劇スコメンタリー上映の感想
劇スの楽しみの一つに作り手側が、インタビューをエンタメとして開示してくれているというのがあると思う。今後この編成でスタァライトが作られることがほぼ無い以上、こういう形で(実質)新作コンテンツを提供してくれていることは本当にありがたい。感謝感謝です。
おっさん3人が喋っているだけの生配信が2500円らしい。(もっと高くてもいいです)
今までにもいろいろなインタビューがあって、この間のアニメスタイルもかなり喋ってくれていて美味しかった。しかし、今回のコメンタリー上映はそれらを遥かに上回る情報量だった。監督はこれは答え合わせではない、というのを強調していたけれど、どうやって作ったかに関しては答えがあるので、やはり答え合わせの印象が大きかった。
特に答え合わせになっていたのは以下。
冒頭の意図
パンフレットの99、王立演劇学校の日本語は入りやすさ優先
滲んだ(とされていがちな)東京タワーの意図
落下ひかりのオマージュ元
それ以外で特に興味深かったのは以下。
透明な電車に轢かれている華恋
手紙=ひかりの呪いという表現
他にも、ところどころで語られていた「本来あった」物語の話や、監督たちが「明らかに繋がってないじゃん」(編集が無茶やろ)っていうので盛り上がっていたり、EDのエピローグはプロデューサーに守ってもらって実現したという話(プロデューサーに守られている、という話はハケンアニメの試写会で言っていた)だったり、とにかく盛りだくさんだった。
今回、演出についての話を聞いて、映画作品として「アニメーション」だから出来たこと、というのが(すごく当たり前のことなんだけど)あって、そこに関しても改めてアニメの面白さを感じた。
それから、(毎回不安になるけど)やっぱり緻密に計算されて作られているということも感じた。「作者の人はそこまで考えていないと思うよ」という禁止カードを突っぱねられるほどの情報量が今回のコメンタリー上映にはあった。
その一方で、スススの映像がかなり切羽詰まった状況で捻り出されたものである、というのも今までのインタビュー以上に感じた。監督コンビが深夜に思いついて、次の日不安になったというエピソードや、イメージボード(絵コンテだったか?)の段階ではなかなか意図が伝わらなかったというエピソードなどもあった。そして、監督も自身に華恋を重ねていたのかな~などとも考えてしまった。
チーム、熱量、密度、たくさんの要因があるけど、やっぱり劇スが(というか世にある作品全てが)奇跡の上に成り立っている、ということを実感するコメンタリー上映だった。
おわり