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もののけ囃し 劇場版モノノ怪「唐傘」たぶん5回見た。考察する-1

ペルソナ3のブログの後継としてnoteアカ作ったんだけどジャンル分けるのも面倒なのでここでやります

 モノノ怪をやんややんやする…的な。

ところで徳川家康の根回しで擁立された後水尾天皇(ごみずのおてんのう)という御方がおわしました。

 第一に、「天子様」は本当なら京都御所にお住まいだし内裏に後宮もあり、作中での「大奥」が江戸城大奥なら用事がありません。モノノ怪の世界には、作中人物のセリフから「幕府」があることはわかりますが、天子様はそのトップではないと考えられます。天子様が幕府=表のトップだったら、三郎丸たちが言うような「表の意向が大奥に伝わらない」ということは起きえないからです。いわゆる「大奥」は本来幕府と将軍家のものであって天子様のものではありません。こんなことを制作陣が間違うはずがないので、(暫定)江戸城の奥に内裏がくっついているような構造(大奥の大門を飾っているのも葵の御紋ではなく、菊花紋です)は意図的に作られた舞台装置のはずです。

 リアル歴史において、後水尾天皇の在位中に「禁中并公家諸法度」が制定されたのをはじめとして、幕府は朝廷の力を徹底的に削いでゆき、大政奉還によって江戸時代が終わるまで、歴代の「天子様」にはほとんど政治的実権がない状態が続きます。後水尾天皇におかれても、度重なる幕府の干渉を嫌って突然皇位を娘に譲ったり院政を復活させたりなさいました。そのような世にあって、「天子様」の情念とはどんなものか。

 天子様の大奥で祀られている「御水様」と、明らかに何かを封じている宝塔と三貴子の描かれた柱。私は天子様の目的はようするに国産みじゃないかと予想しています。

(小説版では、完全に天子様=徳川家の将軍として書いているようです。大奥が「第三代天子様」(!?)の時に作られたと書いていること、正室のことを「御台所」と書いていることなどから。天皇家の正室は「后」です。)


改めて、あやかし・もののけ・形・真・理

観てない人を振り落としながら掴みはオッケー的な

いったん整理しよう

  • あやかし:我々がおばけや妖怪として名前を知っているもの。モノノ怪世界観では「死んだ人がなる」場合もあるし、「モノに魂が宿る」こともある。目に見える他の生き物と同じで、理由があろうとなかろうと生じ、遍く存在しているもの。「ただ、どのような経緯でなったにせよ、アヤカシの道理は人にはわからぬ。」by薬売りさん。人をおどかしたら満足して帰るヤツとか。

  • モノノ怪:アヤカシが、人間の情念と結びついて生まれる。この世にあってはならぬもの。退魔の剣で斬ることでしか消し去ることができない。退魔の剣を抜くには以下の三つが明らかになることが必要。

  • 形:モノノ怪と化したアヤカシの名前。モノノ怪「唐傘」は、モノノ怪になる以前にはアヤカシとして存在していたということでもある。

  • 真:アヤカシがモノノ怪になったきっかけの出来事や人物。客観的な事実でないと剣がカッチンしないため、秘密を守ろうとしたり思い込みが激しい人間から事実を聞き出すのに薬売りさんはいつも苦労している。

  • 理:いわゆるホワイダニット。人がモノノ怪を生んだ理由。道理が通じないアヤカシと違い、モノノ怪には、存在する理由や目的や願いがある。

 テレビシリーズのモノノ怪で薬売りさんが「形・真・理」を追い求める様子は、関係者が嘘つきだらけのミステリーみたいなところがありました。劇場版「唐傘」はそれとはずいぶん雰囲気が違いましたね。あと、特に「理」について、明確な正解を示してくれるセリフがなかった。なので

「真」が北川様ってどういうこと?

「理」がよくわかんない!

・・・・・・と筆者もなりました。でも、幸い、見落としてる描写や視点がないか探しに映画館に何度も行って考えを修正しながら鑑賞するのが好きなので、5回しか見てないけど映画の公開が終わってしまう前に、今のところの考えをまとめようと思います。「唐傘」は、

モノの気持ち

 の話です。なのでさっき「モノに魂が宿る」を太字にしておきました。
 横道にそれますが、年月とお金をかけて集めたグッズとか、模型とか、自分にとっては大切なものを、理解のない配偶者等に無断で処分されてしまった人の気持ちをここで一度想像してください。

 できましたでしょうか。ではそれはいったん横において、「劇場版モノノ怪 唐傘」の作品の中に移動することにしましょう。

長くなりそうなのでーーつづく!