCAもある。レジデンスの部屋は結構寒いみたい・・

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◉ウラジオストクのアート文化について
ウラジオストクの若いアーティスト達はシャイ。(ヨーロッパ中心部からだいぶ離れているという)土地柄、作品をあまりたくさん見れない環境にいるため、アーティストがウラジオストク外・国外に出ることも支援している。
また、地域の子どもたちがアートに触れられる機会も提供している。リラックスして作品を見ることのできる環境づくり。

◉ZARYA CCAのプログラムについて
5年間で80人の滞在アーティストを受け入れ=80のプロジェクトを行なってきた。量から質へ、のタイミングだと感じている。
キュレーターと名乗りつつも、アーティストと一緒に考えて展示やイベントを企画している。

なぜ日本へ?

政治的・経済的に持続可能になるために、ZARYA CCAを通じてローカルコミュニティをつなげていけたらと思っている。同時に、地理的にヨーロッパの主要国からはかなり離れているため、むしろ東アジアでつながりを作りたいと考えている。(レザルティスミーティング2019京都に参加した理由)

母体企業の業績によってZARYA CCAでできる事業の大小が決まってしまう。最悪、事業が終わってしまう可能性もある。みなさん(PARADISE AIR)とも共通の悩みだと思うが。サスティナブルを目指すことは大事。

80人の制作滞在/プロジェクトを行なってきて分かったのは、ウラジオストクに来るアーティストの出身エリアが限られている、ZARYA CCAのネットワークが偏ってる、ということ。
上海・香港のアーティストとはプロジェクトをしたことがあるが、アジアとのつながりがほとんどない。とくに中国との接点は本当に難しい。
日本のAIR施設、日本人アーティストとのネットワークをここから作っていきたい。PARADISE AIRとの共同企画をするなら、季節的に夏か秋がいいと思う。

アーティスト・イン・レジデンス「PARADISE AIR」の持続的な運営のために、応援を宜しくおねがいします!頂いたサポートは事業運営費として活用させて頂きます。