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Omnivore.app が終了 →その代替となる Readeck のセットアップ方法について

こんにちは。今月聞いた 残念なニュースなのですが、Omnivore.app が 2024年11月30日でWebサービスを終了するとのことです。

「Omnivore.app」 は、ブラウザやモバイルから、「Webページをクリップして、あとで読む」機能がメインの Webアプリ


新記事 2024/11/25





なぜ?

急に、事情が変わったらしく。「開発チームのリソースが、ほかのプロジェクトに移動することになってしまい、運営ができなくなった」ようです。
あくまで開発チームが主体的に決めたことのようですが、一般的にいうと「アプリの買収」に近い感覚で、技術力を買われた側 が Webサービスの 運営を終了する ことになってしまいました
Webサービスである以上、ホスティング (サーバー上にデータ保管) のコストがかかるため、現実的には有料でも苦しいし無料で運営するにはなおさら、どこかでピリオドが来てしまう場面が来てしまいます。

Omnivore.app の場合、とんでもないデータ保存量だったのかもしれません。全アカウントが保持する すべての記事全文をサーバーに保存していたので。。

Omnivore.app の公式文書 (英語)によると
ユーザーデータのエクスポートの期限が 2024年11月30日 になっています

11月1日に発表したようです。1か月で周知は、ちょっと短いですね・・・


便利だったのに。

Omnivore.appは、無料で使えて、安定していて、どのデバイスからも同期して使えるので、すごく便利でした。
ブックマークの問題点」に直面するユーザーを助けてくれる存在でした。

今すぐではなく、あとで読みたいと思った記事を
ブラウザのブックマーク (お気に入り) に入れてしまうと、
どんどん増えてしまって、量が多くなって整理がつかなくなる

ブックマークの問題点


Omnivore.app の良かったところとしては

  • 無料 (開発と運営のための資金はプロジェクトで調達していた)

  • ブラウザ版 あり、どのデバイスからも使える (アカウントで同期)

  • 日本語 対応

  • 処理の早さ

  • 配置 デザイン と 機能性

  • 全文保存とその精度の高さ ※

  • Logseq や Obsidian とのプラグイン連携

だったんですが、これだけの条件に合う代替アプリは無い気がします。

※ 記事本文を取得することを、スクレイピングと呼ぶ

最初に 2人の中国人によって オープンソースで開発が始まった Webアプリだったのですが、欧米でも評価されてOmnivore.app を使っていたユーザーは多くて。今は、多くのユーザーが代替のアプリを探している移行しなくてはいけない状態です。

本当は、Omnivore.app を引き継いだり、クローンを作れればいいのですが。そうはいかないみたいで。。 Omnivore.app 自体はオープンソースだけど、セルフホスト式で立ち上げるには、困難があるようです。

移行先に関して調べていたところ、Omnivore.app の開発コミュニティに、ユーザーの移行先に関する情報が見つかりました。
https://github.com/omnivore-app/omnivore/issues/25#issuecomment-2450414690  (英語)




代替としてローカル動作の Readeck アプリ

Omnivore.app から Readeck というアプリに移行したユーザーがいて、コミュニティで紹介されていました。
試したところほとんど、Omnivore.appに近い操作性になっています。

Omnivore.app と同じく全文保存の「あとで読む」アプリです。

Omnivore.app と同等の見やすさ。機能性。
記事のコンテンツ閲覧画面


条件としては、どのデバイスからも使える というのは消えてしまいます。

パソコンに保存し、ブラウザのみ (EdgeやChrome系、Firefox) で使えます。

「パソコン以外でも使いたい」という方には Readeckは不向きです。
その場合は一部有料ですが、 instapaper や Readwise などを使うのが無難です。
(※ここから先は、Readeckに関する内容のみです)

Omnivore.appとは異なり、Readeck は かなり特殊で、セルフホスト式と呼ばれる、ローカル起動のみとなっています。
Omnivore.app は、Webサイトにアクセスすれば使える アプリでしたが、Readeck はそうではありません。

普通のソフトウェアのようにセットアップ用ファイルでインストールすればOKではありません。別のセットアップ作業が必要です。
初めてだとちょっと難しいです。

Docker というソフトウェアをインストールする必要があります。
Docker というのは、バックグラウンドでローカル動作環境を再現するためのソフトウェアです。
そのソフトウェア上で、Readeck のローカルサーバー (コンテナと言います) が動作して ※、ブラウザからURLでアクセスして使えるようになるしくみになっています。

動作のために、パソコンのバックグラウンドで Docker および Readeck コンテナ を起動させておく必要があります
※ サーバーを動作させて ブラウザからURLでアクセスできるようにするしくみ のことを、ホスティングと言います




Readeck のセットアップ

手順は 次のとおりです

1. Docker Desktop インストール (無料)

一般的なソフトウェアと同様のインストール方法で、進めてください。

Docker はバックグラウンド動作が中心のアプリなので、Docker の画面を閉じた後も、ツールバーの通知アイコンで起動したままになります。

2. Windows や Mac に付属する ターミナル を起動

★Windows の場合は、スタートボタンを右クリックして メニューから選択

Windows 11 の場合

ターミナルの画面

Windows 11 の ターミナル の画面。 

「PowerShell をインストールしてください」は無視してください!


