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[KNOT] PARADISE AIR×ロシア

世界中のまだ見ぬ価値をAIR事業を通して発見し、解きほぐして時代に呼応して結び直していく 「PARADISE Knot」は海外のAIRとアーティストがつながるノット(=結び目、結び方)に対してPARADISE AIRがAIR同士の結びつきやAIRとアーティストのより良い出会い方の個別解を丁寧に模索することを目指しています。

これまでの移動し、制作するという従来のAIR像にとらわれることなく、PARADISE AIRが構築してきたネットワークの強みを活かしAIRの現場のアップデートを目指す。 そしてアーティストの制作機会はもちろんのこと、AIR事業に関わる仕事を創出し、関係を作り、さらなる発展へと結び直していく。

ロシアで連携がある団体は、ZARYA Center for Contemporary Art。ここは、ロシアのもっとも大きいアルコール飲料メーカーのひとつであるベルーガ・グループの創立者、アレクサンダー・メチェチン氏が設立され、同社により運営されているスペースで、2013年にウラジオストクにてオープンした。レジデンススペースとして海外のアーティストの受け入れをしているほか、ギャラリースペースで展覧会も行っている。2020年夏に、ロシア東部のウラジオストクから西部ゴルビツコエへと移転している。

PARADISE AIR×ロシア|KNOTのきっかけ

ZARYAとPRADISE AIRの出会いは、2019年2月に京都にて開催されたアーティスト・イン・レジデンスの国際ミーティングである「レザルティスミーティング2019京都:創造的遭遇ーアーティスト・イン・レジデンスの再想像」に双方が参加したことだ。ZARYAからは、チーフ・キュレーターのアリサ・バグドナイトが来日しており、PARADISE AIRに視察、滞在し、トークイベント「世界のアーティスト・イン・レジデンスから|ロシア編」を開催することになった。

また、この京都ではもうひとつの出会いがあった。それは、PARADISE AIRと京都のシェア・アーティスト・スタジオであるVOSTOKのメンバーとの出会いだ。「レザルティスミーティング」開催中、京都市内のアートホステルkumagusuku(現在は小規模アート複合施設として運営)にて、PARADISE AIRの活動を紹介する小さな展示「TRANSIT」展を行っていた。

これを見に来たのが、VOSTOKのメンバーだった。このタイミングでの出会いがきっかけとなって、PARADISE AIRとZARYAとのコラボレーションは、ロシア語で「東」を意味する「VOSTOK」と共に行うことになった。(参加アーティスト:矢津吉隆、水木塁、笹岡由梨子、西條茜)

これまでのプロジェクト一覧

  • 2019年2月12日(火)「世界のアーティスト・イン・レジデンスから|ロシア編」開催
    トークゲスト:アリサ・バグドナイト(ZARYA Center for Contemporary Art/チーフ・キュレーター)

このトークでは、ZARYACCAの所在地であるウラジオストクという場所について、これまでのZARYA CCAの活動について、また今後の活動目標等についてトークした。特に、ウラジオストクという場所は、他のヨーロッパ諸国の都市よりも圧倒的にアジアとの距離の方が近く、これからはアジアのアーティスト/レジデンス施設と協働するプロジェクトを広げていきたいという抱負を語った。

  • 2020年

その後、PARADISE AIRがコーディネートを行い、2020年春にVOSTOKのメンバーがZARYACCAに滞在する予定でオンライン・ミーティングを重ねていたが、新型コロナウィルスの影響で渡航を断念。また、ZARYAが同年夏にウラジオストクから、ロシア最西端にも近いゴルビツコエに移転することになっていた。引き続き、オンライン・ミーティングを重ね、数時間の移動距離ではなくなるため、短期間のレジデンスをするのではなく、長期滞在を行い、滞在制作と展覧会を前提したプロジェクトを開催する方針へと変更になった。また、それに伴い、日本在住のキュレーター/研究者であるパヴェウ・パフチャレクがキュレーターとして携わることになった。

  • 2021年3月30日(火)公開ミーティング「パラダイスエア的ロシアへの道」開催

この公開ミーティングは、いつとは確定できないが近い将来に、ゴルビツコエのZaryaにVOSTOKメンバーが滞在し、展覧会を開催するという計画で、キュレーターのパヴェウ・パフチャレクによるコンセプト説明、各アーティストによる作品プランの発表を行い、なおかつZARYAのチーフ・キュレーターであるアリサ・バグドナイトがフィードバックを返すというものだった。

展覧会のテーマは、「東を新たに想像する」というもの。そのプレゼンテーションから始まり、各アーティストがそれぞれ、新しいロシア像を探るとも言える、地元住民の参加や地域でのリサーチを前提とする、意欲的なプロポーザルを発表した。それぞれの発表内容、およびアリサ・バグドナイトからのフィードバックコメントについては、以下に記録してある。

2022/3、現在進行中のプロジェクト

当初は、2022年頭よりVOSTOKのメンバーがZARYAに随時滞在し、2023年に展覧会開催を計画していたが、いまだ渡航がなかなか難しい新型コロナウイルスの状況に加え、今度はロシアによるウクライナ侵攻という事態も起こってしまった。現在は、安全な状況でVOSTOKメンバーの現地滞在制作が実現できることを願って、一時停止中の状態である。

一方で、相互交流として、ロシアからのアーティストが松戸で作品制作を進めるプロジェクトも進行中だ。これは、松戸市内にて壁画制作を行うもので、アーティストが壁画を描く場所自体を公募することから始まった。一般公募の末、選ばれた場所は、松戸市競輪場。壁画制作をするアーティストはZARYAからの推薦で選ばれたロシア人アーティスト、アンドレイ・ビエルゲルだ。

オンラインで話し合いを重ね、本来ならば2021年度末に滞在制作を行うか、リモート制作を予定で進めていたが、この状況になり、こちらも現在ストップしてしまった。コミュニケーションを取りながら、リモートでできる制作方法を検討中だ。

執筆:渡辺文菜

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