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「何もかも憂鬱な夜に」中村文則


憂鬱な日に、この本を手に取った。

又吉さんのエッセイで度々中村文則さんの名前が紹介されていて、

気になって手に取った。

重いテーマの小説が多いから、

どんな人なのか調べたら

知れば知るほど、明るくて朗らかな人でビックリする。

カミュやドストエフスキーに影響を受けたらしく、

カミュの「異邦人」に中村さんの作風を感じて、

納得したりもしていた。

主人公の刑務官が

自分と似ている死刑囚と出会い、

最期まで生きることについて考える。

生きる先に絶望しかなくても、

生きていれば、希望を感じることもある。

生きる希望を失ったとき、

ㇷとした言葉や出会いに助けられることがある。

中村さんの作品はミステリーみたいに、

事件が起こるけど、それが解決されるわけじゃない。

自分で考えなければならない。

でも、考えることが楽しい。

また最初から読み直したくなる。

「考えることで、人間はどのようにでもなることができる。……世界に何の意味もなかったとしても、人間はその意味を自分でつくり出すことができる」

生きている意味。なにかをする意味。

考えてしまうけど、答えは見つからない。

だったら、自分で作ればいい。

「お前はもっと色んな事を知るべきだ。お前は知らなかったんだ。色々なことを。どれだけ素晴らしいものがあるのか、どれだけ綺麗なものが、ここにあるのか。お前は知るべきだ。命は使うもんなんだ」

この世界には素晴らしいものがありすぎる。

空を何回眺めたって課金されないし、

春の桜はNetflixに負けないサブスクリプションだし、

いろんな表情を見放題なわけで、

どんな人がその綺麗さを感じてもいい。


私が小学生の時から、ワンピースが始まり、

20年以上ルフィは旅をしています。

変なコックに出会ったり、緑髪のお兄さんと出会ったり、

美人や鹿さん、骨だけの音楽家やマッチョのお兄さん、

1巻読むたびに泣きまくって、その度に

「尾田先生、天才」といいつづけてきました。

完結を見るという試練があるし、希望があるし、

こんな素晴らしい芸術に触れられたことが、

生きている意味なんです。(決めていいんです)

「何もかも憂鬱な夜」はあるかもしれないけれど、

その夜が明けない日はない。

小さな、気づかないちょっとした幸せが、

ミクロ単位であなたの側にあるかもしれない。


P.S

10年ぶりにきのこの山を食べて、

ずっとたけのこの里派だった心が覆されました。

「き、きのこのやま、お、おいしいいいいい」

あなたの知らない魅力に気付いたよ。

私のミクロ単位の幸せでした。

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