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レヴュースタァライト初見感想(99K リマスター)

こんにちは。この記事は、以前僕が別の場所に書いた、雑な初見感想を今の僕が加筆修正、つまり解像度を99Kにリマスタリングした記事になります。
どうぞ、寛大な心でお読みください。


はじまり

レヴュースタァライトというアニメシリーズを観終わりました。TV版→再編集劇場版を観てから新劇場版を観てきました。

いやーーーー面白かった。

バランスについて

何がすごいって、バランスなんですよ。エンタメと奥深さのバランス。独特な演出やワードチョイスをしながら、拗らせない、このバランスがすごいなと思います。

バンクシーンでさらざんまい、ピングドラムっぽさを感じていて、やっぱり古川監督は例の監督の弟子だったんですよ。正直、例の監督の演出のクセについていけなくて、僕はさらざんまい、ピンドラはあんまり楽しめなかったんですよね。でもその演出とメッセージ性が支持されていることも分かっています。だから、スタァライトも最初は身構えて観てました。

ところがスタァライトは、エンタメとしての演出は分かりやすく面白いし、それでいて例の監督作品のような深みがあると感じました。メッセージや演出の芯はしっかりしてるんだけど、ところどころに餌が撒いてある。だから、友達と語って楽しい作品なのかなあと。

インタビューについて

劇場版インタビューの中で古川監督が言っていたこれ。

キリンは自戒の念も込めて「わかったつもり」で作品を消化している観客でもあります。「他人の考察」はあくまでも「楽しみ方の幅」を広げてくれるものとして考えてもらって、この作品やそれを見た2021年の一日が「自分にとって何なのか」を楽しんでいただけると幸いです。

https://febri.jp/topics/starlight_director_interwiew_3/

1日を体験として、感じる過程を楽しむ、という考え方が、僕が作品を体験するときの姿勢そのものなので、本当にうれしいです。古川監督、スタァライトを作ってくれて本当にありがとう。

TV版初見時の体験

最初はラブライブ、響けユーフォニアム的な青春群像劇を、シンフォギアのような「急に歌うよ」仕立てでやるのかと思っていました。ところが5話、まひる回で違和感を感じ始め、第7話、大場ななで様子がおかしくなる。

うわーーループものだ!なるほど、みんなに変わって欲しくない大場ななVS変わりたい華恋か!易しいSFっぽく綺麗に着地するのかなーと思っていました。だって、ななループが綺麗に伏線回収したんだもん。

ところが、なながあっさり退場する。あれ?もう分からない。ただ、この作品が信じられるということだけが分かり、ここからは、ひたすら着地を考えながら観る。

終盤、オーディションときらめきについての答え合わせが行われる。ひかりは、華恋とみんなのためにきらめきを奪わなかった。で、罪を償わされる。…ん?罪?なんの罪だ?ピンクの砂漠を観ながら考える。キリンが悪者という落とし方は弱いよなーと思っていました。そしたら終盤、キリンがこっちを見る。なるほど、観客は僕たちだったのか…ずるいな~~。

劇場版初観劇の体験

最初は構えて観ていました。評判は聞いていたので、どこかでまたどんでん返しが来るんだろうな、と。そしたら、映画の冒頭からもう意味が分からない。そこからずっと、漏れなく観るために目をガン開いて観てました。そしたら、電車が変形し始めた。きたーー!!(なにもわかってない)

そしたら決起集会。友人は、モブに焦点をあてたエピソードだと言っていました。が、僕は脚本&監督の苦しみというメタ要素、あるいは、不完全で満足している九九組とモブとの対比(ただし、天堂真矢は別)かなーと思っていました。

そしたらキリンが燃える。わかります。この作品メタ好きだもんね。オタク叩きでしょ。エヴァだよね。ドーナッツ屋のくだり、今まで出てこなかった男3人が出てくる。奥のソシャゲしてるオタク君、話は否定から入るし、俺は分かってるよ感すごいし、完全に意識してますよね。

こんな感じで観てると、トラックがやってくる。きたーー!ファンディスクタイム!純那ななと真矢クロで泣きそうになりました。構成としては、キャラクター達に新たな悩みを追加して、舞台の続きを行う。実にシンプルですね。

最後のレヴューはもちろん二人の物語。TV版ではいまいちわからなかった、二人の動機が観れたのは本当に良かったです。TV版では華恋は運命で動いていたように見えるけど、運命なんてものは無くて、正体はただの強い想いだということが分かって、うん、本当に良かった。

終盤の演出、ポジションゼロみたいな分かりやすい演出がある一方で、東京タワーが折れるのが意味が分からない。全く飲み込めなかったです。

結局、ここまでファンディスク+TV版の補完として物語は終わる。レヴュースタァライトはこれで終わりですよ、と分かりやすく教えてくれる。特に難しい話はなかったし、すごくシンプルな話でした。シンプル過ぎて、あーこういう終わり方か―となってしまった。

映画を観終わって、真っ先にやることは、ワイドスクリーンバロックのWikipediaを見ること。映画見るまではググらないようにしていたので。

時間と空間を手玉に取り、気の狂ったスズメバチのようにブンブン飛びまわる。機知に富み、深遠であると同時に軽薄
— ブライアン・W・オールディス、『十億年の宴』p.305より 浅倉久志

あーなるほど。軽薄で、しょうもない、でも機知に富んだ。ただのゴリゴリのエンタメ、最高の演出ってことか…。元から頭でっかちで観る必要はなかったんですね。またやられました、TV版と一緒でした。

おわり

こうやって読むと、ツンデレというか、まだ作品を信じ切れていないところがありますね。エヴァのせいで、メタ要素をオタクへの敵意だと勘違いしてますし。(この作品のメタがオタクにやさしいというのはまた別の記事で書きたい。)

華恋とひかりのレヴューは、2回目で初めて理解して感動したので、1回目はぽかんとしてたはず。というのも、初見時は1回で全てを理解しようとして、輪郭ばかりを捉えようとしていたんだと思います。反省します。

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