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"P-Achira" 詩集

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稲見晶がnote上で発表した詩をまとめたマガジンです。内容は随時追加します。
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#稲見晶

かさこそと音を立て
まるまった小さな落ち葉が足元を駆けていく
どこへ帰るつもりなの
きみの家はもうないのに

稲見晶
6年前
2

鋼の日より

今日は世界がまるで鋼だ 草葉はそよと揺れもしない 空は酸化し鈍(にび)の色 啾啾と落ちる磨…

稲見晶
6年前
4

淡春とける町に思う
恋なるものはもしかすると桜餡に似ているのではないかしら

稲見晶
6年前
2

運命

だれかを好きになればなるほど私は自分を嫌いになる 繋がる糸を幾重にも手に巻きつけて懸命に…

稲見晶
7年前

REPTILE

Sulphurの蒸気立ち込める 爬虫類が造る陸のまぼろし ヒトが浮世に倦まぬように * 鰐は果実の…

稲見晶
7年前
2

蒼い薄曇りの下
桜は零れる月光の可視化
季節を洗う水の匂い
満月の輪郭は虹色

稲見晶
7年前
1

よく晴れた風の強い日には

よく晴れた風の強い日には空を飛べたころを思いだす 追い風受けて地面を蹴れば 私は地表から自由になる やがてつま先を地につけて 足首をのばしてまた飛び立つ ひざをまげて空気を踏めば さらに高く もっと高く 横断歩道で 小学校の渡り廊下で 暮らしのなかで 私は自然に飛んでいた 今はもう飛んでいた日々は過去の記憶 空を飛ぶための食べものはアスパラガス・パスタとジンジャーエール よく晴れた風の強い日には空を飛べたころを思いだす

サファイア

サファイアひとつ あなたから奪って 心の中にしまいました しばらくたってわたしの前に 現れ…

稲見晶
8年前

おとずれ

春は土からくる めぶくもの 這いでるもの いのちが目に見えるかたちをとってあらわれる 夏は…

稲見晶
8年前
1

サーカス

サーカスが来るよ 白い街に サーカスが来るよ 論理の街に 枝垂柳の下に 赤いレンガの屋上に …

稲見晶
8年前
1