美しい言葉 「寿ぎ」
なんという美しい言葉なのかと思いました。
半世紀以上生きてきて、これまで出会ったことのない言葉に短期間で2度出会い、深く心を動かされたのです。
それはまるで、大いなるものからわたしへ、今だからこそ与えられた言葉のようでした。
それは、「寿ぎ」という言葉です。
らんまん 竹雄の言葉
一度目は、朝ドラ「らんまん」のワンシーン。
気落ちする綾に、竹雄が語りかけます。
あなたのその言葉が寿ぎなのだ。
温かで力強い励ましに、綾が心を震わせ勇気づけられるシーンだったのです。
「寿ぎ」という短い言葉の中に、心からの尊敬と愛情が込められており、美しい響きと共に心へ深く沁みていきました。
志尊淳さん演じる竹雄は、綾と万太郎を幼い頃から支え続けてきた大切な存在で、折々に心に沁みる言葉を投げかけます。
こんなに心強いサポーターがいるのだろうかと思えるほど心強い存在であり、その竹雄から発せられた尊い言葉でした。
坂本龍一さんの曲
2度目の出会いは、今朝の北海道新聞のコラム、「坂本美雨の子育て日記」からです。
坂本龍一さんの娘である美雨さんが、映画「怪物」を観た時のお話でした。
「怪物」には、お父様である坂本龍一さんの楽曲が数曲登場しています。
そのなかの一曲は既存のもので、それがもともとは、娘である美雨さんのために創られたものだといいます。
是枝監督がその楽曲「aqua」を選んだ理由を、美雨さんが訊ねた時の一節です。
これは、寿ぎの歌だと思う。
生きていることへの祝福だ。
そう答えてくださったのだそうです。
生きていることへの祝福。寿ぎ。
なんという美しい言葉なのだろうと思いました。
映画「怪物」の最後のシーン。流れる坂本龍一さんのピアノの音色に促されるようにして、涙は静かに溢れていきました。
その楽曲がaquaなのかは定かではありませんが、その楽曲を聴いて初めて、映画の全てを心で受け止めることができたとも感じています。
寿ぐということ
寿ぎの歌。
寿ぎ。祝福の言葉。
新年度から生き方を変えて始まったこれからの人生に、天から与えられた言葉のように思えて、胸がとても温かくなりました。
わたしはこれからも応援者として、詩のなかで、さまざまな人生を祝福したい。
愛と感謝の思いを持って、出会ってくれてありがとうと心を込めて伝えたい。
そんな思いになった、穏やかな初夏の朝でした。