6歳の子供に説明できなければ、理解したとはいえない#6
このシリーズの最初に書くべきだった。単位(次元)の話。単位がわかれば、算数や物理の多くがかなりわかったことになる。
時速、分速、秒速など速度の話
東京オリンピック2020も終わった。陸上競技はいろいろあった。100m, 400mリレー、マラソンなど。まず、「速さ」について。これも、考えるのではなく、感じる、ように。
100mを10秒で走ったとする。かなり速い。1500mの種目(女子)だと4分を切ったぐらいがメダル圏内。どっちが速い?
まず、単位(次元といったりもする)をみてみる。メートル(m)が出てきている。これは「距離」の単位。次に、「秒」「分」が出てきている。これは、かかった「時間」の単位。今は、比較するため「秒」に統一して考えてみる。比較するためには、同じだけの時間でどれぐらい進んだか、がわかればよい。例えば、同じだけ10秒走ったらどれぐらい進むのか?100mの場合はたまたま10秒で100メートルだった。1500m走はまず、4分を秒になおして、240秒とする。240秒かかって1500m進んだことになる。これでは、比較できないので、同じ秒だけでどれぐらい、が知りたいことになる。同じ秒ならどれぐらいでもいいのだが、とりあえず、1秒あたりどれぐらい進むか、について考える。100m走では、10秒で100mなので1秒ならば10mだ。わかるかな?わからなくなったら、自分が1秒で10m走っていることを感じてみるように。じゃあ、2秒走ったらどうなる?1秒で10なら2秒で20m進むよね。5秒なら50m。10秒なら、そう、100mで計算はあってる。これを、計算式で書くと、100m/10秒=10m/1秒ということになる。なんか式が出てきたが、「/」の意味は
・1秒あたり何メートル進んだか(どれぐらい進むか)
・1秒で何メートル進むのか
・1秒走れば何メートル進むのか
などと同じ意味の記号だ。これは、割り算の意味にもなっている。100を10で割って、10ということだ。1500m走のほうも同じで1500m/240秒=6.25m/1秒と計算でき、1秒で6.25メートル進むことになる。100m走の人は、10メートル進むので、100メートル走の人のほうが速い(当たり前だが)。
今は、秒という単位でみてきたが、クルマの速さなどは1時間あたり、という時速になる。さきほどの100m走の速さを時速にしてみる。
まず、時間の前に分にしてみる。分にするには秒を60倍すればよいから、60x10m/60秒=600m/分、ということになる。1分で600メートル進む。時速はさらに60倍すればよいから、60x600m/60分=36000m/1時間=36km/時という時速になる。1時間走ると36kmも走ることになる(そのペースで1時間は走れないとおもうが)。このように、下の数を何倍かするときには上の数も何倍かにして同じ割合にすることが大事。これは、1/2も10/20も同じこと、と思い出せば、あー下を10倍したら上も10倍するんだな、と感じればよい。次は、進んだ距離について。
進んだ距離
上の話ですでに進んだ距離についても話したことになっているが、再度、確認。100メートルを10秒で走った、ということから始まった話を、速度(秒速)にして、10m/1秒から始める。100秒走ったら、どれぐらい進んだか知りたいとする。1秒で10メートルなのだから、2秒では20メートル、10秒では100メートル(もとに戻った)。このように進む距離を知りたい場合は、速さに時間をかければよいことがわかる。100秒では、10m/1秒の100倍なので、1000メートルということになる。ちゃんと単位までつけて計算すると、100秒×10m/1秒=1000m(秒を秒で割っているので打ち消しあってなくなる)。
かかった時間
かかった時間をしりたい場合はちょっと難しくなるかも。けど、単位をしっかり感じていればちっとも難しくない。
また、100mを10秒で走ったということから始める。かかった時間をしりたい、ということは、例えば、1000mを走るにはどれぐらい時間がかかるか、ということをしりたい、ということになる。100mを走るのに10秒かかるのだから、200mを走る(倍の距離)なら、倍の時間がかかり20秒かかる(これは体感できるよね)。500mなら5倍になり50秒かかる。1000mなら10倍、100秒だ。これを速度(秒速)から計算することを考える。秒速は10m/1秒だ。この意味は10メートルを走るには1秒かかる、ということ(無理やり書けば1秒/10m、こんな単位はないが)。よって、1000m×1秒/10m=100秒(メートルをメートルで割っているので打ち消しあってなくなっている)。速度を使って書くと、1000m÷速度=1000m÷(10m/1秒)=1000m x 1秒/10m=100秒 という計算になる(こちらが学校で習う方、計算式は同じにみえるが説明のしかたで理解度は違ってくるだろう)。割り算がでてくるのは、1000m進むには、何秒かかるか、ということを何秒間ある速度で走ると1000mになるか、ということをいっているに過ぎない。
1000m = 何秒×速度⇒両辺を速度で割ると、1000m÷速度=何秒
となる。
他の単位の話
単位の話は非常に重要だ。例えば、25℃のコップの水と25℃のコップの水を、より大きなコップに入れると温度はそのまま25℃だ。つまり、25+25=25(℃)ということになる。気圧(ヘクトパスカルとか)もそうで、ドアで仕切られた部屋のドアを開けても気圧は変化しない(1気圧+1気圧=1気圧)。中学、高校と進むにあたって速度以外にもいろいろな単位がでてくるが、「イコール」で結ばれている量は必ず単位もイコールになっている。わからなくなったら、とにかくこの単位がイコールを思い出してなんとかしてみることを勧める。