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尾瀬のミニ観察~第10回~

前回は、「タテヤマリンドウ」を紹介しましたが、今回は「ツルニンジン」についてご紹介します。

(10)「ツルニンジン」
(花期:8月~9月)

 花の色は鮮やかなものだけとは限らず、スズメバチやハエの仲間に好まれる花は、地味な緑色や褐色だ。
 ツルニンジンの花は直径3cmもあるのに下向きに咲き緑色で目立たない。花の中をのぞくと、底には青紫色の星形のマークがあり、星のとがった先端に蜜が光っている。私は訪れたクロスズメバチの一種をみた。背は花粉で白くなり、花の中心に立つ雌しべに触れていた。
 花の中を観察するときはスズメバチに御用心だが、一度は青紫色の星を見てほしい。

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2010年10月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「花びらって何?」についてご紹介します!