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【Social Sculpture(社会的な彫刻)】LONGSTAY Program 2018|アリシア・ロガルスカ 過去作品についてのメモ

2018年のロングステイ・プログラムで招へいしたアリシア・ロガルスカの過去作品について、下記のイベントで話された内容をまとめました。
滞在アーティストについての理解を深めるためのメモです。

アーティスト・プロフィール

LONGSTAY Program 2018
トークイベント「アイデアを形にするとき」

日程:2018年11月10日(土)
時間:18:00-20:00
会場:PARADISE AIR ラウンジ
登壇:磯谷 博史(美術家)、アリシア・ロガルスカ、長谷川 新

学生時代

・学生時代は彫刻作品が多かったのであまり残っていない
・ゴールドスミスの前は文化人類学/社会学を専攻、イギリスではじめてアートを学んだ。同級生はアーティストを目指してアートを学んできていたが、自分はちょっと違う出自。

Chiaroscuro City(2011)

ライトボックスに照らされたイメージがうごく映像作品。
ブルータリズムの建築(=社会主義の産物)が古くなり壊される時期にあったときに制作。偽物の滝(水が流れているように見えるハリボテ)を使った映像が、写真の後ろのライトボックスに映る。建築写真は動かないが水面が動く。淡く緩やかに揺れ動く光や水のなかで、近代が夢見た平等社会と、その失敗が対比される。

「社会階級」「社会構造」を常に考えている。
それらを、いかにキッチュな存在として見せるか。

Precarious Workers’ Monument(2015)

卒業後、Social Sculpture(=社会的な彫刻)をつくることに興味が移った。ポーランドは正社員でない人(日雇い等)の数がヨーロッパ内で一番多い。

実際の日雇い労働者に声をかけて「不安定な労働環境で働く人のためのモニュメント」をつくるパフォーマンス作品。
社会主義国家では権力の大きさを示すために大きな彫刻を作った。転じて/アンチテーゼとして、人間が人間のサイズで彫刻になることで人が日々流動的に働くことを示している。
参加者は彫刻としてポーズを取りながら数時間じっとする必要がある。つなぎ服の下には体を支えるためのサポートを隠して耐えている。パブリックな公園で実施、誰でも来れるので作品説明で議論のきっかけを生み出した。

What If As If(2017)

ロンドンに住む移民の弁護士と制作した「リーガル・フィクション」作品。
判例や慣例から積み上げた合意を基盤とするコモン・ローは、フィクションの事案を想定することで法律として整備されている。(もし◯◯な人が遺産を相続するなら〜といった議論を経て法として成り立っていく)

映像では擬似的に議論の場を作り、様々な仮定を設定して話がすすむ。市民→商品、企業・法人→人間のような置き換えや、国境・パスポートの存在も実はフィクションなのでは?といった話がなされる。
法律にどんな意味があるか、そこからどんな視点を獲得できるか、に興味を持ちつくった作品。

ウェブサイト

ちなみにアリシヤのウェブサイトはキレキレ。
Alicja Rogalska http://alicjarogalska.com

(訳:ウェブサイトを持っていないアーティストはアーティストじゃない)

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