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#AIR Management

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AIR(アーティスト・イン・レジデンス)を運営することについて。世界中のAIRの状況を学んで、活かしています。
運営しているクリエイター

2022年3月の記事一覧

様々な違いがあることは、日本のAIRの豊かさを示している。

岡本純子(公益財団法人セゾン文化財団 プログラム・オフィサー) PARADISE AIRとのピアレビューを通じ、アーティストに豊かな時間を過ごしてほしいという目的は当財団とも一致しているが、手法は様々な面で対照的であることがわかった。 まず、PARADISE AIRは施設が個性的だ。元ホテルだったため、部屋ごとに内装が異なり、ファンタジックな部屋、カントリー調の部屋、ロマンティックな部屋など、バリエーションが豊かだ。また浴室とトイレが独立しており、風呂場が広いのがとても魅

個々のアーカイブから、事業評価を意識する

 今回ピアレビューのお声がけをいただき、知っているようでその実態を理解できないでいたPARADISE AIRの話も伺いながら、国際芸術センター青森 [ACAC] の過去・現在について、未来のことも考えつつ話すことができました。PARADISEとACACはロケーションやスタッフの規模・働き方、施設の設備やアーティストが滞在する目的も対照的ですが、これまで400名くらいのアーティストを受け入れてきたこと、予算規模が約3,000万円ほどであることなど、符号の一致が印象的でした。お互

事業評価をストレッチする。

PARADISE AIRは国内外のアーティストを対象に松戸拠点に、アーティスト・イン・レジデンスの運営を行っています。アーティストとしてただ街にいられるように滞在場所と制作活動への支援を提供することで、彼らのキャリアアップやリフレッシュの場となっています。また、滞在制作をきっかけに、行政、地域団体、市民との様々なつながりが生まれ、文化を育んでいます。運営主体は多様な専門性をもつフリーランスによって構成されるコレクティブ組織であり、彼らをはじめとする文化芸術従事者の新たなつなが

アッセンブリッジ・ナゴヤ×PARADISE AIR

フェスティバルからレジデンスへ 森:僕たちは、千葉県松戸市でPARADISE AIRというレジデンスを運営しています。なぜ松戸なのかというと、東京藝術大学のキャンパスが上野と取手にあり、それを結ぶ常磐線沿線でアート活動をしようという動きが2009年頃からあって、松戸市でも「アートラインプロジェクト」が立ち上がりました。  最初は遊休施設を使って、若手アーティストが展示やイベントをやっていたのですが、「展示が終わった後に街に何も残らないね」と街の方に言われたことをきっかけに、

セゾン文化財団×PARADISE AIR

「創造活動への支援」「長期的視点に立った継続的な支援」「資金提供のみでない複合的な支援」という方針の下、先例 のない助成プログラムや環境整備・人材育成プログラムを次々に生み出してきたセゾン文化財団。そのプログラム・オフィサーである岡本さんとともに、アーティストの制作活動をどのように支援し、成果を評価し、プログラムを更新していくのかについて考えます。 プログラムの変遷 森:千葉県松戸市で2013年からPARADISE AIRというアーティスト・イン・レジデンスを運営してい

青森公立大学 国際芸術センター青森×PARADISE AIR

アーティスト・イン・レジデンスといっても、場所や歴史、運営主体などによってその具体的なあり方はさまざまでしょう。首都圏の交通の要所にあり滞在を主な機能とするPARADISE AIRと、地方都市の自然の中にあり、企画・制作から発表・アーカイブまでをトータルに支援する 青森公立大学 国際芸術センター青森。松戸とは対照的な環境でアーティスト・イン・レジデンスを運営する慶野さんと村上さんとともに、市民との関わりの持ち方、運営組織の持続性などについて考えます。 レジデンスの立地、背景