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一家団欒、そして一家離散へ。
寒くなってきたので、今日は炬燵について語ろうと思います
俺の実家では、唯一の暖房器具がコタツだけという非常に貧しい暮らしをしていました。家屋は古く、無駄に広くてものすごく寒い。並みの寒さじゃない。部屋の中にいながら吐く息が白いと言えば想像頂けるでしょうか。外に出ても室内にいても、ほとんど体感温度に差がない。
そんなわけで、我が家のコタツは常に全員が憩う場所になっていたわけです。ただし、コタツの中はとんでもないことに。
まず大人4人が向かい合って足を入れます。右から、父、母、祖父、祖母の順。母親と祖母が対座していますが、女性ということもあり、正座のため特に問題はありません。問題は父親と祖父。お互い足を投げ出しているため、ここでひと悶着。お前の足が邪魔だ、じいさんが足広げるから当たるんだと、本当にミクロレベルでのイザコザ勃発。
どうにか折り合いがつくと今度は俺と妹と兄貴がコタツの脚を股に挟む格好で参戦。コタツの中で互いの足が複雑に絡まり合い、痛い熱い邪魔だというふた悶着の末、最後は決まって蹴りあいになる。そして俺か妹のどちらかが泣く、という図式。これをほぼ毎日続けるとどうなるか?
母親が見るに見兼ねて、もう一台コタツを買ってくる。えっと、あの、母さん。ストーブという選択肢はなかったんでしょうか?そして新しく買ってきたコタツはどうなったか?
父親が顔以外全てコタツに入れてカメになる。ひとり減ったぐらいじゃ、まったく意味なし。逆にタワシ(飼ってた猫)まで入ってくる始末。どうして今までタワシはコタツに入ってこなかったか?
それは父親の足から猛烈な腐臭がしたため。初めてコタツに入った時、タワシが痙攣しながら出てきた時は吹いた。死んだと思った。