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お姉ちゃんが可愛いので、ファンクラブを勝手に作りました。
僕の名前は大園〇〇。高校1年生で、目立った才能もない。まさしく漢字二文字で表すなら平凡。これがぴったりな平凡人間だ。
でも、僕には自慢できることがある。姉ちゃんの玲だ。
玲は3歳年上で、大学生。見た目も性格も完璧。
友達に「そんな姉ちゃんいるわけない」って笑われるけど、本当にいるんだ。
玲の魅力は穏やかで上品な雰囲気。大きな瞳が印象的で、心を見透かすような優しさがある。肩くらいの柔らかい黒髪が風に揺れる姿は最高だ。
朝、寝癖のままリビングに出てくると
玲:〇〇、コーヒー淹れててよー。
〇〇:自分で淹れなよ、眠そうだし。
玲:えー、弟が淹れてくれるコーヒーが一番美味しいんだからさ。
そんな柔らかい声で言われると、断れない。
玲の話し方は詩的だ。
玲:今日の空、優しいね。
〇〇:何だよそれ、詩人みたい。
玲:ふふ、〇〇には分からないかぁ…笑
なんて笑う顔が可愛い。
性格は優しくて面倒見がいい。僕がゲームで苦戦していると、
玲:〇〇、そこのタイミング大事だよ。見てて。
そう言って横からアドバイスしてくる。昔、空手やってただけあって、反応が鋭い。それから、僕が何度も失敗していると
〇〇:分かったよ、でもムズいんだって!
玲:じゃあ、見本見せるから貸して。
そう言ってコントローラーを借りて、軽々とクリアしちゃうんだ。
〇〇:何!? 玲、ずるすぎ!
そんな玲の魅力を独り占めするのはもったいないと思った。
それで、「玲ファンクラブ」を作ることにした。玲には内緒だ。
〇〇:玲に『ファンクラブ作ったよ!』なんて言ったら、絶対に引かれる。
活動は友達から始めた。タカシとユウトを僕の部屋に呼んで、「玲の魅力を語る会」を開いた。
〇〇:えっと、玲ファンクラブへようこそ。会長は僕、〇〇ね。玲の素晴らしさを広めるのが目的だからよろしく。
タカシ:お前、姉バカだろ。でも玲姉ちゃんって、前に公園で犬と遊んでるとこ見たとき、めっちゃ優しい笑顔だったよな。あれはズルいわ。
ユウト:俺、玲さんがコンビニでアイス選んでるとこ見たことあるけど、すげえ真剣な顔してて可愛かった。ああいう集中力、なんかカッコいいよね。
〇〇:だろ? 玲ってさ、普通にしてても特別なんだよ。
タカシ:分かるわ。玲姉ちゃん、近所じゃ有名だもんな。
ユウト:うん、ファンクラブ作る価値あるよ。
よし、同志ができた。
最初の活動は「玲の可愛いエピソード」をノートに記録すること。
「冷蔵庫のプリンをこっそり食べて、『〇〇が食べたんでしょ』って僕に押し付けてきた」とか
「雨の日にびしょ濡れで帰ってきて、『〇〇、タオル貸してー』って笑ってた」とかだ。
でも、運営は簡単じゃなかった。
タカシ:玲姉ちゃんの写真ないの? ファンクラブなら会報に載せようよ。
〇〇:隠し撮りなんてしたら、玲に殺されるって。
ユウト:確かに、バレたらヤバそうだね。
〇〇:だから、イラストでいいよね?
タカシ:おお、俺に描かせろってか。任せとけ!
タカシのイラストは、玲がキャンパスで本を読んでる姿。白いシャツにピンクのカーディガンが玲そのものだった。
ユウト:これ、めっちゃいい! 会報にしようぜ!
〇〇:うん、タイトルは『玲ファンクラブ通信 第1号』でどう?
タカシ:いいね。エピソードとイラスト入れとけば完璧だろ。
内容は僕のエピソード、タカシのイラスト。
そしてユウトの「玲さんの好きなものランキング(想像)」。
1位「アイス」
2位「〇〇」
3位「本」
〇〇:おいユウト、俺を2位にすんなよ、恥ずかしいだろ。
ユウト:いや、玲さん絶対弟好きじゃん。間違いないって。
順調だったけど、隠し事はバレる。
玲が部屋に入ってきて、手に「玲ファンクラブ通信 第1号」を持っていた。
玲:ねえ、〇〇。これ何?
〇〇:え、あ、その…冗談だよ! 友達とふざけてただけ!
玲:ふーん、『玲の可愛い瞬間ベスト3』ねえ。プリン食べたことまで書いてあるんだ。
〇〇:いや、見てたっていうか…自然に目に入っただけで!
玲:で、タカシ君とユウト君も関わってるわけね。ファンクラブって何? 私、アイドルじゃないんだけど…?
〇〇:アイドルじゃないけど、玲が可愛いのは事実じゃん! だから、ちょっと楽しくやろうと思って…
玲:何そのノリ!? やめてよね、〇〇!
予想通り引かれた。でも、玲は少し笑って、
玲:まぁ、気持ちは嬉しいけどさ。次やったら本気で怒るからね
〇〇:う、うん…分かったよ
そう言って出てった。許されたっぽい?
玲ファンクラブは一時休止。タカシとユウトに報告した。
〇〇:バレちゃってさ…。
タカシ:お前、隠せよ!
ユウト:玲さんに怒られたの? 可哀想に。
〇〇:怒られたけど、最後は笑ってたよ…笑
玲の「気持ちは嬉しいけど」が心に残ってる。あの優しい声と笑顔。それも玲の魅力だ。
ファンクラブはなくなったけど、これからも心の中で応援し続けるよ。
あの大きな瞳に見守られてるだけで、僕の毎日は十分楽しいんだ。