Apple Special Eventから見えるアップルの目指すもの
現地時間の9月10日にApple Special Eventが開催され、事前に予測されていたようにiPhone 11をはじめとしたいくつかの新製品が発表されました。
各製品については多くのブロガーや有名サイトが詳しく解説していますので、ここでは今回のイベントを通して見るアップルの戦略について考えたいとおもいます。
アップル製デバイスはひとつの完成形を迎えている
新しいiPhoneの名前はiPhone 11となりました。10という数字はコンピュータの世界ではひとつの区切りを示します。MacもMac OS Xの際にはUNIXベースの新しいOSに生まれ変わりましたし、Windowsも9を待たずして10となっています。
その10という数字を超えて、11となったわけですからある意味新しい進化の一歩をiPhoneは辿ろうとしているとも言えます。
しかしながら、今回メインとして発表された11はXとは異なる進化を遂げているとは思えません。どう見ても昨年廉価版として発表されたXRの進化形です。
つまり、iPhoneの進化はXsを持ってひとつの完成形を迎え、11はそれのマイナーアップデートであると言えます。
実際、iPhoneとは違って沢山の会社がそれぞれスマートフォンを作っているアンドロイドの世界でも飛び抜けた新機能を備えた製品は出ていません。
結局、現在のスマートフォン市場はパソコン業界でもあったようにひとつの成熟した業界になったということです。正直、これ以上の進化はユーザーが求めていないと思われます。
アップルのそれをわかっているようで、安価な端末を求めるユーザーのためにiPhone 8シリーズを値下げして、現行モデルとしています。iPadに関してはProで評価の高かったスマートキーボードに対応した安価なiPadを今回発表していますし、Watchも2世代前のシリーズ3を値下げして現行モデルとしています。
それでも発表されたiPhone 11 Pro
今回の1番の発表と言われるのはやはり、iPhone 11 ProおよびiPhone 11 Pro MAXでしょう。
前述のようにスマートフォン市場は一時の成熟を迎え、ユーザーの買い替え頻度は下がっています。最低でも2年間で買い替えサイクルを持っていたiPhoneも今では未だiPhone 6を使用している人が少なくない状態です。そのような状態にも関わらず、今年も10万円を超える11 Proを出してきました。
これはスマートフォンのリーディングカンパニーとして、「スマートフォンの進化はまだまだ終わらない」というアップルからのメッセージ、そして、それに呼応するユーザーがまだ相当数いるとアップルは考えているのだと思います。
サブスクリプション企業への転換
パソコンソフト業界は数年前からサブスクリプション制度へと移行してきました。これはそれぞれのソフトウェアがある種の完成形となってしまったため、毎年新製品を発表しても買い替えてくれるユーザーがいなくなってしまったからです。
前述のようにある種の完成形を見たスマートフォンもサブスクリプションへの道を進まなければいけません。
アップルの場合、ハードウェアもソフトウェアもサービスも一貫してアップル自身が行なっているため、サブスクリプションへの転換はそう難しくありません。
Apple Musicに続き、Apple Arcade、Apple TV+を出してきたことはもはや数年前からの既定路線だったと思われます。
また、月額600円という破格の安さで出してきたことは、同業他社に間違えなく大きな衝撃を与えることになったでしょう。
以上のようにアップルは毎年、新しいiPhoneを発表し、人々の注目を集めた上で、自社のサービスを売り込む事を着実に行なっているのです。
来年の新しいiPhoneもどのようなものになるかも楽しみですし、これから出るアップルのサービルにも期待です。
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