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口内炎だと思ったら「がん」だった話(2) 〜 がん専門病院で検査

入院先の病院でAYA世代に向けてメッセージを書くコーナーが設けられ、いよいよ AYA WEEK  が始まったんだなと実感しています。
そして、私自身もリエゾンチームからAYA世代対象のアンケート用紙で「つらいこと・悩んでいること」を聞いてもらいました。親でもなく、先生でもない人に話すことは私のすべてを知らないから難しい面もありますが、「話す」ことで考えていることを整理でき、気持ちが軽くなりました。

前回までのおさらい

3ヶ月以上も「口内炎」だと思い込んでいた私は歯科医院の紹介で病院の歯科口腔外科へ。そこで口内炎ではない、深刻な状態であることを告げられました。さらに精密な検査を受けるために「がん専門の総合病院」を紹介いただき…。

★これまでの経緯は下記で読めます。


2月1日(木)

朝9時。紹介状を持って「がん専門」の都立病院Bに到着。
1人で来るようなところではないと、ものすごく重圧を感じました。慣れないフロアをキョロキョロしながら歯科口腔外科に受付。30分〜1時間経ちましたころ、診察室に入りました。

直指名の医師は昨日都立病院Aから電話をしたせいか、はたまた紹介状に目を通しているせいか、話が早かったです。(このへんは記憶がうっすらしかありません。)都立病院Aと同じく、舌のおでき部分を写真に記録されました。さらに、部分麻酔をして舌の細胞片を数ミリ取りました。<組織診>(痛かった…!)そのホルマリン漬にされた細胞片はすぐに検査に出されました。加えて、首周りの触診も。
やはり、腫れ物の周りが硬くなっている状態からよろしくない方向のようです。舌以外に転移がないか、確定診断を下すため、次回の外来でMRIとCTの検査を受けることになりました。(大量の紙!「病院提出用」と「患者保管用」の合意書をそれぞれ受け取りました。

検査を急ぐ理由として、2つありました。
まず1つ目は、医師の目線から。
次の外来の日にちょうど病院でカンファレンスが開かれるためでした。そこで情報共有をし、今後の治療方針が決定されます。
2つ目の理由は、私の事情から。派遣の仕事が始まるまで、この日を含めて、奇跡的に2日空いていました。主治医はその空いた日を検査に当てたかったのです。

この日のうちに検査結果が出ないので、採血と尿検査をし、痛み止めの薬(ロキソニン)を処方されて帰りました。

医師は「ここに来たからもう大丈夫」だとおっしゃっていましたが、その日のメモにこう記しました。

心配ないとはいうけれど、怖いし不安。
これから先、仕事できるのか。
DDS、すべて受けられるのか。
東京マラソンのボランティア、できるのか。
「うちあげ花火」行かれるのか。
予定詰めちゃったよ。
どういう流れになるか、予測不能。

個人のほぼ日手帳2月1日ページより

この日から「口は災いの元」をテーマに何か書こうと決めました。でも、「口福」とも書くんですよね。
良いことも悪いことも口が絡んでくる。口って不思議だな。

2月5日(月)

再診と検査。
9時40分にCTの検査、そして11時にMRIの検査を受けました。(朝水一杯しか飲んでいません。図書館に本を返しに寄ったから受付時間のめっちゃギリギリに、いやむしろ数分遅れて病院に到着。)

「精密検査」自体が人生で初めての経験。
検査着に2度着替えて、造影剤も2度投与され、
横になってドーム型の機械も2回くぐりました。
台が何度も行ったり来たり動いてくれます。
「ういーん」「がああああ」
ヘッドホンをしてても機械音が内側に聞こえてくるのです。
横になっているだけでいいので、検査が終わるまで私は目をつぶっていました。

CT検査は全体で10分ほどで終わった記憶なのですが、MRI検査は体感的に長かったです。トンネルの中に15分ぐらい入っていたと思います。
あ、これは余談ですが、MRIの検査室に入るときは使い捨てスリッパに履き替えました。ボタンを押すと自動で除菌済みのスリッパが出てきて、終わったら「自動スリッパマシーン」の上にスリッパを投入しました。すごい仕組み!家に一台欲しいと思いませんか?