3. ターミナルで、Docker コマンドを実行

コマンドを貼り付けて Enter キーで実行。
コマンドの処理中は、そのまま待つ。処理が終わると、文字を打てるようになるので、そうしたらターミナルを閉じてOK

次のコード全文が、Docker コマンド です。
 ( https://readeck.org/en/docs/ より)

docker run --rm -ti -p 8000:8000 -v readeck-data:/readeck codeberg.org/readeck/readeck:latest

このコマンドをコピーして、ターミナルのカーソル位置に 貼り付けて、 Enter キーを押す

コマンドを使うと、Readeck コンテナが Docker に生成される 

カーソル位置に、コマンドを貼り付けて実行

コマンドの処理が終わってから、ターミナルの画面を閉じてください


4. Dockerを開き、生成されたコンテナを見つけて ポート(8000)を指定し、コンテナを起動させる

Docoker のコンテナ管理 画面
これが、Readeck コンテナが起動している状態です


5. ブラウザで、http://localhost:8000/ にアクセスすると Readeck アプリが開く


6. Readeck の初期設定をおこなう

Readeck の簡易アカウントをつくる必要があります。
これは、ローカル動作のみで有効なアカウントです。ブラウザ拡張機能でログインする必要があるので、覚えておけるアカウント名とパスワードにしてください。

アカウントを作らなければならないのは、Readeck がアカウント毎のデータ保存になっているためです。



 

Omnivore.app からのインポート方法

1. Omnivore.app にて、APIキーを取得

https://omnivore.app/settings/api  を開く

右上の [ Create an API Key ] ボタンを押す
Name に入力する文字列は Readeck など何でもOKです。
[ Genelate ] ボタンで生成して、APIキーをコピーします

2. Readeck にてインポート操作をおこなう

Readeck: http://localhost:8000/

① [---] でプルダウンメニューから [ Import Bookmarks ] を選択する
② 画面が替わったら、[ Import your Omnivore Articles ] を選択 
③ URLはそのままで、API Key の入力欄に、貼り付けてください。

オプションで、すべてにラベルを付与できます。

実行すると、インポートが開始され、順次読み込まれていきます。
数分で終了します。

今後、Readeck (http://localhost:8000/) にアクセスするには、Docker および Readeck のコンテナを起動させておく必要があります




Readeck のブラウザ拡張機能をインストール

Microsoft Edge、Chrome系 :

Firefox :

ブラウザ拡張機能をインストールしたら、ブラウザのツールバーにボタンが表示されているか確認してください。デフォルトで、オフになっている場合もあります。
そのボタンをクリックすると、次のような画面になります。

Readeck で作成したローカルアカウントでログインします。
Server URL は http://localhost:8000/ にしてください

ブラウザ拡張機能に ログインできると、次のような画面になります。
これは現在、そのブラウザのタブで開いている Webページの本文を、保存しようとしている状態です。

タイトル、ラベルを指定できます。

試しに Save ボタンを押して、Readeck の画面を確認してください。




Readeck に関して

バグ箇所

記事閲覧中のマーカーハイライトが機能しないときがある
ブラウザのリロードを使うと復旧する場合がある

備考

  • Omnivore.app とは異なり、記事閲覧のメモ機能なし

  • Logseq や Obsidian 用のプラグインなし

  • 現在は、ローカル起動、ローカル保存のみ

  • 英語のみ

  • Omnivore.app とは全文保存のエンジンが異なるため、保存するサイトによっては、全文保存の精度が少し劣るケースもあるかもしれない。

Readeck は、ローカル起動かつローカル保存のため、今回の Omnivore.app のようにWebサービスが終了してしまっても困ることはありません。その代わり、自分がパソコンを買い替えたりするような場面では、再セットアップとデータの移動が必要になります。それは、Logseq のようなソフトウェアや、スマホ用アプリでも同様です。

ちなみに、もし、外部ネットワークからアクセスできるように構築した場合、出先からのアクセスやモバイル同期が可能です。しかし、外部ネットワークに公開してしまうと、セキュリティの確保が重要事項になるため、おすすめしません。



 

江草さん という方が、2週間前 (11月2日) に記事を書いていらっしゃいました。代替アプリの候補を挙げてくださっています。


ちなみに、Webクリップに関しては、Logseq や Obsidian のようなノートアプリに、記事本文を取り込むのはお勧めしません。整理が大変になってしまうし、ノートではない外部からの情報を増やすのは良くないからです。ノートアプリは、自分で書いた内容だけに絞り、ノートの数を増やさないように使用したほうがいいと思います。