歌手と句読点
目にして、おっ!っと驚いたのです。
それは、新曲「オレンジkiss」の見どころを伝えるSnow Man 深澤辰哉さん(以下、ふっかさん)のコメントを読んだ時のことでした。
そこに、
歌詞の意図を読む、句読点と疑問符に着目する言葉を見つけたからです。
驚いたわけ
なぜそのように驚いたのか。それは、文中にある句読点の役割を、深く認識しながら歌詞を読む人は、あまり多くはないだろうと思っていたからです。
わたしは国語好きの小学校教員ですから、もちろん句読点の大切さを認識していますし、作者がそれにこめた意図を汲んで読みます。子ども達にも、句読点の役割を伝えて、読点の後ろの言葉に意識を向けるように促しています。
国語は、文を読んで意図を理解する事が学びの基本ですから、当然のことですね。
しかしふっかさんは歌手です。もちろん歌詞の意図を読み取り、それを声で伝えることが求められるのが歌手です。
ですからそこには、ご本人なりの解釈が必要でしょう。ただそれは大抵の場合、言葉だけに目が行きがちだと思うのです。それなのにふっかさんは…、加えて句読点にまで着目しているとは…。
恐れ入りました。
というのがわたしの正直な気持ちでした。
歌を教える時
わたしは音楽好きの小学校教員でもあります。小学校では、全教科を担任が教えるので、もちろん歌も教えます。
最初からCDで歌を聴かせて、耳で覚えて歌えるようにしていくのが日常ですが、学芸会で歌う歌や、卒業式などの式歌を教える時には、歌詞の音読から始めます。
メロディーには乗せず、詩を音読するようにして読み味わうのです。そして、共に過ごした日々を振り返り、歌詞の意味に自分達のこれまでを重ねていきます。そうやって歌に人生を重ねていくのです。
伝える言葉の句読点
卒業式と言えば呼びかけですが、呼びかけの言葉を考える時には、読点をつけていない文を子ども達に提示します。
例えば、
みなさんの頑張りにいつもたくさんの勇気をもらいました。
という具合です。
そこに、子ども達が自分で読点をつけるのです。より強調したい言葉を考えることによって。
「頑張りに、」であれば、「いつも」が強調されますし、
「いつも、」であれば、「たくさんの」が強調されるという具合です。
句読点は、ただ単に読みやすくしているものではないのですから、意図を持ってつけることにより、伝えたい思いがより強くなるのです。
深澤辰哉という表現者
ふっかさんは、以前もnoteに書きましたが、わたしは生涯役者でいられる人だと思っています。SnowManの中で一番誰が役者なのかを選ぶなら、わたしは迷いなくふっかさんをあげます。
天性の感覚を持っている人なのだろうと思っていましたが、今では、ご本人の深い思考と、繰り返された試行錯誤のなせる技なのだと思えます。
冒頭に挙げた、ふっかさんのコメントから、ここまで結びつけていくのは、いささか乱暴なようにも思えますが、わたしは、そう、思うのです。
歌詞も台詞も、言葉に込められた意図を表現するという点が共通項です。
ふっかさんの歌声が、胸に沁み込んでいくように思うのは、歌詞の意図を丁寧に表現しようとする、その心が伝わるからなのかもしれません。
「オレンジkiss」
発売日は13日です。
大好きなダンスパフォーマンスは、もちろん楽しみですが、その歌声もますます楽しみになりました。ふっかさんのコメントから広がっていく、今日の思うことでした。