このほかに、心電図とレントゲン、呼吸機能検査(この日一番苦しかった。苦手)を受けました。

すべての検査が終わり、歯科口腔外科の診察室へ。
主治医は先ほど撮影したCTの画像をモニターに映しました。
画像をぐるぐると動かすと、本来ないものが何やら見えてきました。

「右側のこことここに白い丸があるの、分かる?リンパ節にいくつか転移している。この画像で見る限り3〜4つ」

転移の影。

「手術できるギリギリのライン。これ以上進行すると手術することも難しくなる」

私の腫れものは、早期発見(ステージⅠ〜Ⅱ)どころか、リンパ節にまで転移するほど進行していたのです。
2023年の9月下旬に上司から「あれ?(発音が)退化した?」と聞かれたことを思い出すと、舌の動きづらさからすでに腫れものが「がん化」していたのかもしれません。

さらに、手術しなければ根治は難しいとも伝えられました。
舌の画像を写し、腫瘍部分から縦横1センチは余裕をもって切除しなければならないことも。
…ということは、舌の半分は無くなってしまうのです。

主治医は2月のカレンダーを指しながら
「さすがに来週はもうスケジュールが入っちゃっているんだけど、その次の週に(手術を)しようと思うんだけど大丈夫?」

いや、ちょっと待って。
私、あしたから新しい会社の研修が始まるんだよ?
あさっては派遣先に出社するんだよ?
そんなときに手術で休むなんてできるの…?!

頭が真っ白というより、新しい仕事のスケジュールしか浮かびませんでした。
転職したばかりで仕事のことが何より気がかりでした。そんな私がちゃんと病気と向き合うために主治医はこう言いました。

「命あっての仕事。治療を優先してほしい」

言われてみて、ハッとしました。
自分が思っている以上に、仕事を優先して生きてきたことに気づきました。

「仕事優先の治療」ではなく、まず治療をする。次の段階として仕事をする。
確かに、生きているから仕事ができるのです。(恥ずかしながら、私は「仕事が好き」「仕事ができる」なんて偉そうなことを言える立場でありませんが。)

雨と雪がちらちらと空中を舞う日、私はひとりで重たい事実を受け入れました。

もっと自分の身体を大事にしよう。
休むことも、立ち止まることも、必要なこと。

つづく。



おまけ - 健康保険

前職を1月末付けで退職しましたので、都立病院Aの再診を終えて保険証を会社に返却してしまいました。
なので、都立病院Bを初診した際は無保険状態でした。
幸い、前職が加入していた健康保険組合は「任意継続健康保険」ができる組織でしたので会社に返却するタイミングと同時にその申請書を郵送しました。
しかし、1つ注意しておきたいことがあります。
以前の勤め先から健康組合に資格喪失の連絡が届かない限り、私が任意継続の申請をしても、新しい健康保険証(カード)は発行されません。行き違えが生まれませんように、と祈るばかりでした。

で、肝心な病院でのお支払いはというと、
2月1日と5日両日とも、
支払猶予申請書の理由の欄で「保険証を新たに申請中」の項目に丸をつけ、事なきを得ました。
そして、次の次の外来(家族への病状説明のとき)でまとめて支払いました。
なんとかなるんですね。ありがたき仕組み!

おまけ - アンケート

5日(もしくは13日)再診のとき、がんの原因に関してアンケートを回答しました。

  1. タバコは吸いますか?ーYESだったら本数・箱数も。

  2. お酒は飲みますか?。どのぐらいの量ですか?ービール(瓶)、日本酒(合)、ワイン(瓶)…お酒の種類ごとに単位が記載されていました。

  3. 緑黄色野菜は食べていますか?ー「毎日食べている、ときどき食べている、ほとんど食べていない、食べない」の4択だったように思います。

  1. お酒を何合単位で明記するのはそろそろやめてほしいですね。そんな単位でお酒飲まないので。「ミリリットル」や「缶の本数」でいいのではないのでしょうか?

  2. 無関係だと思いますが、私は仕事上、副流煙(タバコの先端から出る煙)を多く吸っていた環境にいました。吸っている側より煙を吸う側のほうが身体に良くないと以前聞きました。恐らく、それも当てはまるのかなと思われます。(アンケートでは問われませんでしたが。)

  3. 緑黄色野菜に限定しなければ、野菜は毎日食べています。ほうれん草やにんじんはお値段が高くて手に取らない時期もあるほど。うーん、それでも何かしらで取っているだろうと想定して、私は「毎日」と回答しました。本当の摂取量は「ときどき」ぐらいなのかもしれません。「にら」が緑黄色野菜の仲間だということを退院前の栄養指導で初めて知りました。