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尾瀬には『エシカル』が必要–向き合わなければならないと思っていることについて−
エシカルとの出会い
『エシカル』という考え方を知ったのは
最近のことだった。
出会いは長谷川潤さんの
『glenwood "HEART TO HEART"』
というPodcast番組。
わたしは彼女の考え方も生き方も好きで、
もう何周巡ったか・・・
というほどこのPodcast番組を聴いている。
エシカルについて話していたのは、第18回。
エシカル協会を立ち上げた
元世界ふしぎ発見のミステリーハンター
末吉里花さんがゲストだった。
『エシカル』とは?
エシカルは倫理的な、という意味を持つ。
わたしはこれを「思いやり」
というふうに訳している。
その考え方も、末吉さんから影響を受けた。
エシカルはちょっと難しい考え方・行動だと
思われがちだけれど
「思いやり」というと
日本人の心には溶け込みやすいと思う。
わたしたちは日々、物を買って生活している。
食べ物、着る物、そして電力やガスや水も。
その全てにあらゆる動物や人、
自然が関わっている。
でも、それらを購入する時、
それがどこで作られ、誰が販売し、
どんな経路でいま自分の手の中にあるのか、
を想像する人は少ないと思う。
エシカルは、その全てにおいて
自然や人が悲しむことのないようにすること
と理解している。
実はいろんなものが
安く購入できるようにするために、
先進国と呼ばれる国に提供するために、
自然や人が被害に遭ったりしている。
わたしはこれらの話を聞き、本を読み
小さい頃からずーっと
自分が考え続けてきたことに
ピッタリな考え方だと思った。
そして、自分のやりたいことは
自然保護だけでなく、
尾瀬を通してエシカルを
広めていくことだと思った。
タイトルにある
「尾瀬には『エシカル』が必要」
というのはつまり、
尾瀬には『思いやりが必要』ということ。
尾瀬に住んで気がついたこと
社会人になってから
尾瀬に関わって10年ほどになる。
そのうち尾瀬の中で働いたのは7シーズンほど。
1年のうちの半年間を尾瀬の中で過ごし、
朝起きても尾瀬の中、
夜眠っている間も尾瀬の中、
と本当に幸せな体験をすることができた。
そんな中で気がついたのは
尾瀬にすむ生き物たちは
人間のことなんて
全く気にすることなく生きているということ。
それも毎日懸命に。
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でもその彼らの命を
簡単に奪うことができるのは人間。
人間はそんなことを忘れ
自然や山に癒しを求めて
自然を壊しながらやってくる。
尾瀬の決まり事や
山小屋でのマナーなども知らないまま。
でも、これは何度も繰り返すのだけれど
訪れる側が悪い!と言いたいわけではない。
わたしのように情報を発信している側が
尾瀬を訪れようとする人たちに
どんなふうにアプローチをしなければいけないのか
真剣に考える必要があると思っている。
都会に住んだからこそ
わたしはいま、東京で生活している。
仕事も尾瀬とはまったく関係のない仕事をしていて
そこで出会う人たちは
尾瀬のことを知らない人が多い。
そして忙しい毎日を過ごしていると
尾瀬のことを調べる余裕すら
ないことに気がついた。
尾瀬にいるときは
ネットに尾瀬の情報なんて溢れているし
尾瀬に行くんだから
当然調べて来ているだろう・・・
と思っていたけれどそんな時間がない。笑
そしてネットにある情報は
いろいろな団体などが
それぞれの立場からの都合で発信していて
これを見れば尾瀬の全てを網羅できる!
という情報を出してくれているところがない。
だからわたし自身、
尾瀬の情報を調べることが
正直面倒くさい、と感じた。
これは、尾瀬の中に居続けていたら
わからなかったことだった。
尾瀬に行く人たちは
都心から来る人も多い。
その人たちの日々の生活スタイルを知って
なんだか申し訳ない気持ちになった。
なぜ尾瀬に『エシカル』が必要なのか
どの国立公園も観光地も
大きく分けて
訪れる側と
そこで働き、生活する側
に分かれる。
そして国立公園の場合はそこに
貴重な自然がある。
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守らなければいけない自然の中に
人が訪れたり、そこで商売をしたりする。
だからこそ
お互いに思いやりが必要だと思っている。
訪れる側はそこにある自然や、
そこで商売をする人たちのこと、
ふもとの村のことを知って
思いやること。
そこで働く人たちは
訪れる人たちがどういう人たちなのか、
本当はどういうことを
望んでいるのかを知って
思いやること。
そして人間であるわたしたちは
訪れる場所にある自然に接するとき
どんなことに
気をつけなければいけないのかを知って
思いやること。
わたしは
最終的にこれらを実現できたとき
自然をまもりながら
尾瀬を楽しむことができるようになる
と考えている。
だからこそまだまだ知られていない
尾瀬のストーリーを知ってもらえるよう
伝え続けていきたい。
実は4月から仕事として
尾瀬の活動ができるようになる。
もっともっとたくさん活動して
自然保護発祥の地、尾瀬から
『エシカル』を発信し続けていきたい。
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