新散歩スタイル チロ

オズワルドのネタは、僕の方がなんだか偉そうにしているので僕が1人で作っていると勘違いされている方も多いが、まず2人で集まって、うちの社長(畠中)がテーマを出してから2人で作っている。
僕は0から1を生み出すことが苦手で、社長はそれにかなり長けていると思っているので、テーマに関しては全面的にお任せしている。あとシンプルに、やっぱりボケのやりたいことをやってもらった方が面白いし。
ただ、基本的にというか、社長も家でテーマを考えてくるということはほとんどなく、ほぼ全ネタは喫茶店に集まって、そこから社長がテーマを出すまでの沈黙を経てからようやくネタ作りがスタートする。
テーマが出てから、2人で話を進めているので、割合的には6:4と言ったところだろうか。

ネタを作り始めると、これはどのコンビにも共通して言えることだと思うのだが、どういうわけか明らかに出現率の高いテーマが生まれてくる。
完全にそのコンビの好みやスタイルによるものなのだが、デートから入るネタが多かったり、マニアックなところで言ったらパチンコや政治的な話だったりと、確実に何度も登場しているテーマが浮き彫りになってくるのである。
ネタを見てくれている側の方が、別のネタにも関わらずなんかこういうネタ前にも見たことある気がすると感じたことがあるとするならば、こういった現象も1つの要因になっていると考えていいだろう。

我々オズワルドにも、その傾向はめちゃめちゃに当てはまる。
自分達でさえ、あれ?これ全く同じネタ作らなかったっけ?となるときすらある。
何本も何本も作っていると、自分達でも知らず知らずのうちに、お気に入りのテーマが偏ってくるのだ。
オズワルドのネタの中でも、かなりの頻度で出てくるテーマのうちの1つが『野球』である。
我々のネタの中には、本当に意図せずに、野球に関連したテーマやボケが非常に多い。
これのなにが不思議かって、僕も社長も、別にそんなに野球自体を普段から見ているわけではないし、特別好きなわけではないという点。
僕に関しては、1試合丸々野球の試合を見たという経験もないし、なんなら9回の裏ツーアウト満塁サヨナラ逆転のチャンスでチャンネルを変えられても、正直眉1つ動かさないだろう。
社長に関しても、中学は野球部に所属していたが、3年の春の大会の前に、監督に怒られて自主退部しているくらいの熱量であり、今でも普段野球の話をしているのも見たことがない。
あるとするなら、甲子園の時期くらいであるが、見た感じ野球そのものというよりは、甲子園球児の涙のロッカールームとか青春だとかのベクトルで見ていて、野球自体がとても好きだというわけではないと断言出来る。

ではなぜこんなにも野球の出現率が高いのか。
それは、野球からにじみ出る面白味を感じるからである。
本当に野球を愛している方には申し訳ないのだが、この場合の面白味とは、野球を競技として見たそれではなく、野球という行為に存在する、野球をあまり見ないこちら側が発見した滑稽さのことを指す。
もっとわかりやすく言うと、僕の場合は、野球に対しての感覚は、interestingではなくfunnyなのである。
これは、決して野球や野球を愛する人々をバカにしているわけではなく、無知が故の感覚なのだ。
例えば、自分が全く興味のないものや、その分野においての知識がまるでない場合、客観的に見てその内容の理解の出来なさに、ついつい笑ってしまうようなことはないだろうか。
知っている人からしたら常識でも、知らない人からしたら不思議で仕方なく、本当にそのルールであってるの?みたいな時のことである。
僕はそれを、野球から感じるのだ。
まず、当たれば下手したら死ぬくらいのスピードで飛んでくるボールを、あんな細い棒に当てて遠くに飛ばすということに、すでに面白味を感じてしまう。あんな細い棒に当たるというのは、もはやトレーニングどうのこうのの前に、めっちゃ運がいい人しか当たらないんじゃないかとか思ってしまうのである。
そんな風に野球を見ていると、もっと野球から面白いことを考えたくなり、やがてはそれが、漫才のテーマであったりボケへと繋がってくるのだと感じるのだ。

こんな風に、出現率の高いテーマはいくつかあるのだが、中にはなかなか笑いにしずらいものもある。
僕らの場合、それは『犬』に当てはまる。

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