ITエンジニア本大賞2023 大賞候補全部読みました
翔泳社さんが実施しているITエンジニア本大賞 2023の大賞候補に選ばれた6冊を拝読しました。どれも良い本で特別賞をとても迷ったので、すべての本についておすすめさせてください。ちなみに、私の特別賞は『エンジニアリングマネ-ジャ-のしごと』にさせていただきました。
💻 技術書部門
📕『競技プログラミングの鉄則』
よみやすい!わかりやすい!カラーで余白大きい!勝手な想像で幅優先探索とかをO(N)とか数式いっぱいでマニアックに語る本かと身構えていましたが、違います。
1つめのサンプルが「正方形の面積を整数で出力せよ」で基本から丁寧に解説してくださるので、大学を卒業して1X年たつ私でも読み始められます。競プロ勢だけではなく、教養としてやっておいてよさそうです。毎日一問。
📕『ソフトウェアアーキテクチャの基礎』
THE オライリー本です。網羅的で目次見てるだけで勉強になります。
これからプログラミングを学ぶ勢にはアーキテクチャまで意識するのは難しいかと思いますが、エンジニアとしてプロダクトチームに入る新卒、徐々に見える範囲が広がってきたとき、ソフトウェアにあれこれ追加しまくって太ってきたとき、にとても合う本だとおもいます。
後述の『チームトポロジー』と一緒に読むとアーキテクチャとチームをどう一緒に成長させるかの理解が深まりそうなので、セットでおすすめです。
📕『良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門 保守しやすい 成長し続けるコードの書き方』
賞とは関係なく発売後すぐに拝読していたのですが、わかりやすくてとっつきやすくて好きなのですべてのジュニアエンジニアに配って回りたいです。この本は現場でも起きがちなアンチパターンが多く実践的な書籍だとおもいました。
私はありがたいことに同僚にたくさんコードレビューをしていただいて、働きながら学んできました。思い返すと本当に申し訳ないコードを量産してしまいました…
先にこの本を学んでいたら諸先輩方のお時間を随分削減できたはず…
💰 ビジネス書部門
📕『エンジニアリングマネ-ジャ-のしごと』
タイトルから「最近よく聞くのエンジニアリングマネージャー(EM)の役割を定義した本」かと思って手に取りました。しかし、これはマネジメント業務の具体的ないろはを説いた本でした。マネジメント対象がエンジニアではなくても勉強になることが書かれています。
この本は「うちにEMは必要だろうか?」と悩む経営者やプロダクトチームよりは「よりよいEMになるにはどうすればよいか?」に悩むEMにおすすめしたいです。EMがEMとしてより成長するために、何度も繰り返し読んで考えることができる、EMの強い味方になる本だと思います。
📕『チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計』
事前に特別ゲストのおすすめとしても紹介させていただきました。チームをどうすればよいかについて、素案とそれぞれのメリット・デメリットを考えるのが難しいと常々思っていましたが、この本があることで本当に議論しやすくなります。
チームについての議論をする前に、議論に参加する人が全員この本を読んでおくと共通言語がある状態になれるので、何卒よろしくお願いいたします。
📕『メタバース進化論――仮想現実の荒野に芽吹く「解放」と「創造」の新世界』
…ITエンジニアに読んでほしい本を選ぶ場になぜメタバースの本が?Vtuberの組織票🤔?と斜に構えて読みました。ごめんなさい。読み終わった今、これはITプロダクトな皆さまに読んでほしい本だと思いました。
バズワードとしての"メタバース"は置いておいて、スマホがあって当然の世界が来たように、メタバースがあって当然の世界をいつか人はつくるはずですよね。
私たちが日々作っているソフトウェアは、未来ではメタバースに吸収されます。例えば、このnoteのような情報も、スマホやPCのような物理デバイスを触るのではなくメタバースプラットフォームの上で得るのではないでしょうか。私たちがKindleだと目が疲れるというおばあちゃんに抱いている感情を、私たちの孫は私に抱きます。おばあちゃんはVRで酔うけれど、孫たちはきっとメタバースで読んだほうがシュッてできて便利なのにwと言う世界。
これからのユーザー体験を作る私たちがそれを未来に見据えてものづくりをすると、よりはやく、より良い未来が創造されるのではないでしょうか。そんなふうに思わせてくれる、ワクワクする本でした。出会わせてもらえて嬉しかったです。
🙆 その他のおすすめ
私がおすすめさせていただいていた3冊のうち、今回大賞候補には選ばれなかった2冊があるのでおすすめしておきます。プロダクトマネージャー本大賞2023があればよかったのに。
昨年、ITエンジニア本大賞2022 ビジネス部門大賞を頂いた拙書もちゃっかりおすすめしておきます。おかげさまで今年も重版をさせていただき、8刷目がでるとのことです。
最近、韓国語版もでました。
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