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「惑う」

7年間も片思いですってよ。



とは言ったものの、



そんな私も大学時代、3年間片思いをしてしまっていた。("していた"ではなく、"してしまっていた"。これに語弊がある訳でなく、自分でも無意識だった。当たり前のように好きで、今思えば恋をしている自分が好きだった。告白はしていないから、まだチャンスがあると思ってしまっていたんだと思う。答えを見出さないことで、心の隙間を埋めるように。今はすっかり吹っ切れてはいるが)

だから、今ヶ瀬にとってもそれが当たり前で、"あなたのお陰で、自分はこうしてこれまで生きてこれたよ"なんだろうか。
と、あらすじを見た段階ではふつふつと独自予想を繰り広げてはいたが、内容はより複雑で、かけ離れていたものだった。(※少しネタバレ含むので、観ていない方はご注意を)



観終わった第一の感想は、「右往左往」と「もどかしさ」。
誰にでも優しく、一見すると完璧な人間のように思える大伴と、どことない色気と寂しさを感じさせる、猫のようにひょろっとした体格の今ヶ瀬。

憎たらしいくらい愛くるしいってどんな感じだろうかと思っていたが、こんな感じだろうか。好きであることに代わりはない以上、同性であれ、それを遮るのは無理だ、だから付き合って、という今ヶ瀬は何も間違えていない。これは大伴とその周りの女たちが引っ掻き回すお話。
なのに、今ヶ瀬が悪い者みたく、責められるのはなぜ?って話。
気持ちに応えたい大伴の優しさと、優しすぎるが故に誰にでもいい顔をしてしまう一面も、言ってしまえばお人好しだ。自分の意見すらない、振り回されているだけの男だ。
(7年間も片思いし続けている今ヶ瀬もなかなか難ありだが。)

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お互い好きであることに代わりはない。

けれど、相手は「男」だっていう葛藤は、ずっと消えない。
それを押し殺すのはもったいないのに、分かってはいるのに。

それが、とにかく、いつだって、苦しい。

ボーイズラブよ、もっと純粋にまっすぐであれ、とついつい思ってしまうのだが、誰もがぶち当たる壁なのかもしれない。

世の男性カップルの方々は、なにひとつ不自由なく過ごせているのだろうか。



ちなみに、そういう絡み(所謂濡れ場)も見応え充分で、成田くんは元々長身痩躯な身体をさらに絞って仕上げてきたなと。(大倉くんは女性とのシーンも多く、最早変な同情をしてしまった。お綺麗な方だと余計にミテシマッタ感が凄まじい)
ファンにはたまらないシーンがてんこ盛りだった気がする。ご馳走様です。

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そして時折ハイチェアに居座る今ヶ瀬のシーンが癒やし。特に好きだったのが白ブラウス一枚にパンイチ姿。(たしか朝のシーンでのうのうと煙草吸ってる。)
成田くんのですます口調もどことなく新鮮で好きだった。「あなたの煙草になりたかったんです」とかね。いつも攻撃的な役どころが多い印象だからだろうか。