平沢進ライブ『第9曼荼羅』最終日に行ってきました!

平沢進のライブ『第9曼荼羅』最終日の公演に行ってきました!
一言でいうと、音圧と熱気とパワーがものすごかったです。
会場にいるうちから夢みたいな気分でした。
Twitterだと語りきれないので、note記事にしたためます。

なお、本記事は感想を述べるのが中心で、詳細な構成やセットリストには言及していません。あらかじめご了承くださいませ。

(『第9曼荼羅』公式特設サイト)
http://susumuhirasawa.com/special-contents/event/the-9th-mandala/

まずは気持ちが暴走する前に本記事で出てきそうな用語の解説を。

ヒラサワ……平沢進。
師匠……平沢進。
馬の骨(馬骨)……平沢進のTwitterをフォローしている有象無象の人々。本記事では平沢進のファンを指して使うこともあると思います。
あとは出てきたときに私のわかる範囲で説明します。

今回の『第9曼荼羅』はTwitterのフォロワー9万人突破記念という、なんだか珍しいような開催動機です。
10万人突破のときにはインタラクティブライブでしょうか。楽しみです。
(インタラクティブライブ……平沢進が書いたシナリオに沿って観客が右往左往したりルートを選んだりする、ノベルゲームのような形式のライブ。最悪の場合途中でゲームオーバーになるようです)

以下、とてつもない長文になってしまうので、今のうちにメッセージをお伝えしておきます。

1. 今回のライブによって公開されたこの曲を聴きましょう。
『第9曼荼羅』

2. 平沢進のTwitter をフォローしましょう。
平沢進Twitterアカウント:@hirasawa

ライブの報告に戻ります。

今回のライブは大阪公演2日間、東京公演3日間。
スネアドラム累計9万打を達成すると9万音符を使った新曲が配信されるとのことで、いわば今回のライブのクリア目標です。
ドラマーを盛り上げて盛り上げて、一回でも多くスネアを叩いてもらわねばなりません。
東京公演でのドラマーは上領亘氏。
正直、「ヒラサワー!」コールより「ワタルー!」コールのほうが多かった気もします。

単純計算だと 90,000回 / 5 回で、1公演で18,000回が目標。
全5回のライブのうち4回を終えたところで72,000回あるのが理想ですが、
実際の打数は7万弱。
あと2万回以上、このライブ中に叩けるのか……!
9万人の馬の骨が固唾をのんで見守る最終日です。

開場の1時間半前には会場に着いていたのですが、すでにライブグッズは軒並み売り切れでした。
ラップパンツのMANDALA-MINOを着ている方が羨ましかったです。
実物を見るとやはり欲しくなってしまいますね。
ちなみにヒラサワのライブグッズは基本黒です。集まっている馬の骨も基本黒です。
最寄り駅から黒っぽい人について行けば不思議とライブ会場にたどり着けます。

平沢進のコンサート(2015年開催 “WORLD CELL 2015”) には行ったことがあるのですが、
ライブハウスで行われるスタンディングでのライブは初めてで、ドキドキでした。

チケット番号に従って入場し、ロビーでドリンクを引き換えてもらい、ライブ会場へ。
ライブ中にドリンクを持て余しそうで、早々に飲み干しました。おそらく正解でした。
ペットボトルのお水だとふたができて最善解だったかもしれません。

まわりに従って流れ込んだところ、幸運なことにほぼ正面からステージを見られる位置でした。
やや見上げる高さのところに、ドラムや謎のギターや謎のスタンドが並んでいます。

いざ開演すると、MCもなく、2時間ほぼずっと歌いつづける平沢進。
とにかく歌が聴きたいという馬の骨ニーズに合わせた素晴らしい構成でした。

途中で唯一入ったのは、「第9万打」を達成しないとまずいことになると説明してくれる謎の映像。
平沢進が宇宙空間を旅しながら司令部と通信したり操縦指示を与えたりしているようなのですが、かみ合いません。
「沼」を「UMA」と聞き間違え、打数Mの増設許可について「よく分からないけど予算かからないならいいよ」と微妙に適当な返事をし、ゆるい笑いを場内に生み出す司令部。
(打数M……打数モジュール。これが増設されるとドラムソロが行われ、打数が一気に稼げます)
「座標5.1」を「座標5.8」と聞き間違え、平沢進をあらぬ所へ飛ばそうとする操縦部。
映像のなんともいえない雰囲気が実にヒラサワ的でした。

肝心の歌は、もう、ものすごかったです。
身体的にも精神的にも、平沢進の声が響いて染みて揺さぶられました。
天から降り、地を伝い、あの世界の中心は確実に平沢進でした。
チケット完売ということでそれなりの混み具合でしたが、前後左右どこを見ても馬の骨ということがわかっていたので、安心感と一体感がありました。
同志に囲まれるこの感じ、なんらかの形で満員電車に応用できないものでしょうか。

実を言うと前半は師匠の姿も、共演者の会人(えじん)さんたちや大事なドラマー、上領亘氏の姿もよく見えず、
『白虎野』で師匠が不意に視界に入ってきたときには息をのんで見入りました。
白髪を後ろで軽く束ねたお姿を目に焼きつけました。
Sound Horizonをご存知の方に向けてたとえると、Noëlの後ろの髪を束ねたところから数センチ残して断ち落とした感じです。

人の立ち位置が変わったのか、奇跡的に私の背が伸びたのか、
後半にはステージ全体がだいたい見えるようになりました。
ここぞとばかりに師匠を見つめていました。
レーザーハープを奏でる師匠は格好よく、ときにかわいいです。

自分がいる場所の広さを目で見なくてもある程度わかるものと思いますが、
ライブ中は曲ごとにその体感的な空間がぐんぐん伸縮していきました。
『聖馬蹄形惑星の大詐欺師』では必要最低限の狭さにまで縮まり、
『オーロラ』では心地よく寄り集まっているようなこぢんまりとした中へ。
『白虎野』や『Archetype Engine』では夜空の果てない広さ。

ライブハウス全体に響き渡るこの歌が人体から生み出されるものとは信じられないような思いで、
「今、耳が驚異的なものを受け取っている……!」と聴覚が溢れんばかりに充たされていくのを感じていました。

『聖馬蹄形惑星の大詐欺師』、『鉄切り歌』は観客参加楽曲で、
全力で声を出してきました。
帰りがけに腹筋が痛くなるくらい。

気になるドラムは、序盤はかなりのペースで飛ばしていたものの、
中盤のゆったりした曲が続く部分でやや失速し、やきもきしました。
2回の打数M増設が入り、確か『ホログラムを登る男』の時点で85,000回ほどに到達。
そのタイミングで予告なく打数M増設。
激励こそ最良のメンテナンスと信じ、ワタルコールをかけ続けます。

86,000、87,000、88,000と、1,000打ごとに起こるどよめき。
ドラムの運行に手拍子で参加していると、
ついに89,000に。

89,990回からは一打ずつ、ゆっくりと存在感をもって打ち込まれます。
89,991、89,992、とドラムが鳴るのに合わせて叩かれる人の手。
89,996、89,997、89,998、89,999と興奮が高まる中、
ついに舞台中央のカウンタが90,000を表示。
万民の完全な歓喜の達成です。

立ち見のライブでしたがさらなるスタンディングオベーションが湧き起こります。

約2時間歌い続けた平沢進が、ここでようやくMCです。
「コスプレしやすい」会人のお二人と、本日2万回以上スネアドラムを叩いた上領亘氏のご紹介。
意図的なのかそうでないのか、平沢進のMCはほどよく力が抜けて大好きです。

ごく短いMCの後、9万打の達成により解放された9万音符の楽曲が会場に流れます。
右から左から聴覚に飛び込んでくる、和風なようなアジアンなような電子的なような謎めいた響き。
下記URLで公開されていますのでぜひご一聴くださいませ。
(ものすごく格好いいのですが、聴き所には迷うかもしれません……!)

『第9曼荼羅』

平沢進は「記念楽曲を流してお別れです」と言っていたものの、当然諦めきれない馬の骨たち。
「ヒラサワー!」と怒号の愛を叫びます。
伝説のレスポンス「かえれー、ばかものー!」を半ば期待しています。
ちなみに私が以前に行ったときには「アンコールはありません。あきらめなさい」でした。
観客が「アンコール!」と叫ばないのは、おそらくそのような対処から学習した成果です。

上記のとおりアンコールに手厳しい平沢進ですが、
今回まさかのアンコールがありました。しかも2曲。
師匠、髪が白くなって性格が丸くなったのでしょうか。
打数カウントも気にせずに浸りきる『現象の花の秘密』に思わず涙が出ていました。
本当のラスト曲、『鉄切り歌』は存分に「だんだん切れ だんだん切れ」で参加。
「WORLD CELL 2015」で聴いた記憶とも相まってここでも胸がいっぱいに。
あの時は初日参戦でここを歌えなかったので、ぜひやってみたかったのです……!

聴いている最中から夢のように思えていて、今も現実味のないような、理想郷にいたような不思議な気持ちです。
伸びる高音や囁く低音を脊椎の辺りで感じているうちに、あっという間に過ぎ去った2時間でした。

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稲見晶
